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元・狂戦士のオッサン案内人。〜俺の指す先を斬るだけで最強。最短の矢印に従う異世界女騎士とメイドが、特級ダンジョンを蹂躙する〜  作者: くるまAB
第1章:再起の矢印と霧晴れる迷宮

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1. その案内人、最適解につき

今日は3話一気に公開いたします。残り2話は19時、20時に公開予定です。

 第1章:再起の矢印と霧晴れる迷宮


 現代の迷宮「ダンジョン」は、効率と合理性が支配する場所だ。

 少なくとも、30歳の案内人、小栗おぐり 悠馬ゆうまにとってはそうだった。


 成田市 中級ダンジョン 『悪魔の遊び場』。

 薄暗い5階層の分岐路。

 皮鎧に腰には短剣と言う軽装備で、悠馬は気怠げに壁に背を預けていた。

 すぐ側では、装備だけは立派な若手パーティが「右だ!」「いや左が安全だ!」と騒ぎ立てている。


「……おい、おっさん」

 リーダー格の男が、不機嫌そうに悠馬を睨んだ。

「さっきから突っ立って何してんだ? 死にたいなら他所でやってくれ」


 悠馬は重い瞼をゆっくりと上げ、ボリボリと面倒そうに頭を掻いた。

「……いや。3秒後にそこ、火が出るぞ」


「ハあ? 何言って――」


 3、2、1。

 男が言い返すより早く、通路の床から猛烈な火柱が吹き上がった。


「うわあああ!?」

 間一髪で飛び退く若手たち。 悠馬はそれを眺めることもなく、よろよろと立ち上がった。


「……5階層の罠は秒刻みだ。ガキが来る場所じゃない」


 悠馬の視界には、網膜に焼き付いたような【青い矢印】が静かに浮かんでいる。

 スキル『道標ガイドポスト』。

 それは単なるナビではない。

 ダンジョンそのものの「最適解」を暴き出す、理外の力だ。


 悠馬は欠伸を噛み殺すと、矢印が指し示す「最短ルート」へと歩き出した。

 本来、中級ダンジョンはソロで挑む場所ではない。 ましてやこの階層の魔物は、街を滅ぼしかねない個体も混ざる。


 だが、悠馬に焦りはない。

 悠馬の実力なら正面から捻り潰すことも可能だが、彼は何より「面倒事」を嫌った。


(……だるいな。まともに斬り合うと装備が汚れる)


 前方から、3頭のオークが咆哮を上げて突進してくる。

 悠馬は腰の短刀を抜くことすらせず、矢印が指した1点――壁に設置された古い燭台を、通りすがりに軽く叩いた。


 ――グオォッ。


 直後、天井から数トンはあろうかという巨大な岩盤が自由落下し、オークたちを肉片1つ残さず圧殺した。

 悠馬は飛散する血飛沫を、計算し尽くされた歩みで回避する。

 戦うのではない。 ダンジョンを「操作」しているのだ。


 6階層、7階層――。

  本来なら複数人パーティーが1日かけて到達する中層を、悠馬は散歩のような足取りで進んでいく。


「……さて、10階層か。今日のボスは何だったかな」


 たどり着いたのは『主の間』。

 扉を開けると、そこにはこの階層の主である『大鬼オーガ』が、棍棒を振り上げて待ち構えていた。

 だが、悠馬の目はオーガを見ていない。 視界の隅で明滅する矢印――その先にある「床の亀裂」を見ていた。


「そこか……」


 悠馬が小石を1つ放り投げる。

 石が特定のタイルに触れた瞬間、オーガの足元の床が跳ね橋のように跳ね上がり、巨体を天井の鋭利な氷柱トラップへと突き上げた。


 ――ズ、ブ。


 断末魔すらなく、オーガは串刺しとなって絶命した。

 悠馬は「やれやれ」と肩をすくめ、ボスの素材を回収しようと部屋の奥へ向かう。

 そこで、悠馬の足が止まった。


「……? なんだ、これ」


 部屋の隅、瓦礫が積み重なった場所に、2人の女性が重なるように倒れていた。

 1人は、ひび割れた純白色の甲冑を纏った金髪アホ毛の少女。

 1人は、血に濡れたメイド服を着た黒髪ポニーテールの女性。

 2人とも深い傷を負い、完全に意識を失っている。

 そして――どうみても現代の探索者ではない。


「……不法投棄か? 勘弁してくれよ、俺は案内人で、ゴミ拾いじゃないんだが」


 悠馬は再びボリボリと頭を掻き、面倒そうに彼女たちの前でしゃがみ込んだ。

 だが、その指先に浮かぶ矢印は、これまでに見たことがないほど強く、激しく発光している。

 その光が指し示す先は、ダンジョンの出口ではなく――彼女たちの胸元、その「命の鼓動」だった。


「……ったく。『矢印』が指す先は、常に『最適解』なんだ。……見捨てろ、とは出てないな」


 悠馬は溜息を吐き、意識のない女騎士をひょいと肩に担ぎ上げた。

 三十路案内人による、史上最も「面倒で最強な」救出劇の始まりだった。

お読みいただきありがとうございます。

投稿初日の今日は3話一気に公開いたします。残り2話は19時、20時に公開予定です。ぜひご一読下さい!


最強の案内人のはずの悠馬と、異世界から来たアリスリアたちの出会い、いかがでしたか?自堕落な男が、実は……という王道感をこれからたっぷりお届けします!第1章完結まで毎日投稿しますので、少しでもワクワクして頂けたら、下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価を頂けると、初連載の大きな支えになります!

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