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宮様にTS転生したけど、第二次大戦が目前の日本で既に詰んでる気がする…… 作者:うるめいわし
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35話 ブルブルブル


 東京 秩父宮邸


「フフフンフンフン♪」

「藤宮様、ご機嫌ですね」

「まあねー」

「今度は何を描いておられるのですか?」

「じゃじゃーん!」


 桜子ちゃん特製、ブルドーザー&ユンボの絵であります!

 これを、陸軍技術本部のお偉いさんに渡せば、日本の建設土木機械技術の進歩も早まるというものです。

 このやり取りは、もう既に様式美の極致の気がしてきましたね!


「ブルドーザーですか?」

「そうだよ! この土木機械を使えば、人力でやっている工事の数十倍のスピードで、工事が進むはずだよ!」

「それは素晴らしいですね!」

「そうでしょ! そうでしょ!」


 つまり、ユンボで日本を救うのであります!





 あれ?

 今回は、夏子さんのダメ出しがありませんでしたね。
 ま、まあ、こんな時も、偶にはあってもいいよね?

 でも、夏なのに雪が降りそうに感じるのは、何故なんだ……








 東京 小石川 陸軍技術本部


「ほう? 戦車の絵ですね」

「正確には、戦車の車体を流用した土木機械だな」

「そう言われてみると、砲がありませんね」

「うむ。ブルドーザーにパワーショベルだそうだ」


挿絵(By みてみん)


「しかし、昨年にも似たような絵を見たような記憶が……」

「既視感を覚えると?」

「はい。やんごとなき御方がお描きになられた絵に、非常に似ていますので」

「その、やんごとなき御方で正解だよ」

「では?」

「うむ。恐れ多くも、藤宮様がお描きになった絵であらせられる」

「あー、やっぱり、藤宮様でしたか」

「内密だぞ」

「軍機ですね。了解しました」

「うむ。それで、この戦車の車体を流用した土木機械だが、役に立つのであろうか?」

「間違いなく役に立つと思いますよ」

「そうか…… 具体的には?」

「このブルドーザーの構造を見るからに、この土木機械は整地作業に向いているみたいですな」

「はい土板で、土を押しのけて進むのだな?」

「そうなりますね。排土板が正解でしょう」

「はい土板の"はい"は、土を排除する"排"であったか」

「このブルドーザーを使えば、飛行場を短期間で造成する事が出来ると思われます」

「飛行場を短期間で作れるのは、作戦を遂行する為には有用であるな」

「いままで、飛行場の造成に取られていた大勢の人手も、他に振り分ける事も可能になります」

「人海戦術で行っていた作業の数十倍の作業を、ブルドーザーが一台で行える訳か」

「そうなりますね。もっとも、効率良く工事を進めるには、現場に複数台のブルドーザーは必要でしょうが」

「それは当然だろうな。それはそうと、この排土板の仕組みは解るか?」

「油圧もしくはチェーンで、排土板を上下に動かすだけかと思われます」

「案外、単純な構造なんだな」

「ブルドーザーは単純ですね」

「試しに、八九式を改造して作ってみるか」

「さすがは、工兵出身の第二部長殿でありますな」

「うむ。工兵の土方仕事の苦労は理解しているつもりだ」

「餅屋は餅屋と言いますしね。話が早くて助かります」

「よせやい。今夜、一杯飲みに行くかね?」

「はっ、お供させて頂きます!」

「うむ。部のヘソクリがあるから、それで飲もう」

「それはさておき、問題はパワーショベルの方かと」

「パワーショベルのぉ…… 確かに、ブルドーザーに比べたら構造も複雑そうではあるな」

「塹壕を掘るにも便利そうではあるのですけど、何分なにぶんにも初めて目にする代物ですので」

「確かに、この絵を見る限りでは、巨大なスコップかシャベルみたなモノではあるな」

「バケットの大きさにもよりますけど、一度に、半立米やら一立米やらを掘れそうですな」

「そうであれば、これは革新的な土木機械になるという事か」

「そうなりますな」

「だが、恐らくは欧米にも、まだこのような土木機械は存在しないのかも知れんぞ?」

「存在したとしても、世間に知られてないということは、価値を見い出せてないのでしょう」

「そんな存在しないか、もしくは無名の土木機械なのに、何故、藤宮様が知っておられるのだ?」

「さぁ? 小官に聞かれても、てんで……」

「それも、そうであったか」

「もしかしたら、皇室には皇室の伝手でもあるのかも知れません」

「それは、十分にあり得る事だな」

「それはさておき、こちらのパワーショベルですけど、」

「ああ、そうだったな。続けてくれたまえ」

「はい。問題はパワーショベルの油圧シリンダーの製造が難しそうな点でしょうか」

「負荷が掛かり過ぎるという事か?」

「はい。柔らかな地面を掘るだけならば、圧力が低めのシリンダーでも大丈夫だとは思いますが」

「当然ながら、固い地面を掘るのが必要な場面も出てくるわな」

「戦争の最前線は、地盤や土壌を選んではくれませんからね」

「そういうことだな」

「あと、パッキンも重要ですね」

「パッキン? 油漏れを防ぐパッキンの事か?」

「はい。そのパッキンに隙間があって、圧が強くなり過ぎれば……」

「オイルが漏れるという事か」

「ええ、地面の抵抗に負けて、シリンダーからオイルがプシャーっと飛び散るのを想像してしまいましたよ」

「あ、あり得そうだな……」

「現在の我が国の技術力から言えば、そうなるでしょうな」

「つまり……?」

「どこまで行っても、基礎の技術力、工業力が大事という事ですね」

「はぁ~、やはり、そこに行き着くのか……」

「基礎をいい加減にしては、その先の発展は望めませんよ」

「それは、理解しておるのだが、理解はしておるのだが……」

「どうしても軍人は、近視眼的になりやすい性質を持っていますからなぁ」

「うむ。目先の事に捕らわれやすいとも言えるな」

「せめて、技術本部だけでも、場当たり的な弥縫策にはならないように気を付けましょう」

「そうだな……」

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