自主製作映像「クレイジー・フェノミナン」音響効果
「まず、やっぱり、冒頭シーンに使うのは重低音でしょー
ス●ーウォーズとかのエピソードでも冒頭戦闘シーンがある作品じゃー
迫力のある興奮というか熱狂を掻き立てるような重低音を使っているんですからー」
『でもだな、この部室にある旧式パワーマックのオマケについている
プロデューサーじゃーなー
音痴なのが歌ったのを楽譜通りに訂正するとかはできるけど
マック・トーンの2000年頃のデジタル音源回路だから
薄く平べったい、ペラペラな感じの音像しか出せないからなー
ス●ーウォーズ エピソード3 の冒頭で鳴らされた音を作った
パナソニックとスカイウォーカーサウンドと監督が共同開発した機材みたいに
前に3Dに飛び出るような感じの迫力ある重低音ってのは無理だと思うよー』
「でも、でも、でも、だが、しかし
ここにある機材で工夫して、エフェクトってか、イコライザー設定で
なんとか少しでも それに近い音に近づけるくらいは、やりましょお!!!」
脇役の兵隊やってた時は、指示されたセリフを
言われない程度に少しだけ指示された通りに言ってただけだったのに
編集、音響効果の作業になったら途端に、アレコレと語りだす、とある2年生
昔は音大へと行きたかったらしいが
小さい頃から防音室のある豪邸でピアノを練習してきた人で
中学から音大付属の中学だった人に比べて
大学から頑張っても無理な事を自覚して諦めて
この大学に入ったけれども、熱量みたいなものが残っていて
なんでもいいから、音楽というか音響工学というか
何か、音に関係した事に対するやりたい余熱みたいなものが心にあるらしい。
『それにっさー、だんだんと狂気が深遠で深みと重みを増していくんだよー
最初は、普通の、そうだなー ベートーベンのピアノソナタのパロディな
なんちゃって ピアノ ソナタな ペラペッラな薄っぺらい感じの音とか
波の音が聴こえるに海辺で兵隊が舞台 いや部隊へと向かうシーンにするとか
波の音も重低音って言えば 重低音だしね
だんだんと深みと重みのある重低音を足していって
この軍隊内での狂気を描く前半シーンのラストで
少しでも迫力のある重低音を使えばいいんじゃないのー』
「あー、そうっすねー。
数年前の先輩が残した台風の時の巨大な波から録った波音とかを
ラストシーンに使って、それに今回リメイクした迫力重低音を重ねる
それに合わせて、一番、気ちがいじみたセリフを言う上等兵様の語りシーン
いいんじゃないっすかねー」
『んでー、この合間ってか変態情事シーンがあったというナレーション部分のーBGMだけどー
50年くらい前のフランス エロアート映画 エ●ニュエル夫人のテーマ、まんまじゃんあいのー
いや、そのまま使うとさー権利関係とかが面倒だから
マックのDTMソフトに楽譜そのままに打ち込んで
コードをセブンス・コードにして、音色をストリングスからテナーサックスにすればー
アーバン・モダン・ジャズっぽくなるから、そんな感じに変えた方がいいよねー
それと変態愛憎の片側は欲望しか抱えてなくて、もう片方の憎悪に気づかないってシーン
ここで鳴らしているのって、モロに、同じ時期のエロアートフィルム ”エーゲ海に●ぐ”で
エーゲ海をバックにしたエロシーンで流れていたBGMまんまだよねー
これっもさー、そんな昔のフランス・エロアートのパロディ映画を
詳細まで覚えているのっていないしー
学生映画祭に出品した自主製作映画までチェックしてないだろうし
相手にされていないだろうとは思うけどー
とはいえ、最近は放映権利とか、音源権利とかをAIで自動的に調べて請求するって言うしー
何があるかわからないし、放映権取引してる先輩の会社のいる同業者団体とかで
そういうのの権利取引タブーを犯した会社が、発覚してから1年も持たずに潰れたって言うしー
これも、そうだなー、なんか フランスのシャンソンで使われるようなコードを
全部、セブンスコードにして、モダンジャズっぽくしちゃえば大丈夫かなー』
「でもーでもでもー、セブンスコードにして、シャンソンっぽさを消すと
淫靡で淫猥な感触が消えてしまうのではー」
『いーんだって、んな細かいトコまで、誰も聞き分けられるような耳を持ってないからー』
・・・・
というワケで、ダラダラと2人が延々と音響効果に関する作業を
音響ソフト「プロデューサー」がインストールされた古いパワーマックの前でしているのを
最初は結構な人数が会話に入りこもうかなとチャレンジしたが
はじきとばされるようにして、一人減り、2人減り、最後には記録係なワターシと
二人以外、誰もいなくなって黙々と作業が続いていった。
そして、音響効果作業中に仮タイトルが変更された
狂気現象 クレイジー・フェノミナン
というタイトルに




