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奴隷市場から始まる異世界冒険譚―第一部王都編  作者: たーけし
闘技大会へ 前編

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103/134

準決勝へ

第二回戦

最初に闘技場へ上がったのはシフォンだった。

相手は蹴り技を得意とする格闘家、カイル・ベルン。

鋭い蹴りで間合いを支配しようとするカイルに対し、シフォンは踏み込みの一瞬を逃さず距離を潰す。

大外刈りから腕固めへ移り、勝負は決した。

勝者、シフォン。

◇

続くロザリアの相手は、蹴りを主体とする技巧派リオン。

素早い動きを冷静に見切り、正拳で体勢を崩す。

最後は回し蹴りを決め、ロザリアも三回戦へ駒を進めた。

◇

第三回戦

シフォンの相手は、長い手足で間合いを支配するエルガン。

シフォンは横へ動いて壁際へ追い込むと、一気に組みつき、押し倒して勝利を収める。

続くロザリアの相手は、組み技を得意とする元闘士ダレス。

打撃を囮に重心を崩し、一本背負いから腕ひしぎ十字固めへ。

ダレスが床を叩き、ロザリアも準決勝進出を決めた。

◇

「よう、嬢ちゃんたち。おみそれしたよ。強いな。」

準決勝前の準備時間。

黙々とアップやシャドーボクシングを続けるシフォンとロザリアのもとへ、敗れたカイルとエルガンが歩み寄った。

「力や勢いだけで突っ込んでくる新人は多い。だが、お前たちみたいに技術と戦術で勝ち上がる奴は珍しい。」

カイルが興味深そうに尋ねる。

「どこで武術を学んだ?」

「私はご主人様に教えていただいています。」

シフォンが答える。

「私は家庭の事情で幼い頃から少々。最近は、この子と同じくご主人様に教わっておりますわ。」

ロザリアも微笑みながら続けた。

カイルはターケシへ視線を向ける。

「……なるほど。いい師匠を持ったな。」

ターケシは肩をすくめた。

「別に。生徒の素質が優れていただけさ。」

エルガンが静かに頷く。

「教えられただけでは、ああは動けん。」

「試合の中で考え、修正できる。二人とも大したものだ。」

カイルも笑った。

「負けて悔しいが、納得してる。」

「また腕を上げたら、その時はもう一度頼む。」

シフォンは少し照れくさそうに耳を伏せる。

「はい。ありがとうございました。」

ロザリアも静かに一礼した。

エルガンはシフォンへ目を向ける。

「次はヴァルドか。」

短く、それだけ言った。

カイルが続く。

「……あいつとだけは、もう二度とやりたくねぇ。」

シフォンは小さく拳を握る。

「……誰が相手でも負ける気はありません。」

続いてカイルはロザリアを見る。

「もう一人の山に残った奴も相当だ。」

「隙がない。」

その時、遠くで開始の鐘が鳴る。

地下格闘技大会、準決勝。

「シフォン、これはまだ私達にとって通過点ですわ。」

シフォンは頷く。

シフォン、ロザリアそれぞれの想いを胸に闘技場へ歩き出した。

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