表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/357

指名依頼にゃん

 ○州都オパルス 冒険者ギルド ギルドマスター執務室


 フリーダの執務室でオレはソファーによじ登った。

「ラルフ、ネコちゃんたちに説明してあげて」

「はい」

 ラルフは小さめのタブレットから情報を読み上げる。

「先ほどフルゲオ大公国の冒険者ギルドのギルマスから、同国内で死霊の大量発生が起こったと連絡があった」

 フルゲオ大公国は森を挟んでアルボラ州の西に位置するアナトリ王国の属国だ。

 人口六〇万。アナトリ王国の六分の一の大きさがある。

 国土の大半が人跡未踏の森林らしい。

 アルボラ州の隣ではあるが直接繋がる道が存在しないので一度北側にあるアポリト州に出る必要がある。

 オパルスの図書館で仕入れた情報だ。

「にゃあ、死霊って怨霊にゃん?」

 半エーテル体のことだろうか?

「怨霊よりももっと始末が悪いものよ、人間を喰い殺して仲間にするの、怨霊よりも大きな群れを作って積極的に襲って来るそうよ」

「にゃお」

 怨霊よりも厄介そうだ。

「怨霊とのいちばんの違いは、死霊は死霊魔導師に使役され統制だった動きをする点にある」

 死霊に付いてラルフが補足してくれる。

「にゃあ、魔導師が操ってるにゃんね」

「いや、魔導師と名前がついてるが、こいつは人間の特異種らしい」

「グールとは違うにゃん?」

「厄介なのは普通の人間と見分けがつかないと言われてるわ」

「にゃあ、それって普通の人間と違うにゃん?」

「普通の人間は空を飛ばないわ」

「死霊魔導師は空を飛べるにゃん?」

「そう言われてる」

「にゃあ、はっきりしないにゃんね」

「死霊魔導師は目撃情報があるだけで、討伐記録もほとんどない」

「そう言うわけだから、残念ながら本当のところは特異種かどうかもわからないみたいね」

「にゃあ、リーリは知らないにゃん?」

 頭上のリーリに訊く。

「死霊は怨霊よりは実体に近いかな? 人間しか襲わないなら放っておけばいずれ消えるはずだよ」

「僻地ならそれも有りなんだが、今回は中規模の街が一つやられたらしく悠長に構えてはいられない様だ」

 ラルフの持ってるタブレットに新しい情報が入ってる。なにげに便利そうな魔導具にゃんね。

「にゃあ、それで死霊の大発生に何でオレが呼ばれるにゃん?」

「何で?」

 リーリも首を傾げる。

「死霊には魔法、それも聖魔法が最も効果が期待できる攻撃らしい」

「フルゲオ大公国に聖魔法を使う魔法使いはいないにゃん?」

「宮廷魔導師にはいるんじゃないかしら? でも彼らは冒険者でも軍属でもないから死霊の前には立たないわね」

「それ以前にあれほどの聖魔法を使える冒険者はアナトリ王国広しと言えどマコト一人だと思うぞ」

「にゃ、そうにゃん?」

「普通は宮廷魔導師を目指すか、聖魔法専門の魔法使いになるわね」

「わざわざオレが行くより国内でその専門家を集めた方が早いと違うにゃん?」

「無理無理、非戦闘系の魔法使いを死霊の前に出したって、震え上がって使い物にならないわ」

「にゃお、情けないにゃん」

「マコトはスゴいからね」

「戦いとは無縁な連中を無理に連れ出しても直ぐに魔力切れを起こして死霊にたかられるのが関の山だ」

「いまの状況だと、とにかく死霊の数を減らさないとマズいみたい」

「前例のない大発生だそうだ」

