【―幕間の口上―】
「中古=リユース=SECOND HAND」の性質は言葉の通り「人の手から人の手」に渡る物である。
従業員はそのつなぎ役である。
買取で前の持ち主。販売で新たな持ち主と対峙する。
リユース品とはいえ出来るだけきれいな物の方がお客様に好まれるし、おもちゃやベビー用品や子供服の様に、親が子に買い与える物なら尚更前の持ち主の気配が消えたフラットに近い状態の品の方が良いだろう。
「痕跡本」のように前の持ち主の痕跡そのものを楽しむ一部のマニアもいると思うが、出来るだけ前の持ち主の痕跡を消すことに努めるのが従業員の仕事だと思っている。
きれいなクリーニングを心掛けているが、それはもしかしたら品の外見を掃除しているだけではないのかもしれない。
機会があれば「きちんとクリーニングした品のみ並べた売り場」と、「全くクリーニングをしていない品のみ並べた売り場」のどちらがより多くの奇妙な事が起きるか実験してみたいものだ。
閑話休題。
ともかく新たな持ち主に提供するまでに、前の持ち主の痕跡に遭遇するのは従業員の宿命だと思っている。
これまでに私は同業者の方からお伺いしたいくつかの奇妙な体験を記してきた。
「ユイちゃんの日記」や「おもちゃの報せ」のような不思議な話。
「登園時間」や「誰のもの」のような(おそらく)心霊に関わる話など。
そして「痕跡①」「痕跡②」や「お世話人形」のような、人為的な話。
人為的というか、常人には理解できない狂人の話か。
「意外に」と思うか「当然」と思うかは分からないが、狂人の話が最も多い。
言い回し上大袈裟に言ってしまったが、実際に多いのは狂人というより奇人の範疇の話である。
しかし、「Lies or Truth」のような、奇人の話なのか正常な人に起こった奇妙な話なのか判断がつかないものもある。
私は霊能力者ではなく、単なる聞き手でしかない。
起こった事をただ ―聞き、ただ ―書くだけである。
これからもお付き合いいただければ幸いである。




