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細道を行くにゃん

 崖っぷちの道はいよいよ魔法馬一頭でいっぱいになる。しかも凸凹が更に激しくなっていた。

 普通はとてもじゃないが魔法馬では進めない道だ。オレの場合、魔法馬を降りた方が難しそうだけどな。

「にゃあ、でもこの道でいいにゃん?」

 先頭を行くカティに聞く。

「以前はここまで酷くはありませんでした、渓谷側にかなり崩れたみたいです」

「旧道にしても変だと思ったにゃん」

「旧道だった場所ってのが正解だな」

 しんがりを務めるラルフの声がする。

「言い得て妙にゃん」

「すいません、リサーチ不足でした」

「いや、ちゃんと進んでいるんだから問題ない」

「そうにゃんね」

「……」

 アレシアは涙目のままだったが、不平は言わなかった。

「スリル満点だね」

 リーリはオレの頭の上から谷底を覗き込んだ。

「ここも、バイネス狩猟団が出没する地域であることに変わりませんから気を付けて下さい」

 カティが注意する。

「にゃあ、こんなところで獲物を待ってて商売になるにゃん?」

「聞いた話では、バイネス狩猟団が根を張ってる地域は広大で、獲物を見付けてからその都度移動してるらしいです」

「にゃあ、意外と頭を使ってるにゃんね」

「バイネス狩猟団って、本当に盗賊なの、何処かの騎士団崩れじゃなくて?」

 アレシアの考えももっともだ。

「少なくとも首領のアウローラ・バイネスが騎士団に所属していた記録はないな」

 ラルフが教えてくれる。

「バイネスって女みたいな名前にゃんね」

「団長が若い女らしいぞ、しかも美人らしい」

「にゃあ、美人の首領にゃん」

 露出度の高い服装をしてるのだろうか?

 一度、見てみたい。

「話では、俺よりずっとデカくてクマの特異種を素手で殴り殺すらしい」

「盗賊の首領だけあって半端ないにゃんね」

「本当に女の人なの?」

 リーリが首を捻る。異世界でも珍しいらしい。

「ああ、何処まで本当かわからないけどな」

「本物なら見てみたいにゃん」

「ネコちゃん、そういうことは言わないほうがいいよ、本当に来ちゃうから」

「どんと来いにゃん!」

「ヤメてくれ、到着が遅れる」

「にゃあ」

「バイネス狩猟団が盗賊狩りで壊滅してるといいんだけど」

「残念ながらそんな情報は入って来てないな」

「盗賊狩りって、やっぱり武装商人がやってるにゃん?」

「ああ、武装商人たちが連帯してやってるらしい」

 イートンとジェフリーも関係してる?

 殺し屋を送られるぐらいだから無関係ではないか。

「未確認だが、バイネス狩猟団もかなり追い込んだそうだ」

「話を聞くとバイネス狩猟団の方が強そうに聞こえるのに追い込まれてるにゃんね」

「バイネス狩猟団は幹部級はめちゃくちゃ強いが、表には出て来ないからな、手下どもは普通の盗賊だから武装商人とやり合うほどの力はないんじゃないか?」

「にゃあ、幹部級が強いにゃんね」

「厄介なのは、こいつらは死霊魔導師と同じで幹部を叩かないと下っ端を片付けても意味がないってことだな」

「にゃあ、意味はあるにゃんよ、儲かるにゃん」

「それなら死霊も儲かるわよ」

 アレシアはオレの直ぐ後ろを行く。魔法馬初心者にしてはちゃんと形になっていた。

「死霊が売れるにゃん?」

 用途が思い付かない。

「死霊から魔石が採れるの、それがかなりいい値段になるはずよ」

「魔獣の魔石に比べると小さいからかなり安くなるが、それでも一個に付き大金貨三枚になるはずだ」

「にゃあ、それは盗賊とじゃれてる場合じゃないにゃんね」

「死霊の大発生だからな、マコトが幾ら稼げるか俺にも想像が付かない」

「ネコちゃん、物凄いお金持ちになりそう」

「にゃお、死霊を相手にしたことがないから、捕らぬ狸の皮算用はしないにゃん」

「ネコちゃんは偉いね」

「アレシアなら仕事をヤメてるな」

「兄さんだって似たようなモノじゃないの?」

「俺は速攻で辞める」

「兄妹だけあって息ピッタリにゃん」

 魔石はエーテル機関のはずだが?

