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元・狂戦士のオッサン案内人。〜俺の指す先を斬るだけで最強。最短の矢印に従う異世界女騎士とメイドが、特級ダンジョンを蹂躙する〜  作者: くるまAB
第2章:重なり合う異世界

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31. 【日本】特級への招待状と、女子力が死滅した騎士団

 ――ダンジョン管理局 窓口。


「そう……あの子(茜)に会ったのね。大丈夫だった?」

 望海の問いに、悠馬は肩をすくめてぼやいた。


「あぁ。色々あったが、和解したというか……向こうは今でも俺を殺す気満々らしいがな」

 そう言う悠馬の顔は、どこか吹っ切れたように晴れやかだった。


「今でも殺す気って……。まぁ、あんたが納得してるならいいわ」

 望海は呆れたように息を吐くと、手元の書類を整理した。


「あぁ。それより特級ダンジョン『虚無の門』、行っていいんだよな」

「えぇ。本部の承認も下りているわ。私がどうこう言う話ではなくなったわね」


 ――特級ダンジョン『虚無の門』。


 新宿の地下に鎮座するその魔窟は、現在、中層までしか攻略されていない。

 下層、そしてその先の深層へは、未だ誰も足を踏み入れていないのだ。

 

 理由は明白……潜るたびに、あるいは一定時間ごとに内部構造が塗り替えられる「完全ランダム生成」という特性にある。


「行くのはいいけど、死なないでよね」

「大丈夫だよ。まずは上層から中層の10階から20階あたりで腕試しだ。それに内部が変化したところで、俺には関係ないし……こいつらがいる」


 悠馬の背後では、アリスとノーラが今か今かとウズウズしていた。


「望海さん!任せてください!私たちならどんな場所でも攻略して見せます! エッヘン!」

「未知への対応……。ふふ、楽しませていただきます」


「ほらな。怖いより興味が勝ってんだよ。とりあえず、新宿へ向かうか」


 踵を返そうとした悠馬に、望海が鋭い声を上げた。


「ちょいちょい! アリスさん、ノーラさん、ちょっと待って!」

「ほぇ?」

「……なんでしょう」


 呼び止められた2人が首を傾げる。望海は2人の顔と、頭部を至近距離でジロジロと眺めた。


「2人とも、髪と肌が乾燥気味じゃない?梅雨時なのにそれは変というか、凄く気になるのよね。……悠馬。あんた、2人にシャンプーとか、その、美容に関すること何かやってるの?」

 

 帝国の厳しい環境基準ならば「健康」そのものだが、美容大国・日本の基準からすれば、彼女たちの潤いは明らかに足りていなかった。


「ん? 俺が使っている石鹸やシャンプーを2人にも使ってもらっているが」

 頭をポリポリと掻きながら答える悠馬に、望海は天を仰いだ。


「はぁ~!おじさんの加齢臭対策用とか、洗浄力が強いやつでしょ!それじゃ女子が大丈夫なわけないでしょ! ちょっと待ってて!」


 足早に奥へと消えていく望海。残された3人は言われるがまま待機する。


「はぁっ、はぁっ……! とりあえず『コレ』使ってみて!」

 戻ってきた望海の両手には、小分けにされた試供品の山があった。シャンプー、トリートメント、果ては風呂上がりのアウトバストリートメントまで。

 

「アリスさんは金髪ロングだから、こっち!ノーラさんは黒髪ミドルだから、こっち! アレルギーとかあるかもだから、肌に優しいやつを持ってきたわ! 使い方は……って、日本語読めないか、悠馬! あんたがちゃんと教えなさいよ!」

「あ、あぁ……分かった」


 何やらお洒落な袋に詰められた美容セットを渡され、悠馬は圧倒されつつも感謝を伝えた。


「望海、ありがとう。今夜使わせてみるよ。感想も伝える」

「あんたね、女子に対して無頓着すぎるわ。美容を舐めないことね!」


 凄まじい怒気を放つ望海に後ずさりしつつ、悠馬は冷や汗を流す。


「望海さん! ありがとうございます! よく分かりませんが、私たちのことを思ってくださっているのは理解しました!」

「望海様。朴念仁である悠馬様はさておき、下賜かしいただいた物品、有り難く頂戴いたします」

「え、えぇ! 2人ともこれだけの美人なんだから、もっと自分を磨きなさい!」


 悠馬を置き去りにした奇妙な「美容同盟」が誕生したが、悠馬は気にせず歩を進めた。

「じゃあ、行ってくるよ」


 特級ダンジョン。

 現代最強の探索者たちすら拒絶してきた『虚無の門』。


 オグリ家騎士団の真価が問われる魔窟へ。


 そう、『矢印』の向かうあの場所へ――。

お読みいただきありがとうございます!


特級への承認が下りてシリアスな展開かと思いきや、望海さんの「待った」がかかりました。

悠馬の無頓着なシャンプー選びに天を仰ぐ望海さん……彼女もまた、別の意味で苦労が絶えなさそうです(笑)。

美容セットを手にしたアリスたちの「さらさらヘアー」での特級攻略に期待ですね!


毎日18時に更新しております!


「望海さんのツッコミが的確すぎる!」「ノーラ頑張れ!」と思っていただけたら、作品フォローやブックマーク、星(★★★★★)での応援をよろしくお願いします!

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