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CRYSTAL  作者: 焼き芋
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はじまりと別れ

立体駐車場の電灯が照らしていた。

恐怖を、絶望を、

自分の足元には赤色が広がりつつあった。

笑い声が聞こえる。女の笑い声が。

何がおかしいのだろうかと思った。これから死ぬのだろうかと思った。

走馬灯のように今日の記憶が再生される。ーーー



「おはよう!隼人はやと!」

自分を呼ぶ声がする

「おう、おはよう和利かずとし。」

適当に返事をする。

雑談しながら大学へと向かっていく。


大学のキャンパスに入り授業を受ける。いつも通りの日々だ。

時間は流れ、昼近くで授業が終わり帰路についていた俺は和利とのんびりと歩いていた。

「それにしても未だ分からないのか?お前の能力。」

そう言って俺の左手の甲に目を向ける。


そこには細長い八面体のような結晶が半分ほど埋め込まれるようにして生えたいた。

世界人口の4割程が有するこの結晶は異能力者の証だ。通常は次それが発現すると同時に能力の使い方がわかるものだが、俺にはさっぱり分からなかった。


「ああ、相変わらずね」

「まぁ、いっか。そんなことより俺は最近になって付き合いが良くなったことのほうが嬉しいしな。」

そんなこととはなんだ。

「昔は大学も休みがちで俺ともあくまで大学でのお友だちって感じだったもんな。何なら手袋してたせいで異能力者ってことも知らなかったしな。」

口を尖らせながら愚痴るカズトシに

「そうだったっけ?」

と割と本気の疑問を問いかける。

「お前まじかよ…」

「マジだよ」

そんな他愛もないやり取りをしていると

「すまん!お花摘みに行ってくる!」

女かよ、と思いながらコンビニに行かせ、帰りを待ちながら考える。


ーーほんとに付き合い悪かったか?

ーー手袋なんてしてたか?

ーー何で覚えていない?


すると

「隼人」

知らない声でしかし懐かしいような声で呼ばれた。

振り向くと、女がいた。

強い光が当たると薄いピンクに見えるような薄い紫色の長い髪をして、端正で整った顔をした女だった。

「君は…誰?」

すると少し悲しそうな顔をして

「気をつけてね、狙われてるよ。」

問いには答えない。 ただ優しくそう告げた。


「おまたせ~」

振り返ると和利が出てきていた。

視線を戻すとーーその女はいなくなっていた

「どうかしたか?」

「いや、なんでもない。」

「そっか、よし!遊ぶか!」

なぜそうなる。まあいいが。

そうして時間は過ぎていった。一抹の不安を抱えながら。


帰る頃には辺りは暗くなっていた。

「いや~金欠だよ〜」

「遊んでばかりいるからだろ」

「ひどっ」

大袈裟に反応する和利を横目に俺は昼のことを思い出していた。

ーー狙われてるって何だ

すると

「み~つけた」

金髪の女が立っていた。こちらを見て

瞬間、全身を寒気が駆け抜ける。

ーーこいつは ヤバい

その女は当然のことのように告げる

「じゃ、邪魔なの殺すね」

気がつくと俺は和利の手を引き、逃げ出していた。

「あっ、こらー逃げるなー!」

後ろから声が聞こえるが無視をする。


無我夢中で走りたどり着いたのは地下駐車場だった。

-----なんでこんな人気のないところに、殺してくれと言っているようなものじゃないか。

そして声がする

「鬼ごっこは 終わり?」

当然だ、逃げ場も逃げる体力ももうない。

「じゃあ、こんどこそ、だね」

軽く言うと彼女の足元から棘が生えてくる。

棘は正確に和利の頭を穿ち、貫き、吹き飛ばした。


和利の体は力なく倒れ込み、痙攣のように体を震わせる。辺りには血が、肉が、脳が飛び散っていた。下顎だけになった頭から血が垂れ流されてる

女は笑い声を上げている

「は?」

あまりの事に困惑した。パニックになった。

------なんで和利が?          俺じゃない?         何が起きた?    

         どうしてこんな事を?      誰なんだこいつは?

疑問が波のように押し寄せる。


「本題に入ろうか。」

何を言っている。

「今の君はなんにも覚えていないんだよ。記憶が抜き取られているからね。」

何を言っている。

「その記憶、戻したいかい?」

何を言っている。

「一緒に来てくれるなら戻してあげよう」

「へぇ、抜いた側がそれを言うんだ。」

女の背後に昼間の女が立っていた。

瞬間、赤い刃が振るわれる。

金髪の女はそれを紙一重で避け、距離を取る。

「昼間は言いそびれちゃったけど、私の名前はルナだよ。」

こんな状況の中、昼間の女は名前を告げる。


ルナは両腕を振るい、手首のあたりから赤い斬撃が飛ぶ。

金髪の、後から知ったがアリスという女はそれを足元から生やした棘でそれを防ぐ。

その隙に間合いを詰めたルナはいつの間にか持っていた赤いレイピアのような物で突きを放つ。

頭を傾けて躱したアリスは無数の棘により反撃する。

その棘はコンクリートを容易く砕き、突き刺さる。

ルナはそれを避け続けるが段々と避けきれなくなり、棘がかすり始める。


すると、流れ出たルナの血がレイピアに纏わり付き大剣のようになり、それで周りに刺さった棘を砕く。

ルナの動きを見ながらアリスは超高速で短い棘を生やし、その根本を別の棘で砕く事により棘を発射する。

ルナは弾丸のように襲いかかってきたそれを血の大剣で弾くが、それを弾いた血の大剣は当たったところが大きく欠け、数発弾いたら元のレイピアのように細くなっていた。

そこに畳み掛けるそうに棘を発射しようとするが、ルナの投げたレイピアがアリスの右肩を直撃すると棘の生成は途中で止まった。

レイピアを抜き、肩から血を流したアリスはルナを鋭く睨む。

「お前…何で…」

「そりゃ何度も戦っていれば結晶の位置ぐらいわかるわよ」

その答えを聞くとアリスは舌打ちをし、その場から逃げ出した。


数日後、葬儀は何事もなく終わった。この世界ではこんな理不尽が良くあると分かっていても、何もやらなかった、出来なかったとうなだれている俺にルナは言う。

「私の目的があなたを守り、こっち側に連れ戻すこと。別件を片付けていたら遅くなってしまったの。申し訳ないわ。」

何だそれ

「その上で申し訳ないのだけれど、状況の説明と整理をしたいし一旦事務所に戻ってきてくれないかしら」

無力感と絶望感、諦めにも近い感情しかなかった俺に断る気は起きなかった。

「わかった」

ルナは力なく返事をした俺を支え起こし、前を歩きながら事務所へと俺を連れて行った


こうして俺は自分の記憶を取り戻すために命懸けの戦いをする世界に足を踏み入れた。

ーー正確には戻ってきた。






はじめまして、焼き芋です。

初めてこのような事をするのでミスなどもたくさんすると思いますが見守ってくださるとありがたいです

更新頻度は暫くの間かなり遅めになるかもしれないです。

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