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中古にまつわる怖い話と奇妙な話  作者: 夏の月 すいか


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痕跡①

 ―総合リサイクルショップ勤務 家電部門勤務 社員 芦原(あしはら)さん(仮名)の話―

 

 お客様の自宅に出向いて買取をする、出張買取というものがある。

 引っ越しをする予定だというお客様から依頼があり、芦原さんが向かうことになった。

 到着した家は落ち着いた印象の内装や家具で、家主も家に見合った丁寧な物腰の女性であった。

 芦原さんは家主の案内で、買取依頼のものがある奥の部屋に通された。すぐに引っ越しをするわけではないのか、日用品はまだ普段の暮らしのまま室内にあった。組み立てられた引っ越し用の段ボールが置かれたの部屋が途中にあったので、部屋ごとに順番に引っ越す準備をしているのだなと思ったという

 奥の部屋に入ると「電子レンジ」「洗濯機」「冷蔵庫」が置いてあった。

 この3つを買取って欲しいのだという。

 しかしどれも買取することが出来なかったため、芦原さんは手ぶらで店に戻った。

 

 買取出来なかった理由なのだが、

 「電子レンジ」「洗濯機」「冷蔵庫」そのどれも、

 扉((ふた))を開けた途端、耐えがたい獣臭がしたからだった。


 芦原さんは買取を断るとき家主の顔を見ることが出来なかったそうだ。

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