進軍中の大準備
「先輩、あのテレポートを使えるチート半兵衛にどうやって勝つんですか?」
行軍中、秀介の隣で馬に乗っている三郎が尋ねる。姉川での話は、もう既に情報交換済みだ。
「ま、あいつとはクラスメイトだからね。性格を考えると、そのエスパー能力のみに頼った闘いをするはずだから。その裏をかけば瞬殺だ」
堂々と超能力者を殺すと宣言する秀介。唖然となる三郎。
「ほ、本気ですか?」
話によると、竹中半兵衛、即ち速水陸のテレポートは、音もしないで移動を完了させる。あっという間に体を刺されてジ・エンドだ。
「俺が冗談を言ったことあったか?」
「......ないです」
それしか言えない三郎。秀介に裏表がないのは分かりきった話である。
「父上、できた」
突如話に割り込んでくる秀介の次女、発。手にはわらじが一足。
「よーし、でかしたぞ発!!」
笑顔で発の頭をなでる秀介。
それを見て、満足気に去っていく発。
「なんです、そのわらじ?」
すでに秀介はわらじを履いている。なんでもう一足必要なのだろう。
「対半兵衛用秘密兵器その一」
淡々と説明する秀介。三郎には訳が分からない。
「父上! 茶々子もできましたぞ!!」
今度は長女、茶々子がやってくる。手には、腹巻。
「よーし、いい子だな茶々子!!」
再び笑顔になる秀介。茶々子の頭をなでる。
にっこりして戻っていく茶々子。
「......えーと、これは一体?」
今は冬ではない。むしろ夏に近い時期である。
「対半兵衛用秘密兵器その二」
さらっと説明する秀介。三郎には理解不能である。
「父上! ようやく集め終えました!!」
そして長男、満腹の登場。手には、大量の木片。
「よーし、よくやった満腹!!」
三度笑顔になり、満腹の頭をなでる秀介。
達成感に満たされた表情で帰っていく満腹。
「先輩?」
木片なんて図工くらいでしか使わない。
「対竹中半兵衛用秘密兵器その三」
予想された通りの説明をする秀介。三郎には全く分からない。
「あ、そうそう。お前には前田利家と決着つけてもらうからな」
突如話の矛先を変える秀介。
「え!いや、おそらくそれは......」
タジタジになる三郎。利家役の石山竜牙には勝てる気がしないのだ。
「まあまあ、とにかく耳を貸せ」
そう言って、ひそひそと作戦を伝える秀介。
さて、浅井は織田への反撃をしようとしている。
場所は、近江、坂本だ。
「まったく、あの人は子供たちに何をさせているのかしら?」
軍勢の中をチョロチョロ動き回る子飼いたちを眺めながら、叶は怪訝な顔をする。
「まあまあ、殿にはきちんとしたお考えがありますから」
「高虎、その内容を私に説明してくれないのはどうしてなの?」
「聞かれたら、奥方様は反対されるほど危険を伴いますので。殿が......」
トーンを低くして答える高虎。
「な、なら聞かないでおきましょう。私の作戦に支障をきたさないと信じますので、余計なことは言わなくて結構です!」
「はい、それが最善ですよ。殿を大切に想っていらっしゃるのなら」
「......」
なんとなく釈然とせずにふてくされる叶。
叶の運命の戦いが幕を開ける。
場所は、近江、坂本だ。
「坂本」は、かなり長くなりそうです。まず、結構戦前のシーンが入って戦いが始まりません。
ただ、その分戦闘シーンも充実させます。
里見レイ




