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スキルちゃん爆進⭐︎おばさん、気づけば異世界で最強夫婦してました (旧:ノンタイトルおばさん〜勇者でも聖女でもなく〜)  作者: 天三津空らげ
7章 我儘言ってもいいですか

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23 Gランクの討伐履歴

 イスタリオから帰った夜、ピホは卵を産んでいたの。その数20個。サイズはお馴染みの鶏卵のMからL。羽根の色によく似た、光の加減で青にも緑にも色が変わる綺麗な卵ね。


 やっぱりお前もそうか。ひよこのくせに、なんでそんなたくさん生むんよ。そもそもその身体の大きさと卵の大きさと数が合ってないじゃないという物理法則無視しまくった卵量。元々鑑定に沢山卵を生むとあったわ、そういえば。ムウといっしょでわかんないけど、魔力で生成してるとかそういう生態なのね! 謎多し! 思考放棄!


 しかもピホは生んだ卵をせっせとわたしの……わたしのですね、素材収納空間に収めていたのですよ。わたしの寝てる間に勝手に! なにそれ。


『本鳥に快く提供いただきましたので、自動採取対象となりました。ららん』


 ほか、ほうか。

 まあ何にしても最終的にそうなっただろうからいっか。もうスキルちゃん達の善きにはからえ。


『わーい♪ るるん。ららん』


 因みにピホウオウは繁殖はせず、死んだらまた特別な卵の中から復活できるらしい。確率で発生するその特別な卵を得る為に、毎日沢山卵を生むようだ。

 特別な、中が空洞の金の卵。

 その数だけ長く生きられる。

 スキルちゃん達はそれを見つけたら、厳重に保管する体制に入っていた。


 普通? の卵の方は食卓を潤してくれる大事な食材です。美味しいよ!


「おそらくイスタリオに行った影響で、ピホさんの魔力が高まったおかげかと思いますよ」


 早速ふわふわオムレツを作って、アシャールさんが夕食に出してくれた。

 ムウ乳のバターとの相性もよく、シンプルながら素材の味を引き出した美味しさだわ。


 奈々美さんも切ったパンにオムレツを少し乗せて、幸せそうに頬張って聞いた。

「そもそもイスタリオって、この地上には存在しないのに、どうして香子(かおりこ)さんの空間収納と繋がっているんですか」


 わたしも気になったので、じっとアシャールさんを見た。


「空間収納スキルで繋がる空間は、一種の異空間です。普通は使用者の資質に合わせた空間を新たに生成しています。そしてイスタリオは主の神域。まさしく次元を超えた神の領域です」


 アシャールさんもピホ卵のオムレツを一口食べて、満足げに頷く。


「スキルちゃん達は、ライフォート様の使用許可を察知して速やかに利用したんでしょうね。それでも普通は簡単に神域と繋がれるものではないので、香子(かおりこ)は主との親和性が高いのでしょう」


 あれかしら、わたしとスキルちゃん達はライ様のお気に入りになったらしいからかしら?




 アオリハでの寝泊まりは馬車でしてるけど、食事は神殿の食堂にお邪魔してるわたし達。アシャールさんが厨房を使うので。

 神官さん達はとにかくわたし達の会話に耳をそばだてて、アシャールさんがどんな行動予定なのかを探るのに必死だ。

 なにせ早朝にそっと数人の神官さんがわたしのところにやって来た。

 皆さん膝をついて。


「アシャール神官を連れ去って下さるそうで、奥様には一同深く感謝申し上げます」


 と、頭を下げられたのだ。

 夫が、予想はしたがパワハラ上司確定したときの妻の気持ちを答えよ、やちゃ。


 きっと春さんもね、アシャールさんと上手くやっていけないと思って一緒に来なかった部分、かなりあると思う。


 因みにわたし達の冒険者ランクは最底辺のGのままだ。ケモリアの冒険者ギルドでランク上げるか聞かれたけど、まだ冒険者を続けるかどうかもわからないし、高ランク冒険者になったら、国の依頼を受けたりもしなくちゃいけないそうだから。





