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一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがヤバすぎた。改訂版  作者: たまご
第七章 〈ことわり〉をはずれたもの。

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第五十四話 刺客。

 ギルドに行き、依頼完了済みの書類を見せてもらう。

 よし、事務処理スキル発動!

 ……。

 …………。


 ふむ、戦闘をメインにした冒険者達は10チームほどか。

 その内の2チームは、冒険者の養成を専門にしている学校の生徒達のようだから除外してもいいだろう。

 よそのギルドでも名の通ったチーム、最近になって組んだチームも外す。

 残りは3チームか。

 真珠国の出身なら名前に特徴があるはずだが、どれもこちらの世界で普通に使われている名前だ。

 偽名を使っているのか?

 まぁ、接触してみればせりの〈気配察知〉で分かるだろう。

 この3チームの現在の状況は……?

 1チームは連絡の途絶えた村への調査に向かっているらしい。

 まずは、ここ以外の2チームに当たってみるか。


 ……結論からいうと、2チームとも外れだった。

 ていうか、昼間から飲んだくれているんじゃない!

 酔っぱらいにからまれて、うっかり福助に全力の〈風魔法〉の指示を出してしまったじゃないか!


 そして、残りの1チームだが。

 世界を滅ぼそうとしている連中が村の救援に行くだろうか。

 んー?

 これはハズレだったか?

 いや、待て。

 そもそも戦闘系のチームじゃないのか?

 情報収集をメインにして、陰で魔物に呪いをかければいい話だ。

 倒すのは自分達でなくてもかまわないだろうし。

 ああ、もう! やり直しだ!

 もう一度ギルドに戻らないと!


 ギルドへ向かおうとすると、せりがキャットハウスから顔を出した。

 イカミミ状態で低いうなり声をあげている。


「へぇ?」


 どうやら向こうから来てくれたようだ。

 居酒屋で暴れたのが幸いしたか。

 福助の〈風魔法〉を見て、私達の素性に気付いたといったところだろう。

 今までのやり口からして、平和な話し合いをしに来るとは思えない。

 せりの様子からもこちらに敵意を持っているのはあきらかだ。

 しかし、どうやって攻めてくる気だ?

 こちとら、今や《竜殺し》として有名になってしまっているし、並みの人間では相手にならない。

 居酒屋での騒ぎも見ているだろうしな。


 んー?

 とりあえず、ひとけのない場所に誘導してみるか。

 ぶらぶらと歩きながら街の外れへと向かう。

 うう、とせりが歯をむき出す。

 ちゃんとついて来ているみたいだな。


「りゅうたろう、大きくなって」


 小声でりゅうたろうに指示を出す。

 さて、どう来る?

 様子をうかがっていると、すっと、ごく自然な感じで彼らは近寄ってきた。

 だが、せりが警戒している。

 しかも、近付いてきたやつとは別の方向を見てうなっている。

 ……囲まれたか。

 まぁ、囲まれたところで、ただの人間にうちの猫達がやられるわけがない。

 そう思って油断していた私のミスだ。

 何かを投げつけてきた。

 地面に落ちると同時に破裂し、中から煙が出てきた。


「ぐっ……」


 ひどい匂いだ。

 目がチカチカするような刺激臭がする。


「りゅうたろう! せり!」


 人間よりずっと鋭い嗅覚を持つりゅうたろう達は、匂いを嫌がって顔をこすっている。


「キャットハウスに戻って!」


 なるほど。

 猫達を無力化する気なのか。

 だが、甘い。


「福助、〈風魔法〉! 煙を吹き飛ばして!」


 うちには、めっぽうにぶ……、もとい、神経の太い猫がいるのだ!

 魔導の塔のやつがしかけてきた時も、ほかの猫達は私を避けたが福助だけは平気な顔をしていたからな……。


「にゃ!」


 福助が張り切って鳴いた。

 ごおごおと音を立てて風が舞い上がり、煙は跡形もなく消え、ついでに煙の玉を投げつけてきたやつも吹き飛ばした。

 しかし、まだ隠れていた連中が残っている。


「くぅ! キング! おこん!」


 りゅうたろうをのぞく戦闘タイプの猫達をキャットハウスから呼び出す。

 よつばとチャビは待機だ。


 わらわらと出てきた連中が私達を取り囲んだ。

 ……思っていたより多いな。

 やつらが手にしているのは日本刀か、あれ?

 ちょっと待て!