 それって魔獣ってことか?

 でも話を聞く限り死霊はそこまで強くはなさそうだが。

『リーリ、死霊の魔石ってエーテル機関にゃん?』

 リーリに念話を飛ばした。

『魔獣のエーテル機関が人間の中に発生することはないんじゃない? 発生してもマナが薄くて直ぐに動けなくなると思うし』

『にゃあ、すると魔獣のエーテル機関とは別物にゃんね」

『あたしも死霊は見たことがないからはっきりとは言えないけど、人間のエーテル器官が変質したものだと思うよ』

『死霊は人間に戻せないにゃん?』

『魂が元とは違ってるから修復してもグール化するんじゃない?』

『にゃお、それはマズいにゃんね』

『素直に送ってあげるのがいいと思うよ、それに修復する余裕もないだろうし』

『にゃあ、そうにゃんね、でも元が人間だと思うと気が重いにゃん』

『マコトが送ってあげないといつまでも化け物のままになっちゃうよ、それって本意じゃないだろうし』

『元が普通の人間ならそうにゃんね』

『人間に戻せなくても救ってあげることに変わりはないと思うよ』

『にゃあ、やれるだけのことはやってみるにゃん』


 道とは呼べない様な場所だったので盗賊どころか人っ子一人出会うこと無く暗くなってしまった。

 空は曇っていては、オルビスの明かりも期待できない。

「マコト、もう限界だろう?」

 後ろから声が掛かった。

「にゃあ、そうにゃんね」

 魔法で暗い視界を補えるオレとカティと違ってアレシアとラルフは前の馬を目安に進むことになる。

 実際には魔法馬に丸投げで問題ないのだが想定外の事態が起こった時が危険だ。

「無理はしない方がいいですね」

 カティが馬を止めた。

「ああ、こう狭い山道では夜の移動は無理だろう、夜明けまではおとなしく野営するのがいい」

「にゃあ、この辺りで野営にゃんね」

「そうは言っても崖っぷちの待避所もない場所で野営は危なすぎるから、この先にもうちょっとマシなところはないのか?」

「魔法馬が道を踏み外したら真っ暗な谷底に真っ逆さまよね」

 オレの魔法馬の場合、アレシアの言う様なことにはならない。

「にゃあ、ざっくり調べた感じでは、この先数キロが似た調子にゃん」

「マジかよ?」

「マコトさんの仰った通りみたいです」

 カティも探査魔法を打っていた。

「にゃあ、天気も悪くなりそうだから崖に穴を掘るにゃん」

 崖に生える木々の間に穴を穿つ。

「おい、そんなところを掘って大丈夫なのか?」

「にゃあ、周囲をちゃんと固めてあるから大丈夫にゃん」

 穴を固めながら広げて中にロッジをこしらえる。

「相変わらず、スゴい魔法ね」

「にゃあ、魔力が有れば誰でもできるにゃん」

「いや、その魔力が普通ないから」

「ないですね」

「さあ、入るにゃん」



 ○アポリト州 フルゲオ街道 旧道 街道脇 横穴式ロッジ


 アレシアとカティのツッコミは軽く流してロッジの扉を開いた。

「ネコちゃん、崖が崩れたら危ないんじゃないの?」

「にゃあ、入口が埋まったらまた掘ればいいだけにゃん」

「マコトならそれも有りか」

 全員分の魔法馬を仕舞って横穴式のロッジにぞろぞろと入り込んだ。

 いつもは地下に伸びてるロッジだが今回はうなぎの寝床状に奥に伸びてる。