「そうだ、そろそろ冒険者ギルドに行って、普通に依頼受けてみたいんですけど……」


 奈々美さんが朝食のスープを飲み干してから、そう言った。


「あ、そうだわね。ワイバーンも売らなきゃ。それにお金が手に入ったら、色々お店とか覗いて見たかったの」


 売ってるかどうかわかんないけど、金属が欲しい。錆びないステンレスの道具が欲しいのよ。おそらく無いからスキルちゃんに作ってもらうことになるかな。

 しかし今のところ、植物や魔物素材はあっても、手元の金属素材は少ないのよね……。

 キャンピング馬車を造るアシャールさんの空間収納には金属素材があるのかも知れないけど、既に色々造ってもらったり食べさせて貰ったりしてるので、無心したくはないのよねぇ。素材も財産だもの。


 アシャールさんも奈々美さんの意思を尊重してくれたのか、頷いた。


「では今日はまず冒険者ギルドへ行きましょうか」

「馬車で行っても大丈夫?」

「大丈夫ですよ。大きな街なので普通に馬車は利用されてますし、冒険者ギルドにも停める場所はありますので」


 という訳で、ワイバーンを買い取ってもらいますよ~。





 キトキト馬車は当然注目を集めた。

 空は飛んでなくても、キトキトコンビは珍しい魔獣だからね。


 今回馬車の中にミケ子とムウは残ってもらう。馬車には盗難防止の魔法が付与されてるし、みんないざとなったら、自力でわたしのところまで帰還できるスキルを持った子達だが、念のため馬車内で造っていた立札を立てておく。


『うちの魔物と馬車に勝手に触ると、攻撃魔法が発動します。ここで告知させていただいたので、何かあれば相応の措置を取らせていただきます。 パーティ猫の目』


 そしてピホに見張り役を任せた。

 ケモリア王国の冒険者ギルドで馬車を造った時点で、馬車はパーティの所有物として登録してある。


 冒険者ギルドに入って、わたし達はまず買取窓口に行った。


「ワイバーンの素材を買い取って欲しいんですけど」

「ワイバーン? あんたみたいな女が、なんでワイバーン素材を持ってるんだぁ?」


 一瞬不穏な空気を纏ったアシャールさんの袖口をぎゅっとにぎる。どうどう。


「収納スキルを持ってるからです」


 採取したで信じて貰えそうにない感じよね。とりあえずそう言っておく。


「運び屋か。とりあえず見せてみろ」


 今までの冒険者ギルドも窓口にいるのは口が悪いか強面のお兄さんばかりだったけど、ここも負けじと筋肉ムキムキのおじさまだわ。やっぱり乱暴な人達の対応が多い職場だからかしら。


「ここでですか?」

「ああ」


 とりあえずワイバーン一体分の素材だけ、所狭しとカウンターに並べていく。

 いや乗らない、これ。翼とか大きな部位はカウンター前に立てかける。


「オイオイ、こいつはもしかして、一体分丸ごとか? 鑑定魔導具持ってこい!」


 存分に鑑定してください。ドヤ。

 鑑定魔導具を持って来た眼鏡のおじさまが、確認しながら唸る。


「……こいつはとんでもないことだ。どれも完璧な処理をされた最高級品だ。しかも内臓が揃ってる。脳と心臓もだ。この包み紙は鮮度保持の魔導具か……」

「いくらぐらいになりますか? そして何体分買い取って貰えますか?」

「は?」


 筋肉おじさまの方は、何言ってんだこいつみたいな顔をしたが、鑑定をしたおじさまの方は、眼鏡がキラリと光った。


「群生地に出くわしたのか?」

「そんな感じですけど、全部素材にしたので心配はないです。それにケモリア王国でのことです」

「なんだそうか」


 眼鏡のおじさまは明らかにホッとした。


「では君達はパーティ猫の目のメンバーか? フェイルの国境の町の件は、こっちにも情報が渡ってきている」


 わたし達は黙って頷いた。


「……この品質と同等のものを100体分買取たい。この包み紙込みで一体、2500万出す」


 2500万? あれ? ケモリア王国より2千万も値上がってない??

 え? 合計いくらになるん? これ雑収入として確定申告しないとあかんやつ??

