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洗浄と聖魔法にゃん

 ○レークトゥス州 アルカ街道脇


「レークトゥス守備隊総司令パメラ・ピサロであります」

 見た目が中学生の可愛らしいお嬢さんがきりりと敬礼した。二二歳なら普通だね。

「にゃあ、オレがマコト・アマノにゃん」

 敬礼するパメラにシートから立ち上がって挨拶を返した。

「辺境伯様、自らお出でいただき感謝いたします」

「にゃあ、直ぐに瘴気の除去を行うから案内を頼むにゃん」

「かしこまりました」

「いま魔法車を大きくするからパメラたちも乗って欲しいにゃん」

「はい?」

「にゃあ、すぐにゃん」

 パメラの目の前でジープを一回り大きくして六人乗りに変更した。後ろの席が横向きの対面ベンチシートになる。

「スゴい」

 ジープを目の前で改造したことに驚いたらしい。

「マコトだからね!」

 リーリがオレの頭の上でいつもの仁王立ち。

「妖精さん!?」

「あたしはリーリだよ!」

 口の周りを焼きそばの油でツヤツヤにした妖精が名乗る。

「お久しぶりです、パメラ様」

 エラが一礼する。

「久しいなエラ、アーヴィン様からお話は伺ってる、辺境伯様の案内ご苦労であった」

「ジープの準備はOKにゃん」

「では、パメラ様も乗って下さい、他に同行される方は後ろの猫耳ちゃんたちの魔法車に分乗して下さい」

「エラ、もう一人いいか?」

 エラがこっちを見たのでうなずいた。

「副司令のフェリクス・ベルトンであります」

「にゃあ、よろしくにゃん」

 パメラと一緒に乗り込んで来たのは副司令は三〇前の黒髪を短く刈り込んだ生真面目な騎士といった風貌だ。パメラ嬢の護衛も兼ねてるらしい。

 他に五名ほどの隊員が猫耳たちのジープに分乗する。こちらは全員魔法使いだ。

「マコト様、迅速な対応ありがとうございます、領主コルネーユ・ピサロに代わりましてお礼申し上げます」

「にゃあ、思いの外、瘴気が厄介みたいにゃんね」

「はい、かなり手こずっております、それにまだ被害の全容も掴めてません、マコト様、近隣の避難民もケラスに誘導してもよろしいでしょうか?」

「にゃあ、州境のアウグルでいいなら構わないにゃん、それより先は未整備なので誰も入れてないにゃん」

「ありがとうございます、レークトゥス全体が麻痺した状態で救援物資も滞ってる有り様でしたので感謝いたします」

 意外とちゃんとしていたらしい。中途半端な状態みたいだが。状況からすると仕方ないか。

「物流が滞っているにゃん?」

「軍隊蜂の瘴気で街道が各地で分断されているのです」

「にゃあ、それでは情報収集に手間取るにゃんね」

 副司令のフェリクスが避難民誘導の指示を守備隊の隊員に出し終えたところでジープを出した。



 ○レークトゥス州 アルカ街道


 一〇分ほど車列を進ませると避難民の数もまばらになりジープも速度を上げる。


「にゃあ、何処から始めるにゃん?」

「このまま街道を進んで下さい」

「道案内は私にお任せ下さい」

 副司令のフェリクスがナビを買って出る。

「にゃあ、頼むにゃん」

 フェリクスの案内で街道を走る。

「にゃあ、軍隊蜂はこの街道に添って進んだにゃん?」

 正面に座るパメラに訊く。

「はい、州都からケラス方面に抜けるアルカ街道上空に入り込まれてしまいました」

「州都は無事と聞いてるけど大丈夫にゃん?」

「幸い魔獣用の防御結界が効いたらしく被害は免れました、ケラスはいかがでした?」

「街道の獣避けの刻印を嫌ったのか境界門上空を通らず南西に流れたみたいにゃんね、そうじゃなかったら街道沿いの集落やネオケラスも軍隊蜂に襲われていたはずにゃん」

 それ以前にアウグルの猫耳たちが撃ち落としていたはずだ。ちなみに境界門上空じゃない場所を通過出来たのは境界は鳥と虫はフリーパスという仕様に起因している。

