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中古にまつわる怖い話と奇妙な話  作者: 夏の月 すいか


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誰も知らない人形と、アップリケ

 ―買取集荷ドライバー 尾家島(おかじま)さん(仮名)の話②―


 尾家島さんか店舗から回収した商品は一度倉庫に運ばれる。 

 倉庫に集められた商品は、倉庫担当のスタッフたちが仕分けをして店舗に再分配されることになる。


 その日、尾家島さんが倉庫に降ろした商品の中に、尾家島さんの膝より少し上くらいの背丈の大きい人形があった。

 赤いワンピースと赤い靴を履いていて、頭と目がデフォルメされた女の子の人形だった。


 尾家島さんはその人形を店舗で回収して荷台に積んだ…という憶えがなかった。


 翌日、別のエリアで店舗を回り回収を行ったときに、倉庫で降ろす際に昨日と同じ人形があるのを見つけた。

 これもまた、尾家島さんは積んだ憶えがなかった。

 自分が憶えていないだけで、他の誰かが荷台に積んだと考える方が自然だ。

 尾家島さんはそう思うことにした。

 しかし、その翌日も同じ人形がいたため、さすがに気味悪く思った。

 「ねえ、この人形、流行ってんの?」

 尾家島さんは倉庫スタッフの女性数人に尋ねてみたが、答えは「いいえ」「知らない」だった。

 「そうだよな。あんまり可愛くないもんな」と尾家島さんは思った。


 更に翌日も、倉庫に商品を降ろす中にその人形がいた。

 四日連続、四体目の人形。

 人形は四体全てスカートの裾に、手書き風のひらがなで名前が書いてあるアップリケが付いていた。

 それが人形のデザインの一部で、人形の名前なのかは尾家島さんには分からなかった。

 書いてある名前は四体全て同じだったからそれは人形の名前なのだろうが、別々の子供が書いたみたいに筆跡がバラバラだった。

 「人形の名前だよな…」


 倉庫で仕分けた商品を店舗に分配するのは尾家島さんの仕事ではない。違うドライバーの仕事だ。

 しばらく経ってから尾家島さんは、店舗スタッフにその人形が入荷されたかを聞いて回ったが、どこの店にも入荷されていなかったため人形の行方は分からなかった。


 その人形をトラックに載せたというスタッフも、どの店舗でも見つからなかった。


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