「死霊魔導師を倒さないと根本的な解決にならないと違うにゃん?」

「根本的な解決はね」

「にゃあ、いままではどうやって倒したにゃん?」

「記録に依ると一〇〇年ほど前にSランクの冒険者が倒したのが唯一の討伐記録だが、詳細は不明で捏造の可能性が高いらしい」

「にゃあ、変なところで見栄を張ったにゃんね」

「そうだね」

 リーリも頷く。

「死霊魔導師は、向こうの人間に任せていいそうだ、こちらとしても存在があやふやで危険な怪物に大事な冒険者は差し向けられない」

「にゃあ、出来そうなら死霊魔導師も退治するにゃんよ」

「無理はしないでね」

「にゃあ、もちろんにゃん、無理な時は尻尾を巻いて逃げるにゃん」

「私たちも出来ればネコちゃんを行かせたくないんだけど、あちらのギルマスの正式な要請だから無碍には断れないの」

「にゃあ、何でフルゲオ大公国のギルマスはオレが聖魔法を使えるって知ってるにゃん?」

「何故かしら不思議ね」

「フリーダ様が、大公国のギルマスにマコトを自慢したからじゃないですか?」

「にゃお」

「そんなことよりネコちゃん、直ぐに行って貰ってもいい?」

 誤魔化したにゃんね。

「にゃあ、わかったにゃん、これから行くにゃん」

 ソファーから飛び降りた。

「待ってくれマコト」

「にゃ?」

 フリーダの執務室を出て行こうとしたところをラルフに呼び止められた。

「オレと道案内とあちらでの折衝役が一緒に行く」

「三人にゃん?」

「ええ、冒険者ギルドから三人出すわ」

「にゃあ、すると全部で四人にゃんね、魔法車を変更する必要ありにゃん」

「魔法車で行くの?」

「にゃあ、馬より速いにゃん」

「でも、魔法車でしょう?」

 州都を走ってる自動車黎明期の様な代物を見れば心配になるのもわかる。

「オレの魔法車はちゃんとしてるから大丈夫にゃん」



 ○州都オパルス 冒険者ギルド 裏庭


 冒険者ギルドの裏庭で魔法車を作り変えてジープ型にした。自動車黎明期のクラッシックカーから一気に時代が進んだ。

 少し大きいが形は三菱のジープを真似てるからこれだって新しくはないけどな。

 さっきの魔法車と違ってこれなら四人でもOKだ。

「マコトさん、本当に魔法車で行くんですか?」

「にゃあ、そうにゃん」

 訝しげにジープを見るのは、昨夜再会したばかりのBランクの魔法使いカティ・ビーソンだ。

 実は彼女、フルゲオ大公国の出身で急遽呼び出されて今回の道案内役をしてくれることになった。

「アレシア・マーレイです、よろしくね」

 確か受付嬢の一人だ。

 年の頃と胸の大きさはフリーダと同じぐらい。

 たぶん冒険者ギルドの有望株だろう。

「にゃあ、よろしくにゃん、マーレイってラルフと同じファミリーネームにゃんね」

「兄妹なんじゃない?」

「妖精さんの言う通りアレシアは俺の妹で、あっちでの折衝を担当する」

「にゃあ、折衝役が必要な場所にゃんね」

「大公国軍が出張ってる可能性が高いからな、マコトにちょっかいを出せないようにする」

「大公国軍が出てるのにオレも行くにゃん?」

「死霊が相手では大公国軍でも結果は見えてる」

「ネコちゃん、危なくなったら皆んなで逃げちゃってね」

 見送ってくれるフリーダが身も蓋もないことを言う。

「にゃあ、オレも最初からそのつもりにゃん」

 オレはジープの運転席に乗り、助手席には道案内役のカティ、後ろの横に座る座席にはラルフとアレシアの兄妹を乗せた。