 入口を潜ると直ぐにリビングで、その先に四つの寝室を並べた。

 どれもバストイレ付きだ。

「俺たちの家より立派で綺麗だ」

「私の家よりもです」

「スゴい、話に聞いていた以上ね」

 アレシアはオレと野営するのは初めてだからロッジに随分と驚いていた。

「にゃあ、出来たてだから綺麗なのは当然にゃん」

「ここって外からはどうなってるんだ?」

「にゃあ、偽装してるから普通の人間に入口は見えないにゃん」

「魔法使いだったらどうだ?」

「にゃあ、オレ同等の力を持ってれば見破れるにゃん」

「マコトと同等か、敵にしたら相当ヤバいな」

「にゃあ、ヤバい時は逃げるだけにゃん」

「ああ、それがいちばんいい」

「魔法使いどころか人ひとりいないからマコトはご飯作りに集中していいよ」

「にゃあ」

 リーリが保証してくれた。というか催促された。


 恐鳥の特異種の肉で作ったカレーでの夕食の後、テーブルに地図を広げて打ち合わせする。


「明日も渓谷に添って進むので、たぶん似た感じの道が続きます、がけ崩れが多い場所なので気を付けて下さい」

「にゃあ、魔法馬の防御結界が有るから、がけ崩れぐらい問題ないにゃん」

「渓谷を抜けた先はどうなっているんだ?」

「また森です、そこは平坦な道ですが更に治安が悪くなります」

「にゃあ、いよいよ盗賊が出るにゃんね」

「盗賊はもちろんですが、守備隊の質が悪いので気を付けて下さい」

「アルボラより悪いにゃん?」

 アルボラの守備隊だって盗賊をやってたヤツがいたし、プリンキピウムの元隊長なんかチンピラそのものだった。

「比べるのが失礼なレベルです。犯罪ギルドが守備隊を仕切ってると思って下さい」

 カティの言葉はオレの予想の上を行った。

「にゃあ、それは相当にゃん」

「はい、ですからおかしいと思ったら殲滅して構いません」

「殲滅とは過激にゃん」

「仕方ありません、温情を掛ければそれだけ犠牲者が増えると思って下さい」

「にゃあ、わかったにゃん」

 オレの認識はかなり甘かったみたいだ。

「森の先がアポリト州の州都スプレームスになります」

「国境に州都が隣接しているんだよね」

 アレシアもあまり詳しくないようだ。

「そうです、スプレームスはフルゲオ大公国との貿易から発展したそうですから、国境に面した場所に州都があります」

「州都の冒険者ギルドには寄るにゃん?」

「いや、用事でもなきゃそのまま素通りだ、オパルスから情報が行ってるだろうから報告することもないしな」

 ラルフは素通りを宣言する。

「にゃあ、州都の冒険者ギルドに用事ができるかどうかは、この先次第にゃんね」

「もしかして盗賊が出たら狩るつもりか?」

「にゃお、道を塞がれたら退かすしかないから仕方ないにゃん」

「それは仕方ありませんね」

「速度優先で頼むぞ」

「にゃあ、襲われない限りはおとなしくしてるにゃん」

「それが正解だ」



 ○帝国暦 二七三〇年〇六月〇六日


 日付が変わった辺りで雨が降り出した。

 プリンキピウムほどではないがそこそこの雨脚だ。

 崖の所々で臨時の滝が出来ていた。

 遠い場所から地鳴りもする。

 土砂崩れだろうか?

