六日目ー赤土と神丸ツー
旧約聖書…
ごめん、
ネタが切れた。
今私の前の光景はアダムとリヴァイアサンが兄弟の様な取っ組み合いの喧嘩をしていて、
それを微笑ましそうに見る神のバカの図だ。
とってもシュールだ。
「アダム!ほらそこ、右、右!」
だとか
「リヴァイアサンも負けるな!」
とか…
いつの時代のプロレスファンだおまえは!
テレビの前ではしゃぐ子供か‼
「はぁ…」
何で助けられて早々にため息をつかにゃ成らんのだ。
「大丈夫?」
ミカエルよ…
不安そうな顔をするな、
いじりたく成ってしまうじゃないか‼
「あぁ、もうだめ、ミカエル…」
あ、
思いついた瞬間には既に口から出てた、
不思議!
「り、リリス!」
って、
あんたもリリスって呼ぶんかい⁉
「あのね…ミカエル…最後にお願いが在るの」
何故に最後かはわからんが、
どうせ茶番なんだ、
いっそ感動するぐらいグダグダで行こうじゃないか⁉
「最後なんて言うな!」
ミカエルも
すっかり載ってくれて…
あんたは自慢の弟だ!そう思え無いけどね!
「ねぇ…口づけを…」
やっぱ
ミカエルをいじんのはこのネタじゃ無いとね。
「わかった…いつか、また元気な君と…」
私の肩が小刻みに震える。
泣いてるのでも無く、
悲しみを堪えるではない。
やっべぇ!
腹筋が破裂しそう!
な、なに?
いつか、また元気な君と?
ぶぁははは!
ヒトの心弄んで置いてゲスイとは思うけど…
ここまでナイスなリアク…
瞬間
私の唇がミカエルの瑞々しくその柔らかい唇に重なった。
押し付けるでもない、
舐め合うでもない、
ただ、
触れ合い重なる様なキス。
相手を不安がらせないように…
そっと、
優しく、
ミカエルの顔が間近に在る。
目を閉じて、
息を止めて、
頰を赤して、
鼻が受動的にミカエルの匂いを胸いっぱいに吸い込む。
その香りは甘く、
そして苦い、
僅か、少年の大人になり切ら無い絶妙な色香と、
初々しさが胸を刺す。
私は、
頭が真っ白に成った。
決して白髪ではない。
何がどう成ってこうなった?
私がミカエルで遊んだ事か?
それなら文句は言えない。
幸いファーストキスでは無い、
セカンドキスだ。
ファーストキスの相手は…
あれ?
誰だっけ?
またミカエルを見る、
あれからどれだけの時間重ね合わせて居る?
私にはわから無いけど、
よくわかる事が在る。
安心…するね。
でもね。
私はミカエルの肩をそっと押す、
ミカエルもそれに合わせて離れる。
唇と唇がこれまで遮っていた空気を当てる。
そこには確かにミカエルの体温が残って居た、
名残惜しさも感じる、
だけど…
私はあなたの姉、
あなたは私の弟、
決してそれ以外の対象に見えない。
「ありがとう…元気出た」
これだけ言えば丸く収まる。
筈だったのに…
「じゃあ何で泣いてるんだよ⁉」
ミカエルは私の双眼から流れ出た二筋のしょっぱい涙を見咎めた。




