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『ラウンド1から世界へ。』  作者: 龍崎
第1章  〜初めての大舞台〜

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第21話 エピローグ

REVOLT JAPAN終了から二週間。


大会の熱狂は少しずつ落ち着き始めていたが、天野湊の日常は以前とは少し違っていた。


昼はアルバイト。


夜はCHRONOS STRIKE。


生活そのものは変わらない。


それでも確実に変わったものがある。


部屋だった。


机の上には新品のマイク。


オーディオインターフェース。


配信用カメラ。


照明。


モニター。


大会入賞賞金で揃えた配信環境一式が並んでいる。


湊は椅子へ腰を下ろし、それらを見渡した。


ベスト4。


結果だけを見れば十分な成績だった。


だが本人にとっては悔しさの方が大きい。


世界大会本戦出場権には届かなかった。


KNIGHTにも勝てなかった。


最後はBLADEに敗れた。


思い返せば反省点はいくらでも出てくる。


それでも賞金は残った。


最初は新しいコントローラーを買うつもりだった。


貯金も考えた。


だが最終的に選んだのは別だった。


配信。


大会期間中、何度も目にした光景だった。


実況席。


コメント欄。


配信者たち。


MioやSHIRO。


そして自分の試合を応援してくれた大勢の人たち。


せっかくならやってみたいと思った。


湊はスマホを手に取る。


Nexを開く。


少し考えた後、短く投稿した。


MINATO


『本日20時から初配信やります』


投稿した直後から通知が鳴り始める。


『きたあああ』

『待ってた』

『マジ!?』

『絶対見る』

『配信始めるのか』

『景虎見たい』


反応の多さに思わず苦笑した。


ほんの数か月前まで、誰も自分のことを知らなかった。


それが今では配信告知だけでこれだけ反応が返ってくる。


少し不思議だった。


そして20時。


配信ソフトを起動する。


マイク確認。


音声確認。


映像確認。


問題なし。


深呼吸。


「よし。」


マウスを動かす。


配信開始。


画面が切り替わった。


同時接続。


100。


300。


700。


1000。


1500。


数字が止まらない。


「え。」


思わず声が漏れる。


予想の何倍も多かった。


コメント欄が一気に流れ始める。


『きたああああ』

『MINATO!』

『初配信!』

『RJお疲れ様!』

『待ってたぞ!』

『景虎見たい!』

『神楽シンも見せてくれ!』

『LEXどう思う?』

『LEGACY出る?』


湊は少しだけ笑った。


そしてマイクへ向かう。


「こんばんは。」


コメント欄がさらに加速する。


『こんばんは!』

『声若いな』

『本物だ』

『緊張してる?』

『RJ最高だった』

『応援してます』


「ありがとうございます。」


自然と笑顔になる。


大会会場で何百人に見られるより、不思議と緊張した。


だが数分も経たないうちに慣れ始める。


コメントを読む。


返事をする。


視聴者が反応する。


思った以上に楽しかった。


「初配信なんで、何話せばいいのか分かんないですね。」


『分かる』

『とりあえずゲームしよう』

『景虎出して』

『ランクやれ』


「結論出るの早くないですか。」


コメント欄が笑いで埋まる。


緊張は完全に消えていた。


これもゲームだ。


対戦相手がコメント欄になっただけだった。


「じゃあランクマッチやりますか。」


『きたあああ』

『待ってました』

『景虎!』

『ランク1位の配信始まった』


CHRONOS STRIKEを起動する。


ホーム画面。


ランキング。


景虎。


全てがいつも通りだった。


だが一つだけ違う。


今は多くの人が見ている。


応援してくれる人がいる。


期待してくれる人がいる。


景虎を選択する。


マッチング開始。


コメント欄は相変わらず流れ続けていた。


REVOLT JAPANは終わった。


しかし天野湊の物語は終わらない。


LEGACY。


世界の強豪たち。


そして新キャラクターLEX。


挑戦するべき舞台はまだいくらでも残っている。


対戦相手検索中。


その表示を眺めながら湊は自然と笑った。


負けた悔しさもある。


もっと強くなりたい気持ちもある。


だが何より。


今も変わらないものがあった。


ゲームが楽しい。


その気持ちだけは、昔からずっと変わっていなかった。

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