 閃光と落雷の音がして、バケツをひっくり返したと形容するのがピッタリの降り方になった。

 いまにも地滑りが起きそう。

 ロッジがまるで滝の裏側にあるみたいだ。この辺りでは良くある光景なのかもしれないが正直怖い。

 ここは崖の中なので問題ないとは思うが、まるごと地滑りは勘弁なので周囲を更に厳重に固めた。

 明け方までに雨が止めばいいのだが、こればかりはどうしようもないにゃんね。



 ○アポリト州 フルゲオ街道 旧道


 夜が明けて外に出た。

「うわっ、道がドロドロのヌルヌル!」

 アレシアが声を上げた。

 幸い雨は上がっていたが、路面のコンディションは最悪で、徒歩でもズルっと行きそうだ。

「ああ、こいつはヤバいな、滝が幾つも出来てやがる」

 滝と言うより瀑布って言葉がしっくりくるほどの水が崖の上から落ちている。昨日いっぱい降ったからって多すぎだ。

「崖の上にも川が有ったみたいだね」

「にゃあ、有ったというより出来たと言う感じにゃん」

「残念ですが今日は進めそうにないですね」

 大量に落ちる水は道こそ削り取ってはいないが、魔法馬に乗って通れる状態では無かった。

「半日も待てば収まるだろう」

「にゃあ、半日は大きいにゃんね」

「待たなくてもマコトの魔法と魔法馬の防御結界で何とかなるんじゃない?」

 リーリが提案した。

「そうにゃんね、問題ないにゃん、行けるにゃん」

 四頭の魔法馬を再生した。

「大丈夫なの?」

 アレシアはまだオレの魔法馬の実力を信じきれてないらしい。

「マコトを信じるんだよ!」

 リーリが拳を突き上げて叫ぶ。

「私はマコトさんを信じます」

 カティはいい子だ。

「わかったわ、あたしもネコちゃんを信じる」

「ラルフはどう?」

「俺も問題ない、行こう」

「にゃあ」

 全員が馬に乗った。

「今日はオレが先頭になって行くにゃん」

 泥に足を取られないように魔法馬たちは慎重に足を進めた。


「にゃお」

 十五分ほど進んだ先が、まるで巨大ダムの放水だった。

 魔法で水の軌道を変え防御結界で飛沫から身体を守りつつ水のアーチを潜り抜ける。

「「「……っ」」」

 三人は緊張しつつオレの後を付いて来る。

 肉眼で滝を裏側から見るとこんな感じなのか。

 轟音を上げる泥水は感動じゃなくて鳥肌が立つぐらいの恐怖を感じる。

「「「はぁ~」」

 滝を無事に通り抜けて安堵のため息を吐いた。

「大迫力だったね」

「にゃあ」

「はい、スゴかったです」

「そこを簡単に抜けさせてくれるネコちゃんはもっとスゴいよ」

「そうだよマコトはスゴいんだよ!」

「滝はまだ有るんだよな」

 目視で確認できただけで三つもある。

「にゃあ、心配しなくても簡単に抜けられるにゃん」

 怖いけどな。

「滝は心配してないが、それより厄介なのは道のぬかるみだな、さっきより酷いぞ」

 泥が溜まってるせいで魔法馬の足がズブズブと潜るので、馬たちは絶え間なく足踏みをしてる。

「にゃあ、足場の補正が効いて無かったにゃんね、この先はキツ目に調整するにゃん」

 魔法馬の調整をする。

 足場の補正は魔法馬の機能だ。

 魔法馬の足が沈むこと無く地面の表面に留まる。

「おお、急に安定した」

「こんなにドロドロでも関係ないんだ」

「にゃあ、でも安全第一にゃん」

 突然、轟音と共にさっき潜ったばかりの滝が有った場所が崩れ落ちた。

「大迫力だね」

「にゃお、安全第一で急ぐにゃん」

「そうですね」

「お、おお!」

「あっ、待ってよ!」

 魔法馬を慎重に歩かせて先を急いだ。


 昼過ぎに危険な渓谷を抜けてなだらかな森に出た。


「止まれ!」

 早速、ガラの悪い連中が狭い道を塞いだ。

「マコト、あいつらは盗賊じゃないからぶっ飛ばすなよ」

「にゃあ、オレだってわかるにゃん、あいつらはアポリト州の守備隊にゃんね」

「盗賊よりたちが悪いから気を付けて下さい」

「ここは、あたしに任せて」

 アレシアが胸を張る。

「にゃあ、大丈夫にゃん? 盗賊並みに臭う連中にゃんよ」

「ふふん、問題ないわ」

