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全裸の降臨と、奪われた明日

皆様、初めまして! 本作『全裸で異世界召喚された私が、100年前の英雄の孫と結ばれて幸せになるまで』をお目に留めていただき、誠にありがとうございます。

日常のふとした温もりから一転、見知らぬ異世界の冷たい宮廷へと放り出された主人公・水野葵。武器も防具も、そして着るものすら持たない異種独特の世界で繰り広げられる、切なくも美しい愛とサバイバルの物語。葵たちの過酷で愛おしい運命の旅路をどうぞ最後までお楽しみください。


夕懸けの柔らかな風が、ふわりと川沿いの堤防を撫でていく。

朱鷺色に染まる雲の隙間から差し込む茜色の光が、舗装された道路の上に長く伸びる二つの影を寄り添わせるように並べていた。

「――ふふ、それ。本当に気に入ってるんだね」

「ん? あ、悪い。無意識に歌ってたか」

178センチのすらりとした高身長の体を少し屈め、照れくさそうに笑ったのは、葵の恋人である橘拓海だ。手ぐしでざっくりと整えた自然なクセのある黒髪の短髪が、夕風に揺れている。涼やかで意志の強い目元が、葵を見つめる時だけはいつも、解けるような柔らかさと優しい愛おしさを宿していた。

その唇からふと漏れ聞こえていたのは、葵にとっても聞き慣れたあの旋律だった。

低いけれど良く通る彼の声が口ずさむハミング。それは二人が付き合い始めて間もない頃、彼が暮らす小さなアパートの屋上で作られた歌だった。

二人で並んで夕暮れを見下ろし、缶チューハイを片手に語り明かしたあの日。ノートの切れ端に冗談半分で書き殴った歌詞と、彼がキーボードで弾いた素朴な旋律。

付き合いが長くなった今となっては、拓海が歩く時や考え事をする時にふと口ずさむ癖のようなものになっており、水野葵にとっても日常の風景の一部としてすっかり肌に馴染んでしまっている。今さら歌詞に突っ込んだり、茶化したりすることすらない。ただ、彼の隣でその鼻歌を聴いている時間が、二十歳を迎えた葵にとって一番心地よく、愛おしい日常だった。

葵は、繋いだ手のひらから伝わってくる彼の指の温もりを、ぎゅっと確かめるように少しだけ力を込めて握り返す。

拓海の手は大きく、少しだけゴツゴツとしていて、葵の細い指を完全に包み込んだまま、掌の芯で熱を押し返してくる。指の隙間を埋める体温が、夕風より先に葵の胸元まで沁みていった。

指先をすり抜け、しっかりと繋ぎ直してくれる拓海の大きく、少しだけゴツゴツとした手。大学の講義を終えた夕暮れの帰り道、こうして同じ歩幅で歩く時間は、世界中の何物にも代えがたい幸福の瞬間だった。

暗めのダークブラウンに染めた肩を少し過ぎるミディアムロングの髪が、風にふわりとなびく。澄んだ黒茶色の瞳を細め、葵は拓海の横顔を見つめた。派手なメイクで飾る必要のない、白磁のように滑らかで吸い付くような白い肌。可憐な佇まいの中に、どこか天然の甘い雰囲気を漂わせる葵の微笑みに、拓海は一層目を細める。