 頭がぱやんとしちゃってるけど、とにかく取引しないと……!


「わ……わかりました。どこで渡せば良いですか?」

「第三倉庫へ来てもらおうか。カラック、ここにある分もそっちに運んでくれ」


 カラックと呼ばれた筋肉のおじさまは頷いた。

 すかさず奈々美さんも動く。


「手伝います」

「頼むわ」


 アシャールさんはリアカーを出して、奈々美さんと二人で手際よくワイバーン素材を乗せていく。


「あんたらもしかして、全員収納スキル持ちか? 珍しいな。だったらそうやってパーティで活動してるのは正解だな」


 リアカーを引くカラックさんに付いていく。


「そうなんですか?」


 奈々美さんが聞き返した。ええ、わたしは付いて行くのに精一杯なので、話す余裕はありませんよ。みんな足速い。


「どこの冒険者パーティも、荷物運びに収納スキル持ちを雇いたがるんだけどよ。いざ戦闘になると、見捨てていく奴らも多いんだ。あんたらも気をつけろよ」


 奈々美さんは頷いて元気に答えた。


「はい! ご忠告ありがとうございます」


 広い倉庫にワイバーンを納品して、一旦ギルド内に戻る。数や品質の確認作業と、買取金の準備があるので、番号札を持って待っていて欲しいとのこと。

 一時間程かかりそうとのことなので、後からもう一度来てもいいと言われたのよね。なので、依頼を物色することにしたのだ。

 冒険者ランク毎に依頼の掲示板は分かれていて、D、Cランクの掲示板の人集りが一番多い感じかなぁ。


「一応ランク毎にどういう依頼があるのか把握したいから、全部の掲示板見てみても良いかしら?」

「そうですね。私も気になります」


 わたしと奈々美さんは、一番人が居ないAランクの掲示板を見に行った。


「商人の護衛依頼だわ。きっと魔物だけじゃなくて、盗賊とかの対応をしなくちゃ行けないのよね。なるほど、ベテランのお仕事だわ」

「依頼者もきっと大きな商会ですよね。三パーティくらいの人数を募集していますよ。この街にAランク冒険者って、どのくらい居るんですか?」


 奈々美さんはアシャールさんを見た。


「さて。わたしも詳しくは知らないのですが、そんなに多くは無かったと思います。それに殆どがこういった長期の依頼で不在にしてる事が多いはずです」

「確か一ランク上の依頼まで受けられるはずだから、Aランクの方がいなくてもBランクの方が依頼を受けられるのですよね」

「そうです」


 流石商業が盛んな国なだけあって、商団の護衛依頼は多い。Dランクくらいまでしっかり護衛依頼が混じってる。


『ソワソワ ソワソワ』


 おや、スキルちゃん達が、なにやらソワソワしてるわ……と思ったら、掲示板の依頼にロックオンしている。わたしの目にはその依頼書が淡く光って見えた。


 あああああああ! どうしよう。どうしよう、これ。


 わたしはアシャールさんの袖をぎゅっと握って、もう片手で恥ずかしさに顔を隠した。


香子(かおりこ)?」


 わかってるんです。一ランク上の依頼までしか受けられないことは。わかってるんです。


「アシャールさん、わたしあの依頼受けたい……」


 わたしはもう真っ赤になってですね、指差しました。Bランクの掲示板に貼ってある、アイアンリザード駆除依頼の依頼書を指差しました。


「いや、あんたらGランクだろ。Bランクの依頼なんか持ってくんじゃねーよ。馬鹿なのか」


 ソウデスヨネー。

 窓口のお兄さん、お口が正直すぎるわ。


「どうしても駄目ですか? では場所は覚えましたし、ギルドの依頼と関係なく行ってきますか」

「あ、なるほど」

「待てよ! ギルドがBランクって判断したんだ。あんたらはパーティランクだけじゃなくて、個人のランクもGしかいねぇじゃねえか。無理なもんは無理だ。舐めてっと、死ぬぞ!」


