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使命の槍と宿命の刀  作者: 里見レイ
心理

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30/153

再出陣 秀介サイド

どんどん行きます。

「心配をかけたな、皆の衆!」


 小谷城城門前、秀介は、約一か月ぶりに兵たちの前に姿を現す。


「先の戦では、我は魔物により命を落としかけた。しかし、今は違う! 我はこの一か月の昏睡の果てに魔力に対抗しうる体質を得たのだ! これにより、我らはもう邪悪な魔物を使う織田軍には負けはしない! 我とともに、勝利を掴もうではないか!!!」


『おーーー!!!』


 空気がひび割れるかのような歓声が城内外にこだまする。


「目指すは信長の首だ! さあ、歴史に我らの名を刻もうではないか! いざ出陣!!!」


 姉川の戦いから約一月後、浅井軍は総勢四万の大軍勢を連れて小谷を出立。その半分近くは、地元の義勇兵たちである。


「秀介様」


 突然、秀介の後ろから声がする。振り向くと、妻の叶がいた。


「......何用だ? まさかまだ織田に降伏しろと言ってるんじゃないだろうな?」


 二人は、初めて会った時にこの件で大揉めした。以来、本来は夫婦であるにもかかわらず、仲が悪くなっている。

 しかし、続く言葉は思いもよらないものだった。


「この戦、私たちにも同行させてください」


「わ、私たち!? 同行!? 何言ってんだ!!?」


 何から何まで言っている意味が分からない。

 妻を戦に連れていくなど完全に常識外れ。それに、あと誰がついて来ようとしているのだ。


「長男、満腹! 父上と生死を共に!」


「長女、茶々子! 父上と出陣しまーす!」


「次女、発。発の作った武器使ってほしいです」


 先日、未来の重臣に育てるべく引き取った三人の幼子たちだ。彼らもこの戦について来るつもりらしい。


「お前ら! 遊びに行くのではないんだぞ!! おーい、高虎!」


 秀介、慌てて連れ戻そうとするべく、側近の高虎を呼ぶ。


「長政様、義勇兵の中には女子供も混ざっているそうです。奥方様を連れていけば、士気はさらに上がると思いますよ」


 どこからともなく現れるや否や、叶たちの意見を採用すべしと発言する高虎。


「長政様......」


 叶が秀介の手を取り見つめる。

 鼓動が急に跳ね上がるも、急いで平常心に戻す秀介。


「これは私の戦いでもあります。私なりの答えを、この戦で見つけ等存じます」


 叶の眼はあくまで真剣である。

 私なりの答えとは、秀介に言った「私なりのやり方」に関することなのだろう。つまり、これで叶が秀介の敵になるか否かが決まるということだ。場合によっては、まだ聞いていない叶の名字を聞くことができるかもしれない。


「分かった。ただ、無理はするなよ。お前らに死なれるわけにはいかないのだからな」


 叶の提案を受ける秀介。おまけとして子供たちがついて来るのが心配だが、まあ仕方がない。


(お前のその表情、どことなくあいつに似ているな......)

 

 さあ、戦がまた始まろうとしている。

ボチボチ叶の伏線を回収し、秀介に叶の名字、成川を伝えたいです。お楽しみに。

里見レイ

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