『――アパートの屋上で見た、夕焼けの空。

風が君の髪を揺らして、世界が少しだけ止まった――』

拓海の鼻歌に、葵もまた小さなハミングを重ねる。

二人の声が夕暮れの風に溶け合い、どこまでも遠くへと響いていくような微睡むような錯覚。

「……卒業したらさ、バイト代貯めてもっとちゃんとした機材買って、二人でちゃんと録音してみるか」

「本当? ふふ、拓海が覚えてたらね。楽しみにしてる」

「覚えてるに決まってんだろ。二人だけの歌なんだから」

そんな、どこにでもある平凡で、けれど何よりも確かな未来の約束。

――それが、二人が旧い世界で交わした、最後の言葉になるとも知らずに。

異変は、横断歩道の信号が青に変わり、二人が一歩を踏み出したその瞬間に訪れた。

足元のコンクリートが、唐突に内側から激しい白銀の光を放ち始めたのだ。

割れ目から滲む光が、靴底の下で脈を打ち、葵の足首を熱く包む。

「――っ!? な、何だ、これ……!?」

拓海の驚愕の叫びが響く。

夕闇を瞬時にかき消すほどの目眩く眩耀(げんよう)。それは精密極まる幾何学模様の陣を地面に描き出し、二人の足元を中心にして、半径数メートルに及ぶ広大な大陣へと急速に広がっていった。

「たくみ、っ――!?」

声を発しようとした瞬間、葵の身体は凄まじい浮遊感に包み込まれた。

重力が消失する。周囲の大気が粘性を帯びた灼熱の熱流へと変わり、視界のすべてが渦巻く光の狂瀾に飲み込まれていく。

時空の渦の中で、拓海の身体が視界の端へと激しく引き剥がされていく。

「葵――っ! 手を離すな!!」

「拓海! 拓海――っ!!」

拓海が必死に叫び、無骨で大きな手で葵の手を力任せに引き寄せようとする。

指と指が強く擦れ合い、生々しい互いの皮膚の温もりが激しく主張する。掌に残る熱が、葵の胸元を震わせ、胸の奥で拓海の名だけが熱く鳴った。

けれど、時空を切り裂く暴風のような次元の歪みが、容赦なく二人の間へと割り込んできた。

すり抜ける無骨な指先。引きちぎられる愛しい体温。

拓海の指が、葵の華奢な掌から離れていく。

「たくみぃぃぃ――っ!!」

彼女の叫び声は光の泡となって消え去り、葵の意識は深い深い暗黒の底へと沈み落ちていった。

◇

――冷たい。

全身の皮膚に直接触れる、あまりにも硬く、凍てつくような冷気。

冷気が皮膚を削り取り、全身を小さく強張らせ、腰の奥をびくりと鳴らしていく。

じわじわと体温を奪っていくその不快な感触に、葵はうっすらとまぶたを開いた。

「う……ん……っ……」

喉の奥から漏れたのは、自分でも驚くほど切なく震えた小さな吐息だった。

重い頭を持ち上げようとして、葵の視界に飛び込んできたのは、見たこともないほど巨大な白磁の大理石の床であった。

鏡のように磨き上げられたその床面は、そこに倒れ伏す一人の無防備な少女の姿を鮮明に映し出している。

乳房の膨らみ、腰の線、膝の内側まで、何も隠すものがない己の姿が、冷たい石の底に焼き付いていた。

何気なく身体を動かして起き上がろうとした葵は、全身を撫でるあまりにも直接的な空気の冷たさに、ハッと息を詰めた。

胸のあたりが、異様に軽い。腰回りにも、足を包む布地の触感すらも存在しない。太股の内側を撫でるものが、何もない。

「……え……?」

違和感に胸を騒がせ、葵は起き上がりながら、おそるおそる己の下半身へと視線を落とした。

――その瞬間、彼女の思考は真っ白にフリーズした。

そこに広がっていたのは、見慣れたブラウスやインナーの布地などではなかった。

視線を落としたすぐ目の前で、重力に逆らえず豊かに揺れる、白磁のように滑らかな自らの乳房の膨らみ。

そして、その中央で恥じらうように可憐に佇む小さな胸の先端。

冷気に肌が強張り、羞恥の熱に反して全身が強ばり、冷たさに震えていた。

さらにその奥へと視線を巡らせれば、引き締まったお腹のくびれから、すらりと伸びる二本の太もも。その合間に広がる、今まで拓海以外の他人に晒したことのない、柔らかな身体のライン――。

