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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
第3章 CHRONOS STRIKE PRO LEAGUE

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第17話 反省会

試合が終わった頃には、外はすっかり暗くなっていた。


ORBITのメンバーが入ったのは会場近くの焼肉店だった。開幕節の勝利を祝うためというより、ようやく全員でご飯を食べる時間ができたという方が近い。


席へ着くなりACEがメニューを開く。


「腹減った……」

「ずっと言ってますね」


MINATOは笑った。


「減ってるんですから仕方ないじゃないですか」

「会場でも食べてませんでした?」

「足りません」


即答だった。


REIGNが水を飲みながら呟く。


「元気だな」

「元気じゃないですよ。先鋒負けたんですから」


そう言いながらも肉はしっかり注文していた。


料理が運ばれてくる。網の上で肉が焼ける音が響き始めると、ようやく試合が終わった実感が少しずつ湧いてきた。最初はどうでもいい話だった。会場近くのコンビニが混んでいたこと、配信のコメント欄のこと、ホテルの話。そんな話をしていたはずなのに、気付けば今日の試合へ戻っている。


「朝陽強かったですね」


肉をひっくり返しながらACEが言う。悔しそうというより、試合を思い返している顔だった。


「強かったな」


REIGNも頷く。


「途中までは悪くなかったと思うんですけど」


ACEはそこで言葉を切った。どこで流れが変わったのか、何を焦ったのか。それは自分が一番分かっている。


「行ったな」


ZEROの一言にACEは苦笑した。


「行きましたね」


否定はしない。


「今見たら待てば良かったんですけど」


そう言ってから首を振る。


「いや、今だからそう思うだけなんですよね。あの時は行けると思ってました」


流れを取り返したかった。そのまま終わるのも嫌だった。だから前へ出た。結果は負けだったが、何が悪かったのかは見えている。


「まあ、次ですね」


ACEがそう言うと、ZEROもREIGNもそれ以上は何も言わなかった。説教する必要がないからだ。本人が一番理解している。


話題は自然と中堅戦へ移る。


「REIGNさんの方が危なかった気もしますけど」


ACEが笑う。


「終盤ですか?」


MINATOも聞く。


REIGNは少し考えた。


「まあな」


否定しない。あの試合を見ていた全員が分かっていた。勝った。だがずっと余裕だった訳ではない。少し流れが傾けば結果も変わっていたかもしれない。


「でも勝ちましたし」

「勝ったからな」

「それだけですか」

「それだけで十分だろ」


ACEが吹き出した。


MINATOも少し笑う。REIGNらしい返事だった。必要以上に語らない。だが試合を軽く見ている訳でもない。だからこそ余計なことを言わない。


肉が減り始めた頃、今度は自然と大将戦の話になった。というより、全員の視線がMINATOへ向く。


「何ですか」

「何ですかじゃないだろ」


ACEが笑う。


「初リーグ戦だったじゃないですか」


そう言われると少し考える。試合内容ならいくらでも話せる。LEXを選んだ理由もある。読み合いの話もある。だが一番印象に残っているのは別だった。


「変な感じでした」

「変?」

「上手く言えないんですけど」


MINATOは少し考える。個人戦は何度も経験してきたし、大きな大会も戦ってきた。それでも今日は少し違った。試合中は目の前の相手しか見ていなかったはずなのに、終わってから振り返ると妙な感覚が残っている。


「一人でやるのと全然違いますね」


それが一番近かった。


ACEが負けた。


REIGNが取り返した。


その後に自分の試合があった。


当たり前のことなのに、実際に経験すると重さが違う。


ZEROは小さく頷いた。


「そんなもんだ」


短い一言だったが、MINATOには妙に納得できた。


「まあ、そのうち助けられる側にもなりますよ」


ACEが笑う。


「嫌ですね」

「全員通る道です」

「説得力ありますね」

「負けたばっかりなんで」


その返しにテーブルの空気が少し和んだ。


反省もした。試合の話もした。次節の話もした。気付けば網の上の肉はなくなり、話題も自然と次の対戦相手へ変わっている。


開幕節は終わった。だがリーグはまだ始まったばかりだった。

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