 リーリはオレの頭の上だ。

 ジープにチャイルドシートとアクセルとブレーキの補助具を付けたのでオレでも難なく乗りこなせる仕様になってる。オートマで自動運転レベル5だしな。

「にゃあ、行って来るにゃん!」

 午後一で州都の冒険者ギルド前を出発した。



 ○州都オパルス 市街地


「州都の城壁門を出たら北に向かえばいいにゃん?」

「そうです、北に向かうアルボラ街道に入って下さい」

「にゃあ、了解にゃん」

 魔法車は州都の市街地を滑るように走る。

「随分と乗り心地がいいんだな」

 ラルフが感心していた。本物のジープより大きくしたが、それでもガタイのいいラルフにはちょっと狭かったか。

「にゃあ、そこらの馬車と一緒にしないで欲しいにゃん」

「そうだよ、マコトの魔導具はスゴいんだから!」

 リーリはオレの魔法車の凄さをわかってくれてる様だ。

 しなやかな足回りは、前世の知識で作った独立懸架のサスペンションを魔法でいい感じにまとめてる。

『ジープなのに独立懸架なのか!』というツッコミは無しで。

 形は似てるが中身はまったくの別物だ。



 ○アルボラ街道


 門を出て北に向かうアルボラ街道に入ると、プリンキピウム街道と違って畑が遠くまで広がっていた。木々は小さな林がある程度だ。

「それにしても馬車が多いにゃんね」

 馬車が多いのでスピードは上げられない。

「王都方面に続く街道だからな、商人の馬車も多い」

「にゃあ、走れば走るほど空いてくるプリンキピウム方面とは違うにゃんね、これは夜も走って距離を稼ぐしかないにゃん」

「夜も魔法車ってそんなに連続で走って大丈夫なの?」

 アレシアはジープの耐久性を気にしてる。

「にゃあ、問題ないにゃん、その辺りの馬車よりずっと頑丈にゃん」

 魔獣由来の材質に自動補修付きで向かう所敵なしだ。

「他の馬車がいなくなったら夜道をかっ飛ばすにゃん」

「この魔法車ってもっと速度がでるんですか?」

 カティも現行の魔法車から思考が離れないらしい。

「にゃあ、出るにゃんよ」

「本当なのネコちゃん? いまだって馬車と一緒に走ってるのに」

 アレシアはまだ信じてなかった。

「にゃお、馬車と一緒なのは交通量が多くて追い抜けないからにゃん、本当はもっと速く走れるにゃん」

「そうなると確かに夜だな」

「にゃあ、カティは夜に走っても平気にゃん?」

「私は探査魔法があるから大丈夫です、マコトさんこそ大丈夫なんですか?」

「にゃあ、オレも問題ないにゃん」

「ネコちゃん、眠くなっちゃうんじゃないの?」

「にゃあ、その時はジープに任せて寝るにゃん」

「魔法車に運転を任せるの?」

 アレシアはオレの魔法馬を見たことがないから驚くのも無理はない。

「にゃあ、自動運転付きにゃん」

「そうなると魔法車と言うより人を乗せて走るゴーレムね」

「マコトの魔導具はそういったモノが多いから驚くぞ」

 ラルフが妹相手にオレの魔導具に付いて解説を始めた。


 州都から少し離れると交通の量に大きな変化はなかったが、馬車の流れは良くなった。

「この速度ならプリンキピウムに行く街道よりはかなりマシにゃんね」

 信号もないし街道を走る馬車が優先なので流れもいい。

 プリンキピウム方向のボロボロの馬車と違ってどれも小奇麗でちゃんとしてるから速度も出ていた。

 オレのジープには物足りない速度だけどな。

