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第十章 十人目 死霊使いと死者が語らう死霊の冠

 血の色の空、荒れ地にそびえ立つ魔王の城。

かつては勇者が挑み、戦士が挑み、数々の者が姿を消した。

そこに今度は一人の死霊使いの男がたどり着いた。

頬は痩せこけ、顔色の悪い男だった。


 死霊使いとは、魔法により死者の残留思念を使役する能力を持つ。

生き物が死ぬとその場に幾らかの間、思念が残留する。

その思念を探知し、生者に干渉する能力を付与し戦わせる。それが死霊使い。

残留思念の内容や戦闘での強さ、死んだ場所からどれだけ離れて動けるかは、

死んだものの残留思念の思いの強さと、それを増幅する死霊使いの腕前に依る。

使役する死者の残留思念とは、下級なものなら虫などであったり、

上級な死霊使いには、人間の死者の残留思念を使役できる者もいるという。

使役する死霊によって、死霊使いは前衛にも後衛にもなりえる。

今、魔王の城に挑もうとしている死霊使いの男の腕前は、

人間の残留思念を探知したり使役するのは難しいが、

それ以外なら高度な魔物の残留思念でも使役できる程度、

十分に上級の死霊使いと言えた。


 その死霊使いの男が魔王の城に近付くと、

辺りから岩の魔物や骸骨の魔物が姿を現し立ちはだかった。

対応して死霊使いは短い魔法を唱え、辺りに使役できる死霊を探す。

近くに重くて濃い死霊の気配を感じる。

が、これはおそらく人間の死霊。使役するには濃すぎる。

やや離れたところに、小ぶりな死霊の気配が複数ある。

これはきっと鳥か何かの動物の死霊であろう。

「丁度いい。あれを使おう。

 死霊たちよ、我に従い、我に仇なすものを排除し給え!」

死霊使いが杖を向け魔法を唱える。

すると、宙にザワザワとモヤのようなものが集まったかと思うと、

モヤの塊が急速に飛び回り、魔物たちに体当たりを食らわせた。

モヤが飛び回るその様は、鳥が獲物を目掛けて急降下するよう。

魔物たちは虚を突かれ、体を激しくぶつけられ砕けていった。

モヤの鳥たちが飛び回るのを止めた頃には、

死霊使いの邪魔をする魔物はいなくなっていた。

「死霊たちよ。助力に感謝する。安らかに眠るがいい。」

死霊使いは魔法を唱え、使役していた死霊たちを解き放った。

解き放たれた死霊のいくらかは、この世への未練を果たし消えていった。

そうしてその死霊使いは、無事に魔王の城への門を潜ることができた。


 魔王の城の内部は、捻くれた骨のようだった。

壁も床も柱までもが捻れてしまっている。

常人であれば見ているだけで不安になるような様相。

しかしその死霊使いは慌てることはない。

普段から死霊などというこの世ならざるものを相手にしているのだ。

骨だの死骸などは見飽きるほど目にしている。

その死霊使いは臆することなく、魔王の城の内部を進んだ。

すると、奥からガチャガチャとやかましい気配が近付いてきた。

見ると骸骨の魔物や鎧の魔物たちが、侵入者を排除しようとやってきていた。

死霊使いの男は青白い顔色のまま、無表情に反応した。

「早速、魔物のお出迎えか。

 この辺りに使役できる死霊がいるとよいのだが・・・。」

その死霊使いは魔法を唱え、死霊の探知を行った。

すると、辺りにはうじゃうじゃと有象無象の死霊の気配が感じられた。

動物や魔物、果ては人間に至るまで、

使役する死霊探しには苦労することはなさそうだった。

「流石は魔王の城と言ったところか。

 死霊たちよ。我に害意を持つものたちを打ち倒し給え。」

死霊使いが魔法を唱えると、魔王の城の内部のあちこちにモヤが溜まり始めた。

モヤは獣であったり、あるいは骸骨の魔物であったり、様々な形になった。

そうして集められた死霊たちは、床を踏みしめ、

向かってくる魔物たちに真っ向から立ち向かった。

骸骨の魔物には、骸骨の魔物の死霊が、

鎧の魔物には、鎧の魔物の死霊が、刃を交わす。

その間を縫って、小さな獣の死霊が噛みついたり引っ掻いたりしている。

お互いに同種の魔物たちの戦いはほぼ互角。

獣の死霊がその均衡を崩すこともあるが、微々たるもの。

そんな時には、死霊使い本人の戦闘能力が物を言う。

死霊に追加で力を与える魔法には多大な負担を必要とする。

それが有効な場合もあるが、そうでない場合もある。例えば今。

剣を交わらせて力比べをしている魔物と魔物の死霊。

そこに死霊使いが加勢し、杖で力いっぱいの一撃を加えると、

戦況は一気に魔物の死霊に有利になる。

これが、死霊使いが前衛にもなりうる理由だった。

そうしてその死霊使いは、呼び出した死霊と魔物を戦わせ、

死霊が不利、あるいは戦況が膠着しているところに割って入って、

全体の戦いを有利に進めていった。

ガコーン!

