8、海水浴場
潮騒に乗って磯の香りが漂う。
地面に落とす濃い人影は、まるで影芝居のようにコケティッシュかつコミカルに世を表現しているよう。
たまに遮る雲の影もまた場転のようで、ボクはついつい影を見ながら舞ってしまう。
野乃花「センセ、たまには気分転換も必要だと、ボクは思うんだよね。」
先生「あー、まぁ確かにな。」
野乃花「マンネリ化が熟年離婚の要因ではないかと、ボクは思うんだよね。」
先生「あー、まぁ確かに……。いや要因はそれに限ったことではないと思うぞ。いやそれより我々は熟年でも無いし、夫婦でも無いと思うぞ。」
野乃花「でも、センセは熟年だよね。」
先生「あー、まぁ確か……。いやノノから見たらそうなのかもしれないが、一般的にはそうではないと思うぞ。」
野乃花「そんなわけで、今日のクラブ活動は海水浴を希望します。」
先生「あー、まぁ確……。いやマイペースだなノノは。海水浴って、水着を持ってるのか。」
野乃花「持ってるよ。例によってお下がりのスク水を各サイズ1ダース。センセは持ってないの?」
先生「あー、まぁ……。って俺が持ってたら犯罪だよ、それ。」
野乃花「センセはスク水じゃなくてもいいと、ボクはものすごーく思うんだよね。」
先生「あー、ま……。そりゃそうだ。とはいえ海パンも持って無いけどな。」
野乃花「でもボクは水着は着ません。」
先生「着ないのか。」
野乃花「だって、センセは熟女好きだよね。」
先生「あー……。いやいや斜め上から鋭い角度で刺し込んでくるな。ノノから見たらそうなのかもしれないが、一般的に年上好きだからといって、そういう括りではないと思うんだが。」
野乃花「そんなわけで、今日のクラブ活動は海水浴場で浜風に吹かれ、波の音を聞きながらのお昼寝を希望します。」
先生「カワモト旅館のすぐ前は、海水浴だけどな。」
野乃花「こういうのは形から入るべきだと、ボクは思うんだよね。」
先生「あ……、すでにビーチベッドとパラソルが2セット用意されている。」
野乃花「ところでセンセ、センセは結婚もしてないから、離婚もできないよね。」
先生「……。大人には大人の事情があると、先生は思うんだよね。」