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エクリプス  作者: 元蔵
第1章 全身全霊をかけてあなたに恋します
10/98

10.ココが君セナじゃなかったとしたら?

 アレフ様が出て行った後も私はそのまま座り続けた。

 


 ここは、君セナだ。

 君セナの世界は、オリジナルの空想世界ファンタジー

 中世ヨーロッパ風の貴族や王国風な時代背景に、現代日本のような部分も組み合わさっている。

 いわゆる、煌びやかな貴族社会に自然豊かな環境、更に科学が融合したなんでもありの世界だ。

 だから、生徒手帳を読み取る電子マネーかクレジットカードのような機械(もの)がある。

 学園の駐車場には来客の車や先生がたの車が停まっているし、宇宙には人工衛星も飛び回っている。

 それでいて、手つかずの森や山などの大自然もある美しい世界。

 環境破壊なんて無粋な言葉、恋する乙女には必要ないよね。

 そんなハチャメチャな世界、それが君セナの世界だ。


 国の名前、学園の名前、登場キャラ全員に会ったわけではないけれど、同姓同名の登場人物がいる。

 私はまだ、君セナの全てをクリアーしていないから、知らないことがあるだけ。

 私やプレイヤーには、説明されていないことがあるだけ。

 そう、思っていた。



 でも、アレフ様の態度を見ていると何かが違う気がする。

 モンスターがいるなんて知らなかった。

 更に冒険者だなんて言い出すし。

 君セナでは、新入生歓迎ダンスパーティでは2人が踊るシーンがあったのに、絶対ダンスパーティには出ないって。

 ダンスパーティに出ないってことは、主人公と踊るつもりでもないってことよね。

 じゃあ、私とは踊りたくないってこと?

 それに、君セナではリリアーナは何でもできる令嬢って設定だったのに、私はこの世界の勉強や魔法が一切わからない。

 リリアーナの過去から、他を知ることもできない。



 もしかして、君セナの世界じゃないの?

 私が勝手に思い込んでいるだけなの?

 本当は、ドコに来ちゃったの?

 考えても答えは出なかった。



 気付けば食事が片付けられていて、テーブルには紅茶とマカロンやケーキ、タルトなどの焼き菓子にサンドイッチ、チョコレートやフルーツが載ったお皿が置かれていた。

 食べやすいものを配慮して、用意されたのかな。

 食欲がなかったので、紅茶を飲もうと手を伸ばしたら、カップではなく誰かの手に触れる。

 驚いて顔を上げると、注文をした時のボーイさんだった。

 


「失礼しました。こちらは冷めてしまったので、温かいものと交換いたします。少々お待ちください。」


「はい。お願いします。」



 別に今すぐ飲みたかったことでもないので、しばらく待つ。

 すると、甘酸っぱいような香りがただよってくる。

 この香りは、カモミール?

 さっきも、紅茶にしては色が淡い色だったような気がする。



「カモミールティーでございます。お好みでミルク、蜂蜜をお入れいたします。いかがなさいますか?」


「両方入れてください。」


「かしこまりました。」


 淡い蜂蜜色のカモミールティーが乳白色に、爽やかなみずみずしい香りから、深みのあるまろやかな香りに変わっていく。


「どうぞ」


「ありがとうございます」



 ティーカップを受け取り、口を付ける。

 ミルクに蜂蜜だなんて、小さな子供みたい。



「よろしければ、こちらもいかがですか?」



 そう言って勧められたのは、テーブルの上にあったお菓子だ。



「ええ。」



 返答に困り、微笑んでいれば何とかなるかな?と顔を上げると、ボーイは私の目の前でマカロンを食べていた。



「こちらに移動しましょうか」



 悪戯っぽい笑みを浮かべて私の手を引き、ソファーのあるコーナーへと進む。

 私をソファーに座らせ、カモミールティーやお菓子をテーブルに載せて行く。



「今はね、私たちも休憩時間なんですよ。この時間は誰も来ませんから、時々コッソリと使っているのです。君は授業をさぼって王族専用エリアに隠れている、差し詰め不良生徒ってところでしょうか?」


「あ、そうだ。授業の事、すっかり忘れてた」

  


 立ち上がろうとする私の腕を上から押えるように止めると、ボーイさんは私の横に座った。

 え? 近いよ。

 離れようとしても腕を掴まれているため、離れることもできない。

 振りほどこうとすればできなくもないけれど、そうしにくい雰囲気で。



「今から行っても怒られるだけですよ。折角ですから、ゆっくりして行きましょう」



 微笑みを浮かべたボーイさんは、私の腕を離さなかった。


お読みいただきましてありがとうございます。


ブックマークしてくださった方、そして初評価してくだささった方、ありがとうございます。

もしよろしければ、お気軽に評価してみてください。


10話まで読んでくれて本当にありがとうございました♪

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