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中古にまつわる怖い話と奇妙な話  作者: 夏の月 すいか


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らくらくホン

 ――中古携帯電話販売店 須磨(すま)さん(仮名)の話――


 ご高齢の方が使うことが多い「らくらくホン」。

 買取に持ち込まれる内の何割かは「以前、母(父)が使っていた物だったんだけど、もう……」という理由だそうだ。


 そのような物だから、奇妙な話はやはり…ある。



 あるとき須磨さんの店に一本の電話が掛かって来た。

 内容は「らくらくホン」を買ったお客様からのクレームだった。

  

 「発信履歴に知らない電話番号があって………そもそも掛けてもいない番号なのに発信履歴に何件も毎日表示されて―――」


 電話の声は聴き取りづらかった。

 どうにか聴き取って要約したのが上記の内容だった。 

 ちなみにその番号からの折り返しは無いらしい。


 状況は把握しても理由は分からない。 

 本人が掛けたのを忘れているだけという可能性もある。

 「申し訳ありませんが当店では対応でき兼ねます」と伝え、発信履歴の電話番号を訊き電話を切った。


 発信履歴の番号を訊いたのは、須磨さんに確認しておきたいことがあったからだ。


 須磨さんは買取伝票の履歴を事務所のパソコンで検索した。



 「あった…」



 須磨さんの予想は当たった…。


 発信履歴の電話番号は「らくらくホン」を売ったお客様の番号だった。



 「母が亡くなって…もう使わないから」



 須磨さんは買取対応をしたときに聞いたお客様の言葉を思い出した。


 ……元の持ち主である「母」が未(いま)だ娘に毎日電話をしているのだろう。

 

 電話番号の正体は判ったが、須磨さんは誰にも報告するつもりはなかった。


 電話番号の正体が判明したところでどうすることも出来ないから。


 それに……


 「電話してこられたお客様の声に、通話中ずっと老人の声が重なって聞こえてたんです。混線したみたいに…。

 もしお客様に報告の電話をしたら……その声が私に話しかけてきちゃったら怖いじゃないですか…。」


 そのような訳で、もしかしたら今も発信履歴は新たに更新され続けているかもしれない。


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