「あちらは魔獣避けの刻印が有りませんものね」

 エラの言葉どおりノーガードを一〇〇年以上貫いて来た場所だ。

「猫耳がいたからネオケラスは無事だったとしても、街道近くの集落は助からなかったにゃんね、ただでさえ少ない人口がもっと減るところだったにゃん」

「軍隊蜂はそのまま人のいないところに抜けたんですね」

「にゃあ、最終的には、ネオケラスに行く途中のオレたちが襲われたにゃん」

 証拠はないが軍隊蜂を何者かが姫様のもとに誘導した可能性がある。馬鹿げた推測だが一連の事件を考えると簡単には否定できない。

「良くご無事で」

「パメラ様、マコト様たちは軍隊蜂を全部落としたのです」

「あの軍隊蜂を全部ですか?」

「にゃあ、あいつらは毒針と瘴気が強力なだけで単体はそんなに強くないにゃん」

「マコト様、普通はあの数が問題なのです」

「にゃあ、オレも最初は泡を食ったにゃん、魔獣じゃなかったのが不幸中の幸いだったにゃんね」

「マコト様は、魔獣とやりあったことがあるのでありますか?」

「にゃあ、プリンキピウムの森で越境した奴を見たことがあるだけにゃん、冒険者ギルドの報告書を見ればわかるにゃん」

「アーヴィン様がいらっしゃらない時で良かったです」

 エラはしみじみ言う。

「にゃあ、いくらなんでもアーヴィン様でも隠れてやり過ごすと思うにゃん」

「だといいのですが」

 エラは渋い顔をする。

 確かにアーヴィン様だったら、状況が許すなら挑みかかるぐらいはやりそうな気がしないでもないか。



 ○レークトゥス州 アルカ街道 デウア


 車列は三〇分ほどで最初の街デウアに到着した。城壁こそないがそこそこ大きな街だ。実質的なアルカ街道の終点に当たる。


 オレは探査魔法を打って現在の状況を把握する。

「街全体に薄く結界が張ってあるにゃんね」

 風に煽られて弾ける寸前の結界だ。急ごしらえの簡易刻印なら上出来の範囲だろう。

「瘴気を風に乗せないだけの代物ですが、我々ではこれがやっとなのです」

 パメラが教えてくれる。

「にゃあ、結界が有ると無しとでは大違いにゃん、それからまだ街の中に蜂がいるにゃんね」

「本当でありますか!?」

「にゃあ、羽根がイカれて飛べないのが二匹いるにゃん、まずそいつらを潰すにゃん」

 稲妻を街の中に落とした。

「いまのがマコト様の魔法でありますか?」

「そうですマコト様の魔法です」

 パメラの質問にエラが答えた。

「続いて瘴気を洗浄するにゃん」

 猫耳たちが頷く。


「「「にゃあ!」」」


 光があふれ街を覆う。

「これが浄化魔法なのですか?」

 パメラが呟く。

 一分ほどで瘴気の浄化が修了した。

「もう結界は解いていいにゃんよ」

 副司令が後続の魔法使いに指を使って合図した。

 薄い結界が解かれると漂って来たのは血の臭いだ。瘴気が腐敗を防いでいたので鮮血の臭いがそのまま残されていた。

 ジープを進ませる。

 大きく壊れた家屋は少ないが破裂した死体があちこちに転がっていた。

 飛び散った肉や内臓は瘴気の苗床になって溶け出して、既に人の形に見えない遺体が大半だ。

「蜂が二匹転がってるにゃんね、これはどうするにゃん?」

 オレの電撃で既に事切れている。

 蜂の手前で車列を停めた。

「マコト様、あの蜂は私が燃やしてもよろしいでしょうか?」

 パメラがオレを見る。

「いいにゃんよ」

 ジープから降りたパメラは、蜂の身体に剣を突き刺す。

 剣を抜くと傷口から炎が吹き出した。

 もう一匹の躯を突き刺し火を点ける。

 アーティファクトの剣だ。

「にゃあ、犠牲者の遺体はこのまま送ってもいいにゃん?」

「お願いいたします」

 既に手筈は伝えてある。

 レークトゥス側も遺体の収容は状態と人手の関係で無理と判断していた。


「「「にゃあ!」」」


