第1話 CSPL開幕特番
CSPL開幕まで残り十日。ORBITのチームハウスでは朝から対戦台の音が鳴り続いていた。LEGACY優勝から一か月が経過し、MINATOは世界王者として様々な注目を集めていたが、チームの空気は浮かれていない。むしろ開幕が近付くにつれて緊張感は増していた。五大大会は個人戦だが、CSPLはチーム戦。自分が勝つだけでは意味がなく、チーム全体で勝ち点を積み重ねなければならない。
午前中の練習を終えた四人はミーティングルームへ集まっていた。今日はCSPL開幕特番の日。参加チームとディビジョン分けが発表される。
「いよいよですね」
MINATOがモニターを見ながら言う。
「楽しみか?」
REIGNが聞く。
「半分くらいです」
「残り半分は?」
「嫌な予感です」
「分かる」
REIGNが笑った。
やがて配信が始まる。
画面には実況の神谷レンと解説の白石アキラが映し出された。
「皆さんお待たせしました!」
「本日はCSPL開幕特番です!」
コメント欄が一気に流れ始める。
『きたああああ!』
『待ってた!』
『CSPL!』
『リーグ開幕!』
『今年楽しみすぎる!』
神谷も興奮していた。
「今シーズンは全十二チーム体制!」
「そして今年から二ディビジョン制が採用されます!」
会場が沸く。
コメント欄も加速する。
『おおおおお!』
『ディビジョン制!?』
『ついにか!』
『楽しそう!』
白石も頷いた。
「各ディビジョン六チームですね」
「レギュラーシーズンでは同ディビジョンとの対戦が中心になります」
「ここで順位争いを行い、上位チームがプレーオフへ進出します」
そして。
神谷が声を張る。
「それでは発表しましょう!」
「DIVISION Aです!」
大型モニターへチーム名が表示される。
⸻
DIVISION A
RAVEN’S NEST
PHOENIX
VORTEX
GENESIS
METEOR
ORBIT
⸻
会場がざわつく。
コメント欄も一気に流れる。
『ORBITきた!』
『レイヴンいるじゃん!』
『地獄だろ!』
『王者チームいる!』
『開幕からきつい!』
MINATOも思わず笑った。
「いるじゃないですか」
「いるな」
REIGNも苦笑する。
RAVEN’S NEST。
リーグ優勝二回を誇る絶対王者。
開幕前優勝候補筆頭だった。
ACEもモニターを見ながら言う。
「いきなり最大の山ですね」
ZEROは短く答える。
「面白い」
そして神谷が続ける。
「続いてDIVISION B!」
再びモニターが切り替わる。
⸻
DIVISION B
LIBERTY
AEGIS
CRIMSON
VALOR
LEGION
MIRAGE
⸻
こちらも歓声が上がる。
『Bもやばい』
『LIBERTYいる』
『AEGISいる』
『強豪しかいない』
『どっちも地獄じゃん』
白石も苦笑する。
「綺麗に分かれましたね」
「どちらもレベルが高い」
「プレーオフ争いは最後まで分からないと思います」
ディビジョン発表後は各チーム紹介が行われた。名門RAVEN’S NEST、近年急成長を遂げたLIBERTY、堅実な強豪AEGIS、伝統のPHOENIX。次々と紹介映像が流れるたびに会場が盛り上がる。
そしてORBIT。
LEGACY優勝シーン。
REIGNの世界大会優勝映像。
ACEの分析映像。
ZEROの国際大会ハイライト。
最後にMINATOがトロフィーを掲げるシーンが映し出された。
コメント欄が爆発する。
『世界王者!』
『MINATO!』
『優勝候補!』
『新規参入!』
『期待しかない!』
しかしその後に発表された開幕前順位予想で再び会場がざわつく。
⸻
DIVISION A順位予想
1位 RAVEN’S NEST
2位 PHOENIX
3位 VORTEX
4位 GENESIS
5位 ORBIT
6位 METEOR
⸻
『低くね!?』
『ORBIT五位!?』
『世界王者いるぞ!?』
『実績評価か』
神谷も説明する。
「ORBITは新規参入チームです!」
「戦力は非常に高く評価されていますが、リーグ実績がありません!」
白石も続ける。
「強いチームと強い選手は必ずしも同じではありません」
「そこがリーグの難しさですね」
MINATOは順位表を見ながら小さく息を吐いた。
世界王者になった。
だがCSPLではまだ何も成し遂げていない。
評価を覆すなら結果を出すしかない。
配信終了後、部屋は静かになった。
SAGEが全員を見る。
「目標は変わりません」
誰も答えない。
答える必要がなかった。
ディビジョン。
順位予想。
下馬評。
そんなものは関係ない。
目指す場所はただ一つ。
CSPL王者。
日本最強チーム。
ORBITの新たな挑戦が、いよいよ始まろうとしていた。