足の付け根の奥は、恐怖と予期せぬ熱で甘く火照り、冷たい汗が一筋、膝の内側へ伝い始めていた。

ショーツすら身につけていない、完全なる生まれたままの全裸姿。

身に纏っていた衣服のすべてが綺麗さっぱり失われ、彼女の滑らかで豊かな肉体そのものが、無防備に冷たい空気の中に晒されていたのだ。

「ひ……っ……嘘、でしょ……!?」

直視した自分の全裸姿に、葵は血の気が引くと同時に、顔面を耳たぶまで沸騰するような朱色に染め上げた。

心臓が跳ね上がるような激しい鼓動。暗めのダークブラウンの髪が肩から滑り落ち、むき出しの鎖骨を撫でる。慌てて両腕を胸の前で交差させ、豊かな胸のふくらみと可憐な頂を必死に押し隠そうとする。

柔らかい胸が腕に潰され、胸の先端が腕の隙間から露わになる。肌と直肌が擦れ、びくりと背筋に電気が走った。

しかし、圧迫された柔らかな肉感は腕の隙間からこぼれ落ちそうになり、慌てて両膝をきゅっと強く密着させて、無防備な身体を隠すように体を丸め込んだ。

膝の合わせで太ももが潰れ、柔らかな肌が擦れる。その感触が、まだ誰にも触れられたことのない場所を熱くした。

直肌と直肌が擦れ合い、生々しい自分の体温が伝わってくる。その行為自体が、自分が今どれほど無防備な裸体であるかを嫌というほど葵に突きつけていた。

だが、乙女としての狂おしいまでのパニックに陥る彼女を嘲笑うかのように、周囲から地鳴りのような重々しいざわめきが沸き起こった。

「――おお……! 見よ、召喚は成ったぞ!」

「儀式は成功だ! 異界より待ち望まれし『対の錠』が降臨された!」

「何という美しくも、神秘的な体躯……!」

重厚な声が、遥か高い天井に反響する。

驚愕に黒茶色の瞳を見開き、葵は怯えながらゆっくりと周囲を見回した。

そこは、天井が遥か高くに聳え立つ、神殿のように荘厳な白の宮廷であった。

そびえ立つ白亜の巨柱の列。その回廊を取り囲むようにして、数百人もの人々が葵を取り囲み、食い入るような視線を一斉に注いでいたのだ。

そこに集まっていたのは、白い刺繍の施された豪奢な長袍(ローブ)を纏った、異世界の宮廷魔導士や貴族たちであった。

彼らの着ている衣服は、どこか現実感がなく、光の粒子が薄絹のように揺らめく不思議な質感を帯びている。

しかし、葵の目を射抜いたのは、彼らの衣装の奇妙さではなく――その目に宿る、欲望と歓喜が入り混じった灼熱の視線であった。

数十の男たちの視線が、床の上にうずくまる葵の生々しい裸体へと注がれている。

腕の隙間から溢れ出る柔らかな胸の谷間、折りたたまれた白い太ももの滑らかなライン、恥ずかしさに真っ赤に染まった首筋から耳たぶ、そして腰からお尻にかけての艶やかな曲線。視線が胸元から腰へ、腰から膝の内側へ、皮膚の上を舐めるように往復した。

「く……っ……やだ……見ないで……っ!」

葵はさらに身を縮こまらせ、必死に肌の露出を隠そうと両腕に力を込めた。

しかし、圧迫された胸が溢れるように横へ押し出され、かえってその艶やかな肉感を強調してしまう。胸の先端は冷気と羞恥に慄き、いっそう強く存在を主張した。

二十歳の乙女としての自尊心が、鋭い針となって胸を刺した。見知らぬ大勢の男たちの前に、一枚の布すら纏わずに晒されているという狂おしいほどの恥辱。その屈辱感が、葵の全身を火照らせ、白磁の皮膚をほんのりと桜色に染め上げていく。

冷気と熱が肌の上で混ざり、微かな汗が腰を伝って大理石へ落ちた。

呼吸が荒くなり、発熱したような甘い吐息が、冷たい大理石の床を白く曇らせた。

その時、回廊の奥から、一人の男が悠然と歩み出てきた。

輝くような白銀の魔力衣を身に纏い、冷酷な眼光を宿した男――白の魔法国家の最高権力者、高位宰相ヴァルターであった。

ヴァルターは葵の数歩手前で足を止め、床に膝を突いてうずくまる彼女の無防備な全裸を、品定めするような冷ややかな目で見下ろした。視線は胸元から腰へ、腰から脚の内側へ、感情なく区画を測っていく。葵は膝の内側を密着させながら、震える体でその視線を受け止めた。

