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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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第18話 Day2最後の壁

LEGACY Day2。


会場の空気は朝とはまるで別物になっていた。試合を重ねるたびに人数は減り、残っている選手たちの名前も少しずつ豪華になっていく。無名選手が消えたわけではない。しかしここまで来ると各国の大会常連やプロリーグ所属選手ばかりだ。


Top64目前。


Day3進出を懸けた最後の戦い。


ここを勝てば決勝日が見えてくる。負ければ終わり。そんな試合が会場中で行われていた。


「さあこちら注目カードです!」神谷レンの声が響く。「日本の若手注目株、MINATO!」


大型モニターに湊が映し出される。


『きた』

『頑張れ』

『ここ勝てばDay3』

『相手ヤバい』


チャット欄も勢いよく流れていく。


「対するはアメリカの実力者!」神谷が続ける。「LEGACY常連、ライアン・クロス!」


名前が表示された瞬間、観客席からも反応が上がった。


ライアン・クロス。


24歳。


アメリカ。


五大大会Top16常連。


世界ランキング上位常連。


派手な異名はない。


世界四強でもない。


だが世界大会を見ている人間なら誰もが知っている。


毎回上まで残る男。


そして。


誰よりも試合を楽しむ男だった。


対戦台。


湊が席へ座る。


すると向かい側のライアンが笑顔で手を上げた。


「おお!君がMINATOか!」


突然の大声だった。


湊が少し驚く。


「そうです。」


「REVOLT JAPAN見たぞ!」


ライアンは嬉しそうだった。


まるで昔から知り合いだったかのような勢いだ。


「ベスト4だろ!?すげえじゃないか!」


「ありがとうございます。」


「今日やっと戦えるな!」


ライアンは本当に楽しそうだった。


試合前だというのに緊張している様子がない。


むしろ待ちきれないという顔をしている。


「勝つのは俺だけどな!」


そう言って豪快に笑う。


湊も思わず笑ってしまった。


「自信ありますね。」


「当たり前だろ!」


即答だった。


「世界一になるために来たんだ!」


その言葉に嘘はない。


湊も同じだった。


だから少しだけ嬉しかった。


「自分もです。」


ライアンの目が少しだけ鋭くなる。


そして。


大きく笑った。


「最高じゃねえか!」


試合開始。


ライアンの使用キャラはLeonis。


人気キャラ御三家の一角。


長いリーチと高い安定感を持つ強キャラだ。


開幕から互いに慎重だった。距離を測り、相手の出方を探る。しかし静かなのは最初だけだった。


ライアンが前へ出る。


剣を振る。


下がる。


また前へ出る。


攻める。


止まらない。


「ライアン選手、かなり前に出ます!」


神谷が叫ぶ。


「思ったより攻撃的ですね!」


ジェイも頷いた。


「彼はそういう選手です。立ち回りも上手いですが、本質はファイターですよ。」


実際その通りだった。


距離管理は上手い。


判断も速い。


それなのに攻めてくる。


強気。


ずっと強気。


湊も応戦する。


景虎の拳が飛ぶ。


Leonisの剣が迎え撃つ。


差し返し。


読み合い。


暴れ潰し。


投げ。


投げ抜け。


お互い一歩も引かない。


「うおおお!」


ライアンが叫ぶ。


コンボを決めながら叫ぶ。


立ち上がりそうな勢いだった。


「まだまだ!」


さらに攻める。


「もっと来い!」


試合中とは思えない。


だが不思議と嫌じゃない。


むしろ楽しかった。


世界大会。


極限の勝負。


それなのにライアンは心から楽しんでいた。


一ラウンド目。


ライアン。


二ラウンド目。


湊。


勝負は最終ラウンドへもつれ込む。


会場の熱気も上がっていた。


『熱い』


『この試合面白すぎる』


『ライアン好きだわ』


『二人とも楽しそう』


残り体力はほぼ同じ。


あと一回。


本当にあと一回だった。


景虎が前へ出る。


Leonisも前へ出る。


どちらも守らない。


どちらも勝ちに行く。


拳と剣が激しくぶつかり合う。


「来い!」


ライアンが叫ぶ。


「来いMINATO!」


その声と同時だった。


景虎の拳が差し返しとして突き刺さる。


カウンター。


会場が沸く。


コンボ。


壁際。


追撃。


体力が消し飛ぶ。


試合終了。


ほんの数秒。


だが全員が息を止めていた。


勝者。


MINATO。


歓声が爆発する。


ライアンは数秒画面を見つめた後、大きく笑った。


「くっそ強えな!」


そして立ち上がる。


握手。


強く。


本当に強く握る。


「最高だった!」


悔しそうなのに笑っている。


負けたのに笑っている。


湊も思わず笑った。


「ありがとうございました。」


「Day3行け!」


ライアンが背中を叩く。


「その代わり優勝しろ!」


そう言って豪快に笑いながら去っていった。


湊はその背中を見送る。


世界大会。


強い選手はたくさんいる。


だが今の試合で一つだけ分かったことがあった。


強い選手ほど、この舞台を誰より楽しんでいる。


そして。


湊はDay3進出を決めた。

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