「にゃあ、大公国の詳しい状況を教えて欲しいにゃん」

 後部座席のラルフに訊く。

「さっきの話に補足する程度だけどな」

「にゃあ、十分にゃん」

「死霊は最初に大公国の北西部で発生したらしい、詳しい日時は不明だ。あちらの冒険者ギルドで情報を掴んだときには既に手の付けられない状態になっていたそうだ」

「中規模の街がやられた状態にゃんね」

「それも一つではないようだ、あちらの冒険者ギルドの推測だが、大公国の北西部は壊滅的な被害を被ってるらしい」

「間違いなくかなりの被害が出てますね」

 カティが呟く。

「死霊の動きはどうなってるにゃん?」

 大公国じゅうに広がっていたら、退治するにも時間が掛かる。

「死霊の群れはどうやら大公国の首都ルークスに向かってるらしい」

「首都にゃん?」

「いちばん人口の多い場所ですから、引き寄せられているのだと思います」

 カティが推測する。

「もしくは死霊魔導師に操られているか?」

「にゃあ、確証はないけどアレシアの意見が正解のような気がするにゃん」

「俺たちが到着するまでに死霊魔導師が見付かってるといいのだが」

「まだ、発見されてないのですね?」

「まだだ、人間に擬態したまま近くに居るのかもな」

「見た目が人間と変わらないのは厄介にゃんね」

「いくら死霊を聖魔法で送っても、何処かにいる死霊魔導師を叩かないことにはまた増えると聞いてる」

「にゃあ、簡単に数を増やす点だけでもグールより厄介にゃん」

「まったくもってその通だ」

『にゃあ、ここでいう死霊は半エーテル体のことにゃん?』

 リーリに念話で話し掛ける。

『似てるけど違うらしいよ、あたしも実物は見たことないからはっきりしたことは言えないけどね』

『死霊の情報は、精霊情報体にも図書館情報体にもないにゃん、辛うじてオパルスの図書館に少し有っただけにゃん』

『すると死霊魔導師が新しい存在なんだね』

『にゃあ、五〇〇〇年前のオリエーンス連邦滅亡の後に出て来た厄介者にゃん』

『詳細は実物を見てのお楽しみだね』

『にゃあ、本当に人間の特異種だったら手こずりそうにゃん』

 普通の人間と見分けの付かない特異種なんて相手にしたくない。もう、悪そうなヤツは片っ端からしばき倒すでいいにゃんね。



 ○アルボラ街道 野営地


 夕方になったところで広めの野営地で休憩することにした。

 近くに町がある中途半端な距離なので野営地にオレたち以外はいない。

「ご飯を食べたら出発するにゃん」

 ジープの横に東屋みたいなテントとテーブル、椅子を出した。

「ウォッシュしてくれたの?」

「にゃあ、お風呂に入ってる時間はないから我慢して欲しいにゃん」

「俺はウォッシュで十分だけどな」

 ラルフは今朝に続いて二度目のウォッシュだ。

「普通は旅の途中には身体を拭くぐらいしか出来ないから助かるよ」

「魔法使いも似たようなものです、旅先でウォッシュは使いませんから」

「にゃあ、旅先では魔力の浪費はできないからにゃんね」

「そうです、魔力は魔法使いの生命線ですから」

「マコトは使いまくっても平気そうだな」

「当然、マコトは平気だよ!」

「にゃあ、オレは他の人よりちょっと魔力が多いにゃん」

 本当はエーテル器官を介さないのでオレに魔力の量的な制限はない。

 エーテルさえ有ればなんとでもなる。

 そんなことを話しても混乱させるだけなので余計なことは言わない。

 リーリはわかってるのだろうか?

