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第五十六話 日記 後編

日記、後編となります。

十七日目


 今日は初めてスノウさんに一撃を与えることができた。

 重要なのは、相手の身体の動きからそれからの行動を先読みすることだったんだ。

 そう、攻撃パターンを覚えることは、間違いじゃないけど、間違いだったんだ。


 リーファもそれが分かったのか、今日中にスノウさんに一撃与えることができたし、ようやく自分たちが前に進めた時間ができた。


十八日目




 魔法使われるときついっす。




十九日目


 スノウさんの魔法は、リックさんと同じ形状変化型の魔法だった。

 魔力によって形作られる形状は槍。

 いくつもの槍を操り、時には空間に配置することでこちらの動きを阻害し、それに生じた隙を突く控えめにいってもかっこいい魔法であった。

 彼女が魔法を使うことによって、今まで待機していたライムを使うことを許されたけど、正直きつい。

 なにせ、相手の動きから次の行動が読み取れても、彼女の意志によって自由自在に動かせる魔力の槍の動きまでは予測することができないからだ。


 どうやってクリアしよう。


二十日目


 スノウさん対策のため、リックさんが僕達と模擬戦をしてくれるようになった。

 結果はスノウさんの時と同じ。

 というより、槍から剣に変わったおかげで昨日とはまた違った戦いになっていた。


 スノウさんの戦い方が堅実さを突き詰めたものなら、リックさんの戦いは臨機応変に事態へ対応する万能さを突き詰めたものだ。

 どちらの優劣も計れないけど、こちらはその場その場で剣技を変えてくるからやりにくい。


 午後はセラさんに魔力操作を教えてもらった。

 僕はそこそこ筋がいいようで、案外簡単に魔力を操作できた。

 まあ、僕の魔法の性質上、不用意に使えば魔物を引き寄せかねないので使う場面を選ばなきゃならないけども。

 その分、うまく使えば僕だけの武器になるとセラさんは言ってくれた。


二十一日目


 今日は休みをもらった。

 思い返せば今日まで本当に訓練続きだった。

 ボコボコにされては治癒魔法、ボコボコにされては治癒魔法の繰り返しだったから僕達も色々と感覚が麻痺しているのかもしれないな。


 折角いただいた休みなので、スノウさんとリックさんの対策がてら、リーファと一緒に道具屋へと赴いた。

 目的は装備と道具の調達と、ライムに新しい形を記憶させるためだ。

 武器だけではなく、スコップやかぎ付きロープなどの日常生活で扱うようなものに変形してもらえるようにすることで、さらに手札を増やすというものだ。


 それ以外にも外にご飯を食べにいったり、あまくるみを食べ歩いたりして普通に休日を満喫した。

 でも、使い魔の店の立て看板に【セラ禁止、カイト禁止】とこれでもかと、文字で張り出されていたことにショックを受けた。


 こんなのあんまりだ。

 人間のやることじゃない。


二十二日目


 人間って慣れる生物なんだなって思う。

 リックさんとスノウさんと手合わせをしていくうちに、知らず知らずのうちに僕とリーファの動きがそれぞれの形に最適化されていく。


二十三日目


 最適化っていったけど物量で攻められたら意味ないよねっ!

 空からたくさんの魔力の槍が落ちてきて地獄を見た。


二十四日目


 空からたくさんの魔力の剣がおちてきた地獄を見た。


二十五日目


 単体で広範囲攻撃できるってどうなってるのあの人達……?

 刃は潰してあるからそれほど危険はないけど、集中を途切らせた瞬間にボコボコのボコだわ。

 初めてだよ、リアルで命乞いしたの。

 少しも聞き入れてもくれなかったけれども。


 リーファは魔法を使うことで既にクリアしていた。

 なにやらかげひそみ……影潜とかいう新技らしい。

 自分の影に入り込んで、そのままスィーって移動していた。

 前から思ってたけど、君の魔法便利過ぎない?

 正直、妬ましい限りだ。

 あと、扉の隙間からスィーって入ってくるのはマジでやめてほし―――




 気配もなく後ろにいたリーファがジッと僕の日記を覗き込んでいやがりました。

 本人曰く「暇だから遊びに来た」らしいが、本当の本当に驚いた僕は、彼女に軽いげんこつをしてから部屋へと帰らせた。

 正直、今でも心臓バックバクだ。

 音もなく部屋に入ってきたのがマジで怖かった……。

 一瞬、知らない人に見えて襲われるかと思った……。

 悲鳴をあげなかった自分をほめたいくらいに、びっくりした。

 なにより恐ろしいのが、一緒にいるシフが直前まで気付いていなかったという事実。

 一昔前のパニックホラーかよ。

 袋とか被って襲い掛かってきそう。






 眠れなくなったじゃん!?

 いやぁぁぁぁぁ!?


二十六日目


 もう得物一本じゃ足りない。

 ニーアの双剣のように二刀流……とかやってみたいけど、ライムにそれを求めるのは酷だろう。

 彼は今でも十分すぎるほどにやってくれているのに、流石にそれ以上のことを求め……。


 いや、いいことを思いついた。

 ヌンチャクみたいに柄尻を紐で繋げたような形状にすれば、二刀流を再現できるんじゃないか?

 そうと決まれば明日試してみよう。


 ついでにヌンチャクの練習もしよう。


 昨日は寝不足だったので、ようやく眠れる。


二十六日目


 ライム、双剣形態、ヌンチャク形態が成功した。

 双剣形態のライムは、二つの剣の柄尻が紐で繋がっている形状をしており、それによりライムを双剣として扱うことを可能にしている。


 手数が増えたことにより、今まで防ぎきれなかった攻撃にも対応できるようになった。

 双剣の扱いについては、ニーアの戦いを見ているから大体はイメージできていたけど、やはり勝手が違う。

 ヌンチャク形態についてはこれから練習をする。



 もっと練習してやるべきだった。

 いたかった。

 隣の部屋のリーファに怒られた。


二十七日目


 訓練も大分慣れてきた。

 思えばもうすぐ一か月が経とうとしているけど、僕達はしっかり強くなれたのだろうか。

 思い起こせばただひたすらにボコボコにされていた記憶しかないけど、強制的に成長させられたっていう漠然とした感覚だけはある。


 それでもまだリックさん達とまともに戦えたりはしないだろうけど、いつかは本気の彼らとも手合わせをしてみたいと思う。


二十八日目


 今日、王国からリーファに知らせが届いた。

 ようやく、隣国の勇者、獅子原さんに会いに行く計画が定まったらしい。


 それに伴い、僕とリーファの訓練は終了ということになった。



いきなり背後に黒髪の少女がいたらそら驚きます。

状況的には、日本のホラー映画的な演出ですね。

怖い。


そして、ライムの体の一部を繋ぐことでようやく双剣形態にまで発展していきました。

これにより、二つの武器への変形も可能となりました。

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