 真珠国のご先祖って、船に乗っていた商人と船乗りじゃないのか!?


 やつらの何人かが、手にしていたものを投げてきた。

 ひゅっと鋭い音を立てて飛んできたそれは、どう見ても手裏剣だった。


「福助、〈風の盾〉!」


 福助の作り出した〈風の盾〉に手裏剣が弾かれる。

 忍者……? 忍者なのか!?

 そういや、忍者は商人に化けて情報収集をしたり忍び込んだりするんじゃなかったか?

 どうりで、あちらこちらに細工して回ったらしいわりには目撃されてないわけだ。

 地下迷宮の魔方陣の時は盗賊の中に紛れ込んでいたみたいだしな。

 おまけに戦闘能力も高そうだ。

 だが。


「くぅ、〈剣魔法〉! ほかの人を巻き込まないでよ!」


「にゃお!」


 のしり、とくぅが一歩前へと踏み出した。

 うちの魔王様には勝てまい。


「キング、〈影魔法〉で拘束! おこん、〈引っ掻き〉!」


 何人かは捕まえて、話を聞き出さないと。


「福助、吹き飛ばせ!!」


「にゃ!」


 福助の回りをきらきらしたものが取り囲む。

 エルフの住む翡翠の森で福助と契約した風の精霊達だ。


「さぁ、始めようか」


 よくも、りゅうたろうとせりにひどい事をしてくれやがったな。

 覚悟しろよ?


 忍者達が一斉に襲いかかってきた。

 私達の間にするりと入り込む。

 まずい!

 入り混じった状態では福助は〈風魔法〉を使えない。

 私達ごと吹き飛ばしてしまうからだ。

 くぅは器用だからどうにかするだろうが、やはり威力の強い魔法は無理だ。


 それに。


 私は紅い刃を持つ大鎌を手にした。

 こいつら、私を狙ってきている。

 確かに、一番弱いやつから始末するのは常套手段だ。

 テイマーである私がいなくなれば猫達に指示を出す人間もいなくなる。

 りゅうたろう達を無力化しようとしたところからして、うちの猫達を捕まえて利用するつもりなのだろう。

 そんなこと、させるもんか!


 大鎌を振り下ろす。

 素早いやつらに私の攻撃は当たらない。

 それどころか、反撃をくらい私の身体は傷だらけだ。

〈身体能力強化〉のスキルと物理耐性がなければ、とうに動けなくなっていたはずだ。

 だが、私がこいつらを倒す必要はない。

 気を逸らすことが出来ればいい。


「おこん、〈引っ掻き〉!」


 忍者以上に素早い動きで、おこんがやつらの足元をすり抜ける。

 引っかかれた連中はそのままの姿で動けなくなった。

 おこんの攻撃に気づき、残りのやつらはさっと身を引いた。


「キング、〈影魔法〉で拘束!」


「にゃう!」


 キングの影が長く伸び、それと自分の影が重なったものはやはり動けなくなった。


「くぅ、〈剣魔法〉!」


「あぉぉぉ!」


 くぅの放った数百もの剣がやつらに襲いかかる。

 さすがに身のこなしが軽い。

 くぅの〈剣魔法〉を避けたものも多い。

 だが。

 今までの攻撃で、十分な距離が取れた。


「福助、全力で〈風魔法〉!」


「にゃ!」


 福助の回りを取り巻いていたきらきらしたものが、踊るように跳ね回った。

 風は激しい渦を巻きながら、凄まじい音と共にやつらを宙へと放り出した。


「くぅ、もう一度〈剣魔法〉!」


 空中では、くぅの〈剣魔法〉は避けきれないだろう。


「にゃああああ!!」


 せりがキャットハウスから顔を出し、大声で鳴いた。


「!」


 おこんの背後に新たな人影が現れた。

 あの時、図書館にいた学生風の一団だ。

 やつらは、おこんに向かって短刀を振り上げた。


「おこん!」


 私は大鎌を投げ捨て、おこんの元に走った。

 どうせ私の攻撃はやつらには当たらない。

 なら、少しでも身軽な方がいい。

 やつらが刃を振り下ろす直前に、おこんの元に着いた。

 私はやつらに体当たりをかまそうとしたが避けられた。

 だが、おこんへの攻撃は防げた。


「おこん、無事だね!?」


「にゃああああ!!」


 もう一度、せりが大きな声で鳴いた。

 私の目の前に鋭い刃が迫っていた。




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