「まあいいか、ヘマはするなよ」

 兄貴も妹に任せることにした。

「見てて」

 小声で打ち合わせを済ませた。

「おい、何をごちゃごちゃ言ってる、馬を降りてカードを見せろ」

 声を上げたのは盗賊との違いは守備隊の恰好をしてるだけの中年男だ。

 実際にはもっと若いのかもしれないが見た目は五〇過ぎ。

 他の連中も似たり寄ったり、そろって盗賊並みに不潔で汚い上に左右の藪に仲間の守備隊員が隠れているフォーメーションまで盗賊だ。

「見せるのは構わないけど足止めは勘弁してもらえるかしら」

「さあ、そいつはどうかな?」

 ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべる。

「あたしたち大公国の依頼で急いでるんだけど、ここで足止めするとあなたたちも後で困った事になるわよ」

「おいおい、大公国を出せば俺たちがビビるとでも思ってるのか?」

「いいえ、邪魔者は強制排除のお許しをもらってるだけよ、わかるでしょう?」

「たった四人で俺たちとやり合うってか?」

「試してみてもいいけど全員、犯罪奴隷落ちになるわよ」

「おい、お嬢ちゃん、俺たちはアポリトの守備隊だ、大公国なんぞ関係ねぇぞ」

「ふ~ん、そうなんだ」

「それにここでぶっ殺せば大公国のバカどもは何もできないぜ、おい!」

 男の合図で藪から仲間たちが出てオレたちを囲む。

「おい、ちゃんと交渉しろよ」

 妹に苦言を呈するラルフ。

「だって、大公国を出しても引っ込まないなんて想定外なんだもん」

「アポリトをアルボラと一緒にしてはいけません」

「すいません」

 アレシアは小さくなる。

「男とガキは直ぐに殺せ、女はあまり傷を付けるな」

「「「おう!」」」

 オレには商品価値がないらしい。

「あたしなんか、無視されちゃったよ」

「にゃあ、リーリは認識阻害を使ったのと違うにゃん?」

「マコトにはバレる様になっちゃったか」

「にゃあ、なんとなくにゃん」

 かすかな違和感を感じただけだ。

 はっきりわかるレベルじゃない。

 リーリと話してる間に守備隊の連中は手入れの悪い剣を抜いた。

「にゃあ、こいつらを片付けていいにゃん?」

「結局そうなるか、いいぞ、マコトの好きにしてくれ」

 ラルフが苦い顔をして肩をすくめた。

「抵抗しなければ楽に……」

「にゃあ!」

 盗賊系守備隊のおっさんがセリフを言い終わる前に電撃を浴びせた。

「一瞬か」

 ラルフがボソっと言う。

 バタバタと倒れるおっさんたち。

「この人数ならそうにゃんね」

 まだ藪の中に隠れてるのも含めて全部で八人を素っ裸にして気絶させた。

「うわ、裸になってる」

「カティには縛り上げる仕事をやるにゃん」

「えっ、む、無理です」

「にゃあ、魔法で拘束すればいいにゃん」

「申し訳ありません、そう言う系統は苦手なんです」

「裸のおっさんを触るのが嫌なんじゃないの?」

「それは違います!」

「にゃあ、苦手なら仕方ないにゃん」

 護送袋を八枚取り出して袋を操って裸のおっさんどもをそれぞれ飲み込ませる。箱はかさばるから袋を使った。

 後は小型の馬車を出して積み込んだら終わりだ。

「ゴーレムか」

「内緒にゃんよ」

 ゴーレムを使って八つの護送袋を荷台に載せて縄を掛けて固定する。

「護送袋をむき出しで八つも積んでたら、まともなヤツならまず襲って来ないだろう」

「盗賊にまともな奴なんているにゃん?」

「大概はまともだぞ、そうじゃなかったら直ぐに死ぬ」

「盗賊も大変にゃんね」

「それだけに長く生き延びた盗賊は厄介だ、まず捕まえられない」

「襲っては来ないにゃん?」

「そういうヤツらはこの護送袋を見たら直ぐに逃げ出す。これを見てもちょっかいを出す連中は長生きしないタイプだ」

「にゃあ、だったらこの先はベテラン揃いがいいにゃんね」

「大丈夫よ、次はヘマをしないから」


 アレシアは頑張ったが数時間後には馬車が二台になっていた。


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