準決勝へ
第二回戦
最初に闘技場へ上がったのはシフォンだった。
相手は蹴り技を得意とする格闘家、カイル・ベルン。
鋭い蹴りで間合いを支配しようとするカイルに対し、シフォンは踏み込みの一瞬を逃さず距離を潰す。
大外刈りから腕固めへ移り、勝負は決した。
勝者、シフォン。
◇
続くロザリアの相手は、蹴りを主体とする技巧派リオン。
素早い動きを冷静に見切り、正拳で体勢を崩す。
最後は回し蹴りを決め、ロザリアも三回戦へ駒を進めた。
◇
第三回戦
シフォンの相手は、長い手足で間合いを支配するエルガン。
シフォンは横へ動いて壁際へ追い込むと、一気に組みつき、押し倒して勝利を収める。
続くロザリアの相手は、組み技を得意とする元闘士ダレス。
打撃を囮に重心を崩し、一本背負いから腕ひしぎ十字固めへ。
ダレスが床を叩き、ロザリアも準決勝進出を決めた。
◇
「よう、嬢ちゃんたち。おみそれしたよ。強いな。」
準決勝前の準備時間。
黙々とアップやシャドーボクシングを続けるシフォンとロザリアのもとへ、敗れたカイルとエルガンが歩み寄った。
「力や勢いだけで突っ込んでくる新人は多い。だが、お前たちみたいに技術と戦術で勝ち上がる奴は珍しい。」
カイルが興味深そうに尋ねる。
「どこで武術を学んだ?」
「私はご主人様に教えていただいています。」
シフォンが答える。
「私は家庭の事情で幼い頃から少々。最近は、この子と同じくご主人様に教わっておりますわ。」
ロザリアも微笑みながら続けた。
カイルはターケシへ視線を向ける。
「……なるほど。いい師匠を持ったな。」
ターケシは肩をすくめた。
「別に。生徒の素質が優れていただけさ。」
エルガンが静かに頷く。
「教えられただけでは、ああは動けん。」
「試合の中で考え、修正できる。二人とも大したものだ。」
カイルも笑った。
「負けて悔しいが、納得してる。」
「また腕を上げたら、その時はもう一度頼む。」
シフォンは少し照れくさそうに耳を伏せる。
「はい。ありがとうございました。」
ロザリアも静かに一礼した。
エルガンはシフォンへ目を向ける。
「次はヴァルドか。」
短く、それだけ言った。
カイルが続く。
「……あいつとだけは、もう二度とやりたくねぇ。」
シフォンは小さく拳を握る。
「……誰が相手でも負ける気はありません。」
続いてカイルはロザリアを見る。
「もう一人の山に残った奴も相当だ。」
「隙がない。」
その時、遠くで開始の鐘が鳴る。
地下格闘技大会、準決勝。
「シフォン、これはまだ私達にとって通過点ですわ。」
シフォンは頷く。
シフォン、ロザリアそれぞれの想いを胸に闘技場へ歩き出した。




