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事務所で、お昼近くの一幕

 載せれなかった話。

 オマケみたいなものです。

 砂那が風邪を引く前辺りの話です。

「ねぇ、静香。わたし、ずっと不思議に思っていたんだけど、なんでこの事務所の名前は、アルクイン拝み屋探偵事務所なの?」

 梅雨に入ってから珍しく晴れ上がった日に、砂那は従業員用のデスクでパソコンを打つ手を止め、所長の椅子に座り、窓から外を眺めている静香に尋ねた。

 静香は意味の解らない様な顔で砂那を見る。

「………何の事? 名前の由来は知らないけど、ベネディクトさんの苗字がアルクインだから………」

「いや、そうじゃ無くてね、普通なら、アルクイン()()()探偵事務所では無くて、()()()探偵事務所になるんじゃないの?」

 静香は今気付いた様に頷いた。

「………そうね」

「ごめん、忘れて」

「ちょっと待った! 砂那、今、私は知らないって思ったでしょ! 知ってる知ってる、聞いた聞いた。ただ、忘れてたから思い出してただけ」

「うん、そうだね。ところで静香、お昼はおそばにしない?」

「だから知ってるって! あんた、私の事バカにしているでしょ。私も不思議に思ってちゃんと聞いたわよ」

 静香は不機嫌に頬を膨らませたが、砂那の知らない事を知っている優越感から、得意げな顔に変わり説明しだした。

「良いこと、まず、魔法は詠唱(えいしょう)によって発動するの。これは知ってる?」

「えっーと、『力無き(われ)に剣を、知識無き(われ)に本を、法無き(われ)に外界の法を』だっけ?」

「それは、お兄ちゃんの詠唱(えいしょう)詠唱(えいしょう)は人によって違うの。お兄ちゃんはベネディクトさんに習ったから、ベネディクトさんの影響を受けた詠唱(えいしょう)に成っているの」

「へー、だったら静香は?」

「私もベネディクトさんに習ったから大差ないわ。私は『知識無き我が本は無常、力無き我が剣は、外界の炎』よ。これは、私の得意な炎系の魔法を意識してのことよ。だから、魔法によっても内容は変わるわ。ちなみにベネディクトさんは『我が法は外界の法』だけよ」

「へぇー、ベネディクトさんは短いのね」

「優秀な魔法使いの方が短いわ。もちろん短い方が戦闘においても有利よ」

「確かにそうね」

「………」

「………」

「………えっと、何だっけ?」

「うん、お昼はおそばにしようって」

 砂那は刺激しないように、にっこりと微笑んだ。

「違うでしょ! えーっと、何で拝み屋なのかって話よね。魔法の詠唱(えいしょう)をおきょうに例えて、拝み屋って事にしているの。それに拝み屋なら、仕事が被っても総本山は文句言ってこれないでしょ」

「要は言い逃れの為なのね」

「何だか人聞きが悪い言い方ね」

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