「よくぞ参られた、異世界の『対の錠』よ。我ら白の魔法国家は、貴殿の降臨をずっと待ち望んでいた」

「な……何を……言っているの……? 身体を隠すもの……何か羽織るものを、ください……っ!」

葵は声の限り叫んだ。恥ずかしさに黒茶の目元を涙で濡らし、震える声で哀願する。

両腕で胸を隠し、太ももをきつく閉じたまま、震える体でヴァルターを見上げる。胸が腕に潰されて震え、肌が冷気に粟立ったままだ。膝の内側から伝った汗が、大理石に小さな跡を残していた。

しかし、ヴァルターの薄い唇に浮かんだのは、慈悲の欠片もない冷笑であった。

「羽織るもの、だと? ふむ……異界の者は実に奇妙で理解しがたい概念を口にするな。物質で皮膚を覆うなどという術は、この世界には存在せぬ。我らが身に纏うものとは、自らの意識と魔力を編み上げて形づくる『魔力衣』のみなのだ」

「え……?」

「己の意思と魔力で衣を形成できぬ者は、全裸でいるほかあるまい。まあよい……まずは其方の能力、我が国の兵器としていかほどの価値があるか、改めさせてもらうとしよう」

ヴァルターの言葉に、周囲の魔導士たちが一斉に魔法陣を起動させ、葵の無防備な裸体へ向けて淡い光の触手が伸び広がっていった。

光の触手の先端が皮膚に触れた瞬間、冷気と熱が交差し、首筋、脇腹、膝裏、太股の内側を光の帯が擦っていく。

巻きついた光の触手は、絶大な力で葵の手足を束縛すると、そのまま彼女の身体を空中へとふわりと持ち上げた。光が胸の膨らみ、腰のくびれ、滑らかな肢体を包み込み、葵の身体を虚空に晒していく。

抵抗する間もなく、葵の身体は虚空で水平に展開され――完全に仰向けの大の字の態勢で固定されてしまったのだ。両腕を広げられた瞬間、胸の谷が重力で開き、滑らかな肌が冷気に晒された。

「嫌……っ! 離して……下ろしてぇ……っ!」

空中高く浮遊させられた大の字の姿勢。それは、数百人の男たちの頭上で、葵の肉体のすべてを隠す余地なく曝露させる最悪の公開処刑であった。

両腕を左右に広げさせられたことで、隠す術を失った白く柔らかな乳房が、重力に従って左右へと豊かに張り出す。

その中央に咲く可憐な胸の先端は、冷気と羞恥に慄いてキュッと収縮し、先端を無防備に際立たせて虚空を指し示していた。胸の奥で熱い脈拍が打つたび、甘い痺れが走る。

さらに、両足を大きく左右に広げられたことで、引き締まったお腹のくびれから滑らかな太ももの内側、そして拓海以外踏み込んだことのない無防備な部位――柔らかく起伏する太ももの付け根と、身を隠す術のない繊細な肉体までもが、真下から見上げる男たちの眼前に完全に開帳されてしまったのだ。身体の奥は熱を帯び、微かな汗が細く伝い、肌を濡らしていた。

「見……見ないでぇっ! お願い、見ないで……っ!!」

葵が狂おしい涙を流して哀願するのも束の間、彼女の手足を固定する光の束が、ゆっくりと微かな脈動を始めた。脈打つたび、光が素肌を擦り、葵の身体はびくりと震えた。

――次の瞬間、空中でお開帳にされた葵の身体が、まるで展示台の上のロースターのように、水平の軸を中心にしてゆっくりと滑らかに回転し始めたのだ。

「ひぁっ……!? な、なに……身体が……回っ……あぁっ!?」

三百六十度、虚空でゆったりと繰り広げられる無防備な裸体の旋回。

回転に合わせて、重力の方向が刻一刻と変化していく。葵の身を横倒しに傾けると、両胸がその自重で大きく横へと崩れ落ち、重たげな弧を描いて流れる。胸の重みが肉の揺れに引っ張られるようにぷるんと可憐に揺れ動き、羞恥の冷気で一層引き締まりながら美しく佇んでいた。

