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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
* 第2章 挑戦者、ラスベガスへ向かう

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プロローグ

REVOLT JAPAN終了から数日。


大会は終わったにもかかわらず、CHRONOS STRIKE界隈の熱気はまだ冷めていなかった。


優勝したKNIGHT。


準優勝のBLADE。


若手トッププロとして存在感を見せたSHADOW。


そして何より、大会初出場ながらベスト4まで勝ち上がったMINATO。


ランクマッチ一位の挑戦者は、一夜にして注目選手の仲間入りを果たしていた。


Nexを開けば名前が流れる。


動画サイトを見れば切り抜きが上がる。


配信では大会振り返りが行われる。


「LONG戦やばかった。」

「景虎が強すぎる。」

「本当に初出場なのか。」


そんな声が至る所で飛び交っていた。


その頃。


東京都内。


高層ビルの一室。


今年からCHRONOS STRIKE PRO LEAGUEへ参戦する新規チーム、ORBITの会議室では一つの映像が再生されていた。


大型モニターに映るのはREVOLT JAPAN。


MINATO対LONG。


今大会を象徴する名勝負の一つだった。


景虎が前へ出る。


Frostの設置を突破する。


読み勝つ。


崩す。


勝つ。


映像が終わる。


会議室に静寂が訪れた。


最初に口を開いたのはREIGNだった。


世界大会優勝経験を持つ日本最高峰のプレイヤー。


ORBITのエース。


誰もが認める絶対的存在だ。


「面白いな。」


短い一言だった。


だが、その言葉だけで評価の高さが伝わる。


向かいに座るACEが頷いた。


理論派として知られるトッププロ。


数字と分析を武器に結果を積み上げてきた男だった。


「想像以上ですね。」


ACEは映像を止めた場面を指差す。


「ここです。」


LONGの氷設置を突破したシーンだった。


「普通は一度警戒して距離を取ります。」


「ですが彼は相手の選択肢を読んで前へ出ている。」


「しかも試合が進むほど精度が上がっています。」


REIGNも笑う。


「俺もベスト16くらいだと思ってた。」


「正直、ここまで勝つとは思わなかったな。」


会議室に小さな笑いが起きた。


その隣。


腕を組んだまま映像を見ていたZEROが口を開く。


韓国出身。


ORBIT唯一の海外選手。


若くして韓国トップクラスへ登り詰めた実力者だった。


「強い。」


全員が視線を向ける。


ZEROは続けた。


「試合中に成長してる。」


「珍しいタイプ。」


再び静寂。


だが誰も異論はなかった。


実際、MINATOの最大の特徴はそこだった。


最初から強いわけではない。


戦えば戦うほど強くなる。


試合中に修正し続ける。


だから後半になるほど手が付けられなくなる。


そして会議室の奥。


一人の男が資料へ目を落としていた。


ORBITヘッドコーチ。


登録ネームSAGE。


リーグ優勝経験を持つ名将だった。


「私も同意見です。」


その言葉で空気が引き締まる。


SAGEは資料を閉じた。


「実力。」


「将来性。」


「人気。」


「年齢。」


「全て高水準です。」


誰も反論しない。


新規参入チームであるORBITには足りないものがあった。


歴史。


実績。


ブランド。


だからこそ必要だった。


チームの顔となる存在が。


SAGEはモニターに映るMINATOの姿を見つめる。


「今のORBITに必要なのはスター選手です。」


REIGNが笑った。


「確かにな。」


ACEも頷く。


「人気面の効果も大きいですね。」


「REVOLT後のフォロワー増加率も非常に高い。」


ZEROも短く言った。


「ファン増える。」


全員の意見が一致していた。


そして最後に視線が集まる。


部屋の最奥。


ORBITオーナー。


若くしてプロチームを立ち上げた経営者だった。


新規参入。


下位予想。


赤字覚悟。


それでも世界一を目指すためにチームを作った男。


オーナーはしばらく黙っていた。


会議室も静かになる。


数秒後。


小さく笑った。


「そこまで評価しているのか。」


SAGEが即答する。


「間違いなく。」


REIGNも続く。


「俺は欲しい。」


ACEが言う。


「チームに必要です。」


ZEROも頷いた。


「一緒に戦いたい。」


満場一致だった。


オーナーはゆっくりと立ち上がる。


窓の外には東京の夜景が広がっていた。


無数の光が街を照らしている。


その景色を見つめながら、静かに口を開いた。


「交渉しよう。」


その一言で会議室の空気が変わった。


新規参入チームORBIT。


世界王者REIGN。


理論派ACE。


韓国の精鋭ZERO。


名将SAGE。


彼ら全員が欲しいと願った一人の選手。


MINATO。


天野湊。


本人はまだ何も知らない。


今も自宅でゲームをしているかもしれない。


だがREVOLT JAPANで見せた戦いは、確実に彼の人生を変え始めていた。


世界への道は、思っていたよりも早く目の前へ現れようとしていた。

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