 聖魔法も猫耳たちと一緒に使う。

 聖なる青い光が街全体を包み込み全ての死者を送る。

 遺体はエーテルに分解され魂は光の粒子となって天に還る。

 光は幾つも螺旋を描きながら昇って行く。

「凄い」

 パメラが呟いた。

 やはり死者を送るのは気が重い仕事だ。


「完了にゃん」

「ありがとうございます、感謝いたします」

 守備隊全員に頭を下げられた。



 ○レークトゥス州 アルカ街道


 軍隊蜂はアルカ街道を中心に左右二~三キロに位置する町や村を襲っているので、最初の街デウアを出た後は、街道を左右から挟むように二手に別れ進み洗浄で瘴気を消し去り聖魔法で魂を天に還し街を解放する。

 第二班は守備隊の副司令フェリクスに案内を任せて二箇所を同時に解放し続けた。

 解放された街に人を呼び戻すべく結界の守備隊が魔法馬を走らせる。

 生き残った街の人々が大変なのは、むしろこれからだ。


 暗くなったところで今日の作業は終了にして第二班を呼び寄せた。場所は軍隊蜂のコースから少し離れた村と町の中間ぐらいの大きさ街だ。



 ○レークトゥス州 南東部の街


 オレたちは宿の用意を断って場所だけ借りる。

 宿屋が空いてれば世話になっても良かったのだが、避難民でいっぱいのところを無理やり空けようとしたので断った。

「にゃあ、オレたちは自前の家を持って歩いてるから宿は不要にゃん」

「家でありますか?」

「にゃあ」

「パメラ様、マコト様が仰ってるのは本当ですから心配には及びません」

「ですが」

 エラの説明にもパメラは納得できないようだった。

「にゃあ、見ればわかるにゃん」

 許可をもらった街の広場にロッジを五つほど置かせてもらう。

「これが家にゃん」

「え、ええ、確かにそうですね」

 目をまんまるにしていた。キャサリンがいたらきっとパメラの頭を撫でて隙あらば頬ずりしていたことだろう。

 アーヴィン様の人選は間違いなかった。


 五棟のロッジのうち一つは副隊長と五人の魔法使いたち(全員男)に貸してやる。

「よろしいのですか?」

「にゃあ、見たところ全員疲れ切ってるので食事と風呂と寝床を提供するにゃん、パメラは女子なので、こっちで預かるにゃん」

「ありがとうございます、マコト様」

 事件後、パメラ以外はテントが有ったらマシと言う生活を送っていたそうだ。

 パメラにしたって宿ではなくテントで寝起きしていたらしい。



 ○レークトゥス州 南東部の街 ロッジ


「この調子で進めば明後日の夜には州都スマクラグに到着するにゃん」

 風呂上がり、夕食を終えてからテーブルに地図を拡げた。

「スマクラグから王都の間はどうなってるにゃん?」

「軍隊蜂の進路が街道から外れていたので、スマクラグとケラス間と違って農村に被害が出ています、小さな集落が多いので瘴気の封じ込めには苦労しているようです」

「にゃあ、そちらは誰が担当してるにゃん?」

「団長を務める兄が騎士団と魔法使いを率いて結界で瘴気の封印を行っています」

「パメラのお兄さんと騎士団にゃんね」

「はい、あちらもいまのところ瘴気の拡散を防ぐのがやっとのようです」

「にゃあ、王都が近いから王国軍に手伝って貰うのはどうにゃん?」

「必要なのは洗浄魔法の使い手ですから、王国軍の出る幕はありません、略奪や暴行など余計な犯罪が増えるだけです」

 エラの意見は辛辣だが間違ってもいないか。

「王国軍は使えないにゃんね」

「諸侯軍を吸収する時に犯罪奴隷寸前の人間を送った領地も多いと聞きますから」

「王国軍の組織改革はハリエット様に任せるしかないにゃんね」

「いずれにしろ王国軍に洗浄魔法が使える者が居ないので役に立ちません」

「洗浄魔法の使い手がいればマコト様の手を煩わせることも無かったのですが、州内には皆無でしたし、王命での召喚が優先されますので、とても確保できる状態ではありませんでした」