さらに身体が下を向き、俯せの体勢へさしかかると――二つの豊かな乳房は重力に引かれて下へとぽたりと垂れ下がり、溢れんばかりの重量感をもって重々しく揺れた。大理石の床に胸が近づく。

重力に引かれて下垂する乳房の先端で、ぎゅっと固く収縮した胸の頂が、重みの揺らぎに合わせてピンと尖ったままプルプルと健気に震える。その可愛らしい胸の先端は、浮遊する光の触手が擦れ違うたびに微かな刺激を受け、より鮮やかな桜色へと色づき、熱を帯びていく。

背中から腰、そしてキュッと引き締まったウエストから丸みを帯びた白磁の臀部(お尻)の双丘、その合間に挟まれた太ももの裏側の柔らかな肉線までが、回廊で見上げる男たちの視線の前に完璧に曝露される。臀部の曲線が光に照らされ、肢体のすべてが見透かされていた。

くるり、と回転が一周し、再び仰向けの体勢へと戻る頃には、あらゆる角度から彼女の肉体を鑑賞した魔導士たちから、低くくぐもった歓声と感嘆の吐息が漏れ聞こえていた。視線が全身を往復し、葵の皮膚に熱い跡を残していく。

「あ……んっ……!? や、やだ……っ!」

しなやかな光の束が、まるで無数の温かい手のひらとなって、彼女の素肌を優しく、けれど逃れようもなく舐め回すように這い上がってきた。

首筋から鎖骨へ、胸の膨らみから敏感な頂へ、そして太ももの内側から下腹部へと――全身を同時に巡るような、甘く狂おしい感覚。光が胸元をなぞり、肢体を包み込み、身体の奥を熱くしていく。

「う、あ……っ……ぁ……っ!」

生殺与奪を握られた恐怖と恥辱の中に、ぞくぞくっと皮膚を駆け抜ける未知の感触が混ざり込む。無数の光の束で拘束されているような妖しい痺れに、葵は背筋をぴんと反らせ、甘い吐息を漏らしながら身を悶えさせた。肌が強張り、太股の内側が熱い火照りで濡れていく。

だが――葵の胸を満たしていたのは、甘美な感情や恐怖だけではなかった。

胸の奥で、ひときわ大きく渦巻く恐ろしいまでの絶望と喪失感。

「拓海……っ……拓海、どこ……!?」

葵は涙で前が見えない視界の中、広大な宮廷の中を、自分を取り囲む男たちの群れの中を必死に探した。光が素肌を包み、身体に熱を灯す。けれど、その感触は愛しい人の体温ではなかった。

けれど、どこにもいない。

さっきまで手を繋ぎ、一緒に光に飲み込まれたはずの、大好きな拓海の姿は、どこにも見当たらなかった。

手の中に残る、かすかな彼の体温の記憶だけが、冷たく晒された葵の素肌の上で、切なく虚しく消えかけていた――。


第1話をお読みいただきありがとうございました!

手の中に残る恋人の体温も虚しく、完全な全裸で異世界の白磁の宮廷へと召喚されてしまった葵。目覚めて目に入った己の生々しい裸体と、彼女を取り囲む宮廷魔導士たちの熱い視線……そして、同時に魔法陣に巻き込まれたはずの拓海は一体どこへ消えてしまったのか? 第一話から過酷な状況に放り込まれた葵の戸惑いと絶望を、読者の皆様にも少しでも感じ取っていただけていれば嬉しいです。

少しでも面白いと思っていただけましたら、ぜひブックマークや評価、感想などで応援していただけると執筆の大きな励みになります!

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