そして(最北の楽園)
●第三次世界大戦
202X年に勃発。戦火の皮切りは東アジア某国の暴挙とも、中東や北方大国の先制的防衛とも、国際的テロ組織の同時多発攻撃とも言われているが詳細は不明。いずれにしろ世界的な緊迫感が蔓延していたものが破裂してしまったことが要因。
戦略的情報化の過剰な発展、各国が必要以上に多く配備していた弾道ミサイルによる一斉射撃、そして無人化していく近代兵器が猛威を振るい、開戦から僅か7時間で世界の主要都市が消滅。その他軍事施設のある地域を中心に展開された殲滅作戦。
これにより世界人口の80%が死滅。指揮命令機能を失った無人兵器が、人類の残り20%を5%まで追い詰めたものの、次なる指令を発する各国の機関が消滅していたことと、補給部隊がすでに壊滅していたことによって機能が停止。ちょうど7日間目に誰が宣言するともなく終戦。人類は総人口の95%と、築き上げてきた文化文明の大半を失う結果となった。
●自然環境に対する影響
物理的な戦略がミサイル等を含む制空権にウエイトが置かれたため、地上戦はミサイルによって都市が消滅したものの必要最小限となり、世界大戦の割に自然環境に対する影響は少なかった。(制圧後にその土地の利用価値がなくなっては意味がないことを、少なくとも人類は理解していた模様)
しかし制空権を防衛する対ジャミングシステムの影響を鳥類がもろに受け、世界中の鳥類の大半が死滅。それによる食物連鎖の崩壊によって昆虫類が爆発的に増えたが、人類のほとんどがいない今、新たな自然環境が構築されつつある。
●センセ
大戦前は国語教師。たまたま婚約者である川本綾芽の帰郷に伴い来道した際に戦争が勃発。壊滅状態の内地に戻ることなどは叶わず現在に至る。戦火に巻き込まれて婚約者を失った。
新政権国家のもと、教職に戻ろうか1次産業に身を置こうか悩み中。
●ノノ
地元の中学生だったが、この大戦で父親と学友のほとんどを失う。川本綾芽の従姉妹にあたる。
大戦前から文明機器には疎い。理由は特に必要と感じなかったから。
道内に散らばる文学の蒐集(複写)を行い、失いつつある過去の遺産を保存することに尽力する。
●北海道
「試される(続けてきた)大地」が、無視されたのか耐久力がずば抜けて高かったのかは検証の余地があるものの、この世界大戦を生き残り人類最後の「楽園」の一つとなった。
大戦後に新政権国家として樹立。これからもきっと「試され続ける大地」。