と、死霊使いの重い杖が骸骨の魔物を砕いたところで、

辺りに動く魔物の姿はなくなっていた。

死霊使いは肩で息を一つ、それから使役していた死霊たちに祈りを捧げた。

「死霊たちよ。我の願いを聞き届けてくれて感謝する。

 もう十分だ。我の使役の戒めを解く。

 これであの世へ旅立てるものがいるとよいのだが。」

すると死霊たちは嬉しそうにくるくると回ると、モヤが見えなくなった。

そうして死霊使いは、魔王の城の内部を進んでいった。


 その死霊使いが魔王の城の内部を進むと、

やがて、目の前に三叉に分かれた通路が現れた。

正面と左右に分かれた通路は、捻くれていて先が見通せない。

こんな時にも死霊は役立つ。

死霊使いは辺りに適当な獣の死霊を見つけると、それを使役し、

それぞれの通路の先に様子を調べに行かせるのだった。

待つことしばらく。

戻ってきた死霊たちによると、三叉のどの通路にも、

魔物たちの集団パーティーが待ち伏せしているらしい。

死霊たちの居場所から離れすぎるため、

魔物の種類などまでは調べることができなかった。

だが、どうやら真ん中の通路が最も魔物の数が多いようだ。

「なるほど。であれば、真ん中を選ぶのがよさそうだ。」

その死霊使いが真ん中の通路を選んだのは、

そこが最も重要そうだから、というだけではない。

魔物がたくさんいるということは、そこで戦闘が多数行われた証。

死霊使いにとっては使役する死霊が多いということでもある。

激戦地は死霊使いにとっては地の利が期待できる場所ともいえる。

もっとも、自分が死霊の仲間入りする危険もあるわけだが。

ともかく腕に自信のあるその死霊使いは、真ん中の通路を進んでいった。


 三叉の通路の真ん中を進むと、

その先には事前の情報通りに魔物たちの集団がいた。

骸骨の魔物、鎧の魔物、それに法衣を着た魔法使いの魔物も確認できる。

先程の数に物を言わせた混戦とは違う、集団を意識した編成だった。

魔物に見つからないように、そっと死霊探知の魔法を使ってみる。

死霊の数は多いのだが、戦闘に使えそうな使役できる死霊は多くなかった。

せいぜい、待ち伏せしている魔物たちと同数程度。能力は不明。

であればいつも通り、死霊たちと協力して戦うまで。

死霊使いは魔法を唱えた。

「死霊たちよ。我の前に立ち塞がる者たちを打ち払い給え。」

すると辺りにモヤが溜まって鎧の魔物の姿になったり、

砕けた骸骨にモヤが乗り移って寄り集まり動き始めた。

集まったモヤの魔物たちは武器を構え、

待ち伏せしている魔物の集団に襲いかかった。

最初、待ち伏せしていた魔物たちは、

相手が死霊使いに使役された魔物だと気が付くのに遅れたらしい。

接近され初撃を食らってやっと、敵意を顕わにした。

魔物対魔物の壮絶な打ち合いが展開される。

その間を縫って、獣の死霊が、死霊使いが、加勢していく。

しかし今回の魔物たちは数だけでなく腕前も上のようで、

一対一では死霊が不利に陥っていた。

このままでは一気に全滅する危険もある。

だからその死霊使いは、戦い方を変えた。

固い鎧の魔物の死霊を並べて通路を塞ぐような盾にする。

もちろん、動きの鈍い鎧の魔物は速さで押されればすぐに不利になる。

しかし、その持ち前の頑丈さで持ちこたえてる間に、

他の骸骨の魔物などの死霊を集めて一体の魔物を集中攻撃していく。