 おっしゃる通りだわ。お口が正直なお兄さん間違ってない。ので、一応確認しておく。


「アイアンリザードって、ワイバーンより危険ですか?」

「ワイバーン程じゃないが危険に決まってるだろ」


 さっきから、くすくすどころか、ゲラゲラ笑い声が聞こえる。よっぽどの常識外れをしちゃったのね。


「これだから女はよ」

「大人しく飯でも作ってりゃ良いんだよ」

「馬っ鹿、冒険者になるような女が、まともに結婚出来るかよ」


 ぎゃはははと笑い声を聞きながら、なるほど、これがこの世界、もしくはこの国の当たり前なのかと思う。まあ月のもののある女性が、環境や衛生用品の整ってない状況で、遠出やらはやっぱり辛いわよねと考えながら、我が夫の手をね、そっと握るわたしである。


 だってアシャールさんの魔力ちゃんから、タレコミがあったので。


『本体がこの人達の股間を蹴り上げて、唐辛子油を下着の中に流し入れようとしてますぅぅ!!!』 って。


 やめて。そんな地獄絵図はやめてね。粘膜に唐辛子油ってどんな拷問なんけ。


「だったらその依頼、俺らが受けてやるよ。あんたらパーティは荷物持ちで同行するのはどうだ? アイアンリザードは重いしな。収納スキル持ちなんだろ、あんたら」


 若い冒険者君達が声を掛けてくれた。

 そしてアシャールさんがばっさり切った。


「お断りしますね」

「おい。せっかくこっちは親切で言ってやったのに……!」

「お気持ちはありがたいのですが、報酬や待遇で揉めることがありますので、他のパーティの方とは組まないことにしてるんですよ。うちは女性もいますから」

「ちっ」


 舌打ちして若い冒険者君達が去って行く。

 なんだろう? アシャールさんはおかしなことは言ってないと思うんだけど……。外面は良い方なので。


 あ、きちんとしたこと言われて嫌だったのかな? なんかナアナアにして自分達の得するようにしたかったのかしら。

 でも。


「今の子がリーダーさんだったのかしら? 奈々美さんよりレベルは低かったけど」

「え?!」


 奈々美さんが驚いた顔をした。


「そうですね。一緒に行けばとんだお荷物でしたよ。あの装備でアイアンリザードとどう戦うつもりだったんでしょうかね」

「いやそういうお前らもどうするつもりだったんだよ……アイアンリザードは鱗は錆びない鉄で物理攻撃も魔法攻撃も通さないんだぞ」


 窓口のお兄さんがツッコミをいれる。


「物理攻撃も魔法攻撃もダメって、じゃあこの依頼、誰が受けられるんですか?」


 奈々美さんも冷静に聞き返した。


「それな。アイアンリザードの駆除はなかなか受けてくれるやつがいなくて、困ってるんだよな……あ、でも流石にGランクに回したりはしねえぞ」


 依頼受付窓口のお兄さんとそんな話をしている内に、買取窓口で呼ばれましたよ。


「あ、あっちで呼ばれたんで行ってきます。ありがとうございました」


 窓口を離れる時に、アシャールさんはさりげなくアイアンリザード駆除の依頼書を持って来たなど、わたしは知らなかったのよ。ほんまやちゃ。


 応接室になっている部屋に通されて、わたしは査定の確認をした。

 眼鏡のおじさまが皮紙の書類を取り出す。


「たしかに100体分、どこも欠損のない最高の状態だった。合計25億ダル。白金貨2500枚だ。問題ないなら受け取りにサインをして魔力を流してくれ」


 25億ダル。

 もう数字の意味がわからない。あまりにも現実身のない大金に、わたしのおつむが既に必要かどうかもわからない、確定申告を拒否している。


 わたしが固まっていると、アシャールさんが書類を確認して眼鏡のおじさまに一千万ダルは白金貨でなく、金貨と大銀貨、銀貨を混ぜてほしいと交渉する。


「まあ確かに白金貨じゃそうそう使い所がないな。わかった、少し待ってくれ」


 眼鏡のおじさまが近くにいた女性に両替するよう声をかける。

 アシャールさんはアイアンリザードの駆除依頼書をすっと出した。


「それからこちら、私達が受けてもよろしいですか」


 おじさまの眼鏡が、キラリと光る。

「……アイアンリザードの倒し方は?」


 アシャールさんは呆れた顔をした。


「口の中に長剣もしくは槍を突き立て、内臓を抉れと教えましたよね? もう忘れてしまいましたか」


 ん? アシャールさん、この眼鏡のおじさまとお知り合い?


