第21話 S級冒険者の暗黒魔術師
審判らしき者が舞台に立つと、広場に響く声で喋り始める。
《さあ! 始まりました! 年に一度の祭り! 国家直属の冒険者を決める大勝負だぁ――――!!》
そんな司会者の声が、王国南部中に響き渡る。
司会者の声と同時に観客から歓喜の声が上がった。
「よし、俺らもそろそろ舞台裏まで行こうか」
そうして俺たちは事前に聞いていた通り、舞台裏に移動することにした。
舞台裏で待機していると、辺りが歓声に包まれていく。
どうやら対戦者のご登場のようだ。
俺たちが舞台裏で対戦者に視線をやると、3人のS級冒険者が舞台に出てくる。
その瞬間、観客たちは猛烈な勢いで盛り上がりを見せた。
《まずはこのお方! 王国東部を守護するS級パーティー『サターン』のリーダー! フレッド様だぁ――――!!!》
司会者の声と共に現れたのは、俺が元々所属していたパーティーのリーダー、フレッドの姿だ。
彼は腰にある剣を抜き、司会者に笑顔を向けると、歓声はより一層大きなものになる。
《そして『サターン』のパーティーメンバー、魔法使いのロベリア様と白魔導士のセレーヌ様だ! 》
次に舞台に現れたのは、フレッドのパーティーメンバーだ。
彼女らが舞台に現れると同時に、司会者は大声をあげる。
フレッドと同じように笑顔で歓声に答え、手を振るとさらに会場は盛り上がりを見せた。
やはり人気なのだろう。
S級冒険者ともなると、ほとんどの女性が彼女たちのファンだ。
そんなことを考えていると、次は俺らの番になり司会者が口を開く。
《そして! このパーティーが今大会の優勝者となるか!? 一人目は『アース』に所属しているS級冒険者にして、大魔法使いの異名を持つメロディア様だぁ――――!!》
その瞬間、とんでもないほどの歓声が上がる。
その歓声に圧倒されたのか、司会者はマイクを落としてしまっていた。
「すげえ……」
メロディアが前に出ると、一瞬にして観客たちは盛り上がった。
流石大魔法使いと言われるだけあるな……凄まじい歓声だ。
《お次は『アース』のリーダーであるリアン様と妹のティナ様だぁ――――!! 》
そして次に舞台に現れたのはリアンとティナだ。
その二人が舞台に現れると男女問わず観客たちは大歓声を上げる。
やはりこの王国で知らない者はいないのだろう、二人は笑顔で手を振っていた。
そんな三人を見て俺はこう思う、やっぱり俺の仲間は最高だ。
そして最後に俺の出番がやってくる。
《最後は! 『アース』に所属したS級冒険者の暗黒魔術師、アラン様だぁ――――!!》
すると観客は先ほどよりも大きな歓声を上げる。
「アラン様よ――!」
「あの暗黒魔術師様ね!」
その歓声と視線が俺に突き刺さる。
少し緊張してきたな……だが、それも心地良い。
そうして舞台に上がると、横にいるフレッド達が俺を睨んでいる。
俺は恨み、憎しみの感情を心に秘めながらも、舞台へと歩みを進めるのだった。
《それでは全員揃ったので、ルールの説明を行わせていただきます!》
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