「洗浄を使える魔法使いは少ないにゃん?」

「特殊な魔法なので州内に使い手がいない領地は珍しく有りません」

 エラが補足する。

「洗浄はいろいろ使えるのに勿体ないにゃん」

「魔法の特性は使い手には選べませんから仕方ないのです」


 洗浄を使える魔法使いを王都に独占されたため、レークトゥスでは結界の外側から見える範囲の遺体を焼くのが精一杯だったそうだ。

 過去には集落ごと焼いてしまう時代も有ったようだから、まだマシな対応らしい。


「にゃあ、王都との境までオレたちがやってもいいにゃん、ただ報酬のこともあるので領主様の許可は貰って欲しいにゃん」

 他の領地で勝手にいろいろやってはいけないとアーヴィン様とカズキにそれぞれ釘を刺されている。

 オレはよほど信用がないらしくどちらも昨夜のうちにさらに念話で釘を刺して来た。

 ケチでセコいならオレもお断りだが、領民のために献身的な領主なら問題はないと思うのだが、それもダメらしい。

 特に無料はダメと各方面から耳にタコが出来そうなほど聞かされている。

 ボランティア活動なんて領主間には存在せず、利益供与として王宮に痛くない腹を探られるのだそうだ。

 しかもオレのところは王位継承権を持つフレデリカ第一王女殿下が滞在中とあって、革命の下地作りと思われれ兼ねない危険なタイミングなんだとか。

「今夜中に父と話をまとめます」

「よろしく頼むにゃん」


 ○帝国暦 二七三〇年〇九月二七日


 レークトゥスの二日目だ。

「昨日と同じく二班に別れて洗浄と聖魔法で街を解放するにゃん!」

「「「にゃあ!」」」

「フェリクス、今日も第二班を任せたにゃん」

「全力を尽くします」



 ○レークトゥス州 アルカ街道


 連携はパメラとフェリクスに任せて、オレたちは洗浄漏れがないかの確認を最優先にして進む。

 副司令以下、魔法使いの部下たちも元気を取り戻して現場の守備隊員たちに細かく指示を出してる。

 街道に避難する人の姿は無く今日はジープを飛ばして距離も稼げそうだ。

 昨日の前半は思うように速度が出せず移動にかなりの時間を取られたが、その遅れも取り戻せる。


 オレたちは次々と結界で封じられた街を訪れては瘴気を洗浄をし犠牲者を天に送る。守備隊の人間が解放に間に合ってないがそこで立ち止まることなく先に進む。解放後のことはレークトゥスの人たちで上手くやって貰うしか無い。