 知ってそうな気もする。


 作り置きの料理を出して早めの夕食にする。

「夜通し走れば明日の朝にはアポリト州に入れるが無理はしなくていいぞ」

「にゃあ、州境ってどうなってるにゃん?」

「境界門があるだけだ」

「そうですね、普段は守備隊の人もいませんし、ただ門があるだけです」

 ラルフとカティが教えてくれる。

「アポリト州ってどんなところにゃん?」

「代々フルゲオ大公国の親戚筋が領主を務めている実質的な属州で、アナトリとの貿易の窓口になってる。それ以外に大きな特徴は無いな」

「フルゲオ大公国はどうにゃん?」

「アナトリ王国の六分の一の大きさでボワモルティエ大公家が代々治めてる。カティを見てもわかる様に強い魔力を持つ人が多い」

「多いと言っても魔法使いが多いわけじゃないです、それに貧しい国です」

「にゃあ、貧しいにゃん?」

「貧しいと言うより貧富の差が激しいと言うべきね、がめつい人のことをボワモルティエみたいって陰口を言うもの」

 アレシアが教えてくれる。

「にゃお」

「アナトリ王国よりも遥かに貴族の権限が強い場所です」

「カティには悪いが時代遅れの国だ」

「そうです、ラルフさんの仰る通りです」

「今回の死霊騒ぎは、フルゲオ大公国にとって影響は小さくないだろうとあちらのギルマスが仰っていた、実際そうなるんじゃないか」

「下手をすると独立は保てないかもね」

「むしろその方が国民の為だと思います」

 カティは母国に手厳しい。それだけ酷い場所なのか。

「にゃあ、死霊からは逃げられないにゃん?」

「ヤツらは夜しか活動しないから昼間のうちに逃げるのは難しくないはずだ、ただ中にはしつこく追い駆けてくる奴がいるらしい」

「そうなると逃げ切れません」

「結界も効かないにゃん?」

「都市の防御結界は魔獣を想定してますから、死霊にはあまり効果がないと思います」

「首都が攻められたらヤバいにゃんね」

「あちらもその前に何とかしたいんだろう?」

「そんな時こそ宮廷魔導師が出てくるんじゃないの?」

「正確な情報では有りませんが、噂通りなら期待はしない方がいいと思います」

「噂にゃん?」

「宮廷魔導師と言っても世襲で魔法を使えない人もいると聞きます、私のような庶民が姿を見ることはないので実際にはわかりませんが」

「実力が有っても鼻持ちならない貴族なんじゃない?」

「間違いないだろうな、あの大公国だし」

「聖魔法は使えるにゃん?」

「使えるならわざわざマコトを召喚したりしないだろ?」

「使えるのに使わないってことも考えられるわね」

「有りえますね、大公国の貴族は理不尽の塊ですから」

「にゃあ、前途多難な予感にゃん」

「そんな気がするね」

 リーリも頷く。

「すいません」

「にゃあ、カティが謝ることないにゃん、オレたちは貴族じゃなくて皆んなの為に頑張るにゃん」



 ○アルボラ街道


 暗くなって野営地に入ってくる馬車と入れ替わりで車を街道に出して旅の再開だ。

 ヘッドライトが暗くなった路面を照らす。

「随分と明るいランプだな」

「にゃあ、速度を出すからそこそこ遠くまで見える様にしてるにゃん」

 本当はもっとまっピカリにしたかったが、光に吸い寄せられる人がいたら困るので自重してる。

 オレもライト無しでイケるから主にラルフとアレシアの為だ。

「夜の道って怖いけど面白いね」

「魔獣と間違えられそうだな」

「そうだね、魔獣っぽい速度だもんね」

 リーリが何気に危険なことを言ってる。

「にゃあ、ない可能性じゃないにゃんね、もしかしてここからは馬車にした方がいいにゃん?」

「シルエット的に見慣れない魔法車よりはまだマシだろうな」

「にゃあ、仕方ないにゃんね」



 ○アルボラ街道脇


 道端にジープを停める。

「乗り換えにゃん」

 全員を下ろしてジープを格納した。

 代わりに四頭立ての馬車を出す。

 盗賊を詰めた箱を載せて州都に向かって走らせたヤツだ。ジープに比べるとかなり大きい。荷台には横向きのベンチシートを両側面に設置した。

「おお、四頭立てか」

「六頭立てでもいいにゃん」

「いいね」

 リーリが賛成する。

「いや、待ってくれ、六頭立ては流石に目立ち過ぎる」

「四頭立てで十分はったりが効くからいいんじゃない?」

「私もそう思います」

「にゃあ、了解にゃん、これで行くにゃん」


 改めて皆んなを乗せて馬車を出した。



 ○アルボラ街道


「馬車は勝手に走ってくれるから寝ていいにゃんよ、オレも寝るにゃん」

「あたしも寝る」

「お、おい、だったら俺が御者をする、道なりに真っ直ぐだろう?」

「ラルフは徹夜したのに大丈夫にゃん?」

「マコトにウォッシュでシャキとしたから心配するな」

「にゃあ、道は馬も知ってるから適当でいいにゃんよ」

「おう、任せてくれ」

「兄さん、適当は禁止だからね、ネコちゃんも油断したらプリンキピウムに到着しちゃうかもしれないから気を付けて」

「にゃお、マジにゃん」

「いくら俺が方向音痴でもそこまで酷くはないぞ」

 馬車を一旦、道端に寄せてラルフと御者を代わった。オレは荷台に移って大きなクッションを出して身体を沈める。

 アレシアにも出してやると早速ダメな感じになっていた。

「マコト、この馬車ヤバいな」

 兄貴のラルフも別な方向でダメだった。

「にゃあ、速度の出しすぎに気を付けるにゃん」

「わかってる、任せろ!」

 さっきの魔法車より速度が出てる。事故は馬が回避してくれるから大丈夫だろうけど、念のためもう一段ライトを明るめにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