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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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第19話 再戦

LEGACY Day3。Top24の試合が始まり、会場の熱気は朝から異常なほど高まっていた。数千人で始まった大会も残るはわずか二十四名。大型モニターに表示される名前は世界ランキング上位者や各国王者ばかりで、ここまで来れば一試合ごとに優勝候補同士がぶつかるような状況だった。


その中でも特に注目を集めていたカードがある。


MINATO。


KNIGHT。


名前が表示された瞬間、会場中から大きな歓声が上がった。


「来ました!」神谷レンが興奮を隠せないまま叫ぶ。「LEGACY Day3注目カード!REVOLT JAPANで激突した二人が世界最高峰の舞台で再び相まみえます!」


『きたああああ』

『待ってた』

『REVOLT再戦』

『熱すぎる』

『実質決勝だろ』


コメント欄も一瞬で埋め尽くされていく。


対戦台へ向かいながら、湊はふと昔のことを思い出していた。まだプロになる前、REVOLT JAPANへ出場する直前の時期だった。配信を開けば必ず名前を見かけるようなトッププロが突然声を掛けてきた。


KNIGHT。


五大大会優勝経験を持つ日本最強格の一人。


そのKNIGHTが配信で景虎対策をやると言い、自分をトレーニングモードへ招待したのだ。


「こんばんは。」

「こんばんは。今日はよろしく。」

「こちらこそお願いします。」


今思えば不思議な時間だった。自分はまだ無名に近い存在だったのに、KNIGHTは最初から対等に接してくれた。そして試合が始まると、その意味が少しずつ分かっていった。


最初は互角だった。


だが時間が経つほど、自分は対応される。


しかしさらに時間が経つと、今度は自分が対応し返す。


お互いが試合中に進化していく。


そんな感覚だった。


「なるほどな。」


何戦目だったかは覚えていない。


だがその時のKNIGHTの言葉だけは覚えている。


「MINATO、お前面白いな。」


それは褒め言葉だった。


そして配信終了間際。


KNIGHTは笑いながら言った。


「RJ楽しみになった。」


「ありがとうございます。」


「本番で会おうぜ。」


結果として二人はREVOLT JAPANで戦った。


そして負けた。


届かなかった。


だからこそ今日の試合には意味があった。


リベンジ。


成長の証明。


そして世界への挑戦。


全てが詰まっている。


対戦台へ座ると、既にKNIGHTが待っていた。相変わらず落ち着いている。大舞台で緊張している様子など微塵もない。


目が合う。


KNIGHTが少し笑った。


「結局ここまで来たな。」


「来ました。」


「思ったより早かった。」


「自分もそう思います。」


KNIGHTは頷く。


「でも納得してる。」


湊は少し驚いた。


「試合見てたからな。」


KNIGHTは腕を組みながら続ける。


「ライアン戦も見た。」


世界大会常連との死闘。


簡単な試合ではなかった。


「強かったですね。」


「強いよ。」


KNIGHTは即答する。


「でも勝った。」


そして少しだけ口元を上げた。


「だから今ここにいる。」


短い言葉だったが重みがあった。


世界大会では過程より結果が全てだ。


勝った者だけが先へ進める。


「ありがとうございます。」


湊は笑う。


そして真っ直ぐ相手を見る。


「でも今日は勝ちます。」


KNIGHTの目が鋭くなった。


「ああ。」


静かな返事。


だがそこに迷いはない。


「そうじゃないと面白くない。」


その瞬間だった。


空気が変わる。


もう先輩と後輩ではない。


尊敬する相手でもない。


ただの対戦相手。


勝者と敗者だけが存在する世界だった。


キャラクター選択。


景虎。


Arthal。


会場が揺れる。


「来たァァァァ!」神谷の絶叫が響く。「景虎対Arthal!REVOLT JAPAN再戦!」


『うおおおお』

『王きた』

『景虎いけ』

『始まるぞ』


ラウンド開始。


開幕から異常だった。


景虎が前へ出る。


だが触れない。


一歩踏み込めば剣が置かれている。飛べば落とされる。牽制を振れば差し返される。まるで全て読まれているようだった。


「うまい!」神谷が思わず叫ぶ。


白石アキラもモニターを見つめながら頷く。


「Arthalも強いですが、これはKNIGHTですね。相手の選択肢を消しながら戦っています。」


景虎も食らいつく。


前へ出る。


下がる。


フェイント。


投げ。


打撃。


差し返し。


読み合い。


しかし返される。


さらに返される。


何をしても一歩先を行かれる感覚だった。


第一ラウンド。


KNIGHT。


会場が沸く。


『流石王者』

『強い』

『完成されてる』

『隙がない』


だが湊は焦らなかった。


むしろ少し笑っていた。


強い。


本当に強い。


だから面白い。


そんな感情が心の中にあった。


第二ラウンド。


景虎の動きが変わる。


前へ出る回数が増える。


リスクを背負う。


さらに前へ出る。


KNIGHTが読む。


その読みを読む。


景虎の拳が刺さる。


カウンター。


コンボ。


壁際。


起き攻め。


さらに読み勝つ。


KO。


会場が爆発した。


『うおおおおお!』

『取った!』

『分からなくなった!』

『熱すぎる!』


1-1。


最終ラウンド。


観客席のほとんどが立ち上がっていた。


残り体力は互角。


あと一回。


本当にあと一回で全てが決まる。


景虎が前へ出る。


Arthalも下がらない。


拳と剣が交錯する。


経験。


才能。


努力。


積み上げてきた全てがぶつかり合う。


そして世界最高峰の舞台で、二人の勝負はついに決着の瞬間を迎えようとしていた。

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