 ○レークトゥス州 アルカ街道脇


 街道脇の野営地と言う名前の野っ原にジープを連ねて停めてアンパンと牛乳の昼食を摂ってる。

「この組み合わせを考えた人は天才だね」

 リーリは二つ目のアンパンに取り掛かる。

「にゃあ、オレもそう思うにゃん」

「マコト様、明日の夜はスマクラグにお入り下さい、父がご挨拶いたします」

 パメラからコルネーユ・ピサロの招待を口頭で受け取った。

「にゃあ、謹んでお受けするにゃん、ただ仕事を済ませてから伺うので少し遅くなると伝えて欲しいにゃん」

「かしこまりました」

 予定どおりに街は解放されているので大きく遅れることはないだろう。

 効率的な解放の手法も確立されつつあった。

 出来ればこれ以上、こういった経験を積む事件は無しにして欲しい。

「マコト様、このパンは何というのでありますか、とても美味しいです」

 パメラも気に入ってくれたらしい。

「にゃあ、アンパンにゃん」

 実際には精霊情報体のレシピから良く似たモノを見付け出して、アンパンと名付けた。しっとりとして甘すぎず冷えた牛乳に良く合う。

「こちらの飲み物は、ヤギのミルクとは違うようですが」

「にゃあ、今日のは魔法牛のミルクにゃんね」

「魔法牛ですか?」

「にゃあ、マダラウシのミルクに近付けるのにかなり改造したにゃん、マダラウシも飼い始めたけどまだそれほど搾れてないにゃん、あいつらオレたちを丸齧りしようとするからなかなか難しいにゃん」

「マコト様、ウシと名が付くものは大体そうです」

 エラからツッコミが入る。

「にゃあ、その点、魔法牛は手触りが硬いけど可愛いヤツにゃん」

「申し訳ありません、魔法牛というものは存じませんでした」

「にゃあ、珍品だから知らなくて当然にゃん」

 しばらくパメラに魔法牛の素晴らしさについて語って聞かせた。



 ○レークトゥス州 アルカ街道


 午後も街を洗浄しそのまま死者を送る。犠牲者には悪いが街の外から送らせて貰う。惨状を見たくないのもあるが効率を優先すると仕方がない。

「にゃあ、完了にゃん、次に行くにゃん!」

「「「にゃあ!」」」

 被害状況の確認は地元の守備隊に任せてオレたちは先を急いだ。


『お館様、瘴気が流れてるにゃん』

 第二班から連絡が入った。

『にゃ、ジープを停めて確認にゃん、オレたちもそっちに行くにゃん』

『了解にゃん』

 すぐに進路を変更して第二班に合流するべくジープを走らせる。

「どうされました?」

 パメラがオレを見る。

「瘴気が漏れてるみたいにゃん、大気中を漂ってるのを確認したにゃん」

「結界が壊れてるのでありますか?」

「にゃあ、そこは元をたどらないとわからないにゃんね」

『お館様、瘴気の出処がわかったにゃん、サウセという小さな街にゃん、どうやら街の防御結界が封印結界を無効化したみたいにゃん』

『それでいて軍隊蜂は防げなかったにゃんね』

『蜂の数で飽和されたみたいにゃん、結構な数の蜂の死骸が落ちてるにゃん』

『健闘はしたにゃんね』

『にゃあ、いい刻印だったみたいにゃん』

 健闘はしたが数で押す軍隊蜂は相手が悪かったようだ。



 ○レークトゥス州 南東部 サウセ


 サウセの街を中心に広範囲を洗浄することで瘴気の影響を消し去った。


「まさか、街の古い刻印にそれほどの力があるとは思いませんでした」

 パメラも想定してなかったらしい。

「そうにゃんね、小さな街にそこまで凝った刻印が打たれてるとは、普通は思わないにゃん」

「いえ、レークトゥスは刻印師である祖先が手に入れた領地です、領内の刻印にもっと注意を払うべきでした」

 結果として祖先の業績を軽んじてしまい落ち込むパメラ。

「にゃあ、次から気をつければいいにゃん」

 パメラの腰をポンポンと叩く。本当は肩を叩きたかったのだが少しばかり手が届かなかった。



 ○レークトゥス州 アルカ街道


 結界が壊れたサウセの街以外には大きなトラブルもなく予定どおりの進捗で日暮れを迎えた。


 街や村が解放されたことで避難民たちが戻り始めたらしい。ケラスに逃げ延びた人たちもいずれ戻って行くだろう。

 無人の街も多く火事場泥棒が出そうだが、各地で自警団が組織されてるそうだから、割の合わない仕事になるそうだ。



 ○レークトゥス州 アルカ街道脇 ロッジ


 二日目の夜は街道脇の野っ原にロッジを再生した。

 夜は疲れ切った身体をお風呂で癒やしベッドに横になる。

「「「にゃあ♪」」」

 いつの間にか猫耳たちでオレのベッドが埋まっていたがまあ良しとしよう、朝になったら弾き飛ばすけどな。


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