「相変わらずだな、アシャール神官。あんた何してんだよこんなところで。今更Gランク冒険者って何? うちの前に置いてある、あのデカい馬車もあんただろ」

「ええ、まあ。それではこちらの依頼は受けても大丈夫ですよね」

「待った。アシャール神官だけでもランクを上げておく。そうじゃないと、他の冒険者達に示しがつかない」

「Sはお断りしますよ」

「はいはい」


 アシャールさんは眼鏡のおじさまに冒険者証を渡す。

 わたしの視線に気づいて、アシャールさんは説明してくれた。


「彼は元冒険者で、私は何度も死の淵から彼を呼び戻したものです。お陰で今や立派なギルド長になったのですよ」

「ギルド長さんでしたか……」


 眼鏡のギルド長さんが、アシャールさんに冒険者証を返す。


「Aにしといた。あと討伐履歴を確認したが、アシャール神官あんた一体もワイバーンを倒してないんだが?」

「してませんからね」


 わたしはアシャールさんのお袖をくいくい引いた。


「アシャールさん、討伐履歴って?」

「冒険者証は魔導具になっていて、持ち主の名前や種族、国籍などの一般的な情報の他にも、狩ったり倒したりしたものを自動的に記録するようになっているのです。魔物駆除の証明や依頼の不正を防ぐためのものですね」


 ということは、よくあるゴブリンの討伐証明に耳切り取って提出するとかないのね。良いことだわ。


「さて、じゃあ残り二人の討伐履歴を確認させてもらう。俺はてっきりアシャール神官がワイバーンを仕留めたと思ってたからな」


 わたしと奈々美さんは素直に冒険者証を渡した。

 ギルド長さんは、まず奈々美さんの討伐履歴を確認する。


「聖女……? なんだあんたアシャール神官のお弟子さんか」


 奈々美さんは、え?! という顔をしたが、声には出さなかった。神殿関係者だと思われる方が都合が良いものね。


「ホーンラビットから堅実に倒していってるな。無理のない、良い成長ぶりが見えるようだ……で、ここでワイバーンを二体……二体だけか?」


 ギルド長、腑に落ちない顔で、魔導具から奈々美さんの冒険者証を引き抜くと、わたしの冒険者証をセットする。

 ギルド長さんなんだか渋い顔になってきたわ。


「あんた……大人しそうな顔して、意外と戦闘好きなのか……」

「非戦闘員です」


 ぶんぶんと首を横に振る。ぶんぶん。


「なんで非戦闘員の討伐量が一番多い……なんだ、これ」


 ギルド長さんはアシャールさんを見た。


「なんだ、これ! ワイバーン討伐数、5698体?!」

「不正はなかったことが、お分かりいただけましたでしょうか」

「不正はなかったが、疑問が生まれたじゃねえか。武器なんて持ったこと無いような綺麗な手でどうやってワイバーンを……! それにこんだけワイバーンが出たら普通はどっかの国が滅……ああ、ケモリアの国境でワイバーンが出たってことは聞いてたが、こんな大群だったのか……」


 ちょうど両替にいっていた女性が戻ってきたわ。

 わたしはお礼を言って、鑑定で積まれた金額に間違いない事を確認し、書類にサインして魔力を流す。


「なあアシャール神官、その駆除依頼、俺も同行していいか? ギルドとして状況を把握しておく必要があるからな」

「ギルド長が自らですか? まあ良いでしょう。では明日の早朝こちらに迎えに来ますから」

「ああ頼む。一応武装はして」

「その必要はありませんが、場所が鉱山付近なので、念のためのギルドの通信魔導具だけ持って来てください」

「あ……ああ」


 なんか話が決まったようだけど、そうするとギルド長さんも馬車に乗って貰うのかしら。猫アレルギーとかないか心配……あ、なさそうね。良かったわ。

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