すると、盾として使い捨てられた鎧の魔物の死霊たちは倒れ、

その間に少数の魔物を倒すことになる。

倒した相手の数では不利になる結果。

しかし死霊使いには数を増やすすべがある。

死霊使いはすぐに魔法の詠唱に入った。

「死霊たちよ。我に仇なすものたちを打ち払い給え!」

すると、今倒したばかりの魔物たちが、

モヤに乗り移られてのそのそと動き始めた。

こうして減った死霊は、より強い死霊となって補充された。

これで数は互角、質も徐々に互角になっていき、

幾度か繰り返す頃には、戦況は完全に死霊使いに有利になっていた。

動く最後の魔物を打ち倒し、死霊たちは戦いを止めた。

死霊使いは青白い顔で死霊たちに頭を垂れた。

「死霊たちよ、感謝する。

 お前たちのおかげで、戦いを終わらせることができた。

 我の使役の戒めを解く。

 あの世へ旅立ちたいものはそうするがいい。」

するとモヤが薄くなっていき、幾らかのモヤは何処かへ消えていった。

そうしてその死霊使いは、

倒したばかりの魔物の集団を死霊として使役することで、

魔物の集団を打ち倒したのだった。


 三叉の通路の真ん中の先には、大きくて豪華な扉があった。

今まで見た風景とは明らかに違う、中には大事なものがあるのを感じさせる。

そしてその扉の前には、一体の魔物が立っていた。

その魔物は法衣を纏っていて、詳しい姿はわからない。

だが鎧を着込んでいたり、大きな武器を持っているようには見えない。

その死霊使いは、魔物正体にすぐに気がついた。

しかし、一歩遅かった。

虚を突いた一瞬に、その魔物は魔法を詠唱し始めた。

すると、周囲にモヤが集まり始め、

それらは骸骨の魔物や鎧の魔物、あるいは獣などに姿を変えていった。

その魔物は死霊使いだったのだ。

それに気がついた時には、その死霊使いは一歩遅れてしまった。

同じ場所に死霊使いが複数いる場合、使役する死霊の取り合いになる。

使役できる死霊が同程度ならなおさらのこと。

その死霊使いは使役する死霊の取り合い競争で出遅れてしまった。

相手はたった一人の魔物に見えて、その実、

たくさんの死霊を従える集団として待ち伏せしていたのだった。

その死霊使いも急いで死霊を使役し、すぐに死霊たちの合戦が始まった。

だが高位の死霊は先に呼び出されてしまったので、

数でも質でもその死霊使いは劣勢、自分自身が加勢してもなお押されていた。

死霊を倒されてはまた呼び出して使役する。

その繰り返しで凌ぐのだが、しかしそれはその死霊使いを大きく消耗させた。

その死霊使いが肩で息をするようになった頃には、

戦況は魔物側が有利に大きく傾いていた。

周囲では魔物の死霊同士が刃を交わす中、

その死霊使いは死霊使いの魔物に追い詰められていた。

骸骨の魔物の斬撃を杖でかわす。

鎧の魔物の打撃を転がってかわす。

するとそれを待っていたように、死霊使いの魔物が飛びつき、

その死霊使いは馬乗りにされてしまった。

苦し紛れに振り回す杖は防がれ、絶体絶命。

短剣を振りかぶった死霊使いの魔物。

その背景には、高い天井から吊るされた照明が見えていた。

ここまでか。そう覚悟したその死霊使いが、カッと目を見開いた。

杖を上に突き出して叫ぶ。

「死霊よ、我に害をなすこいつを貫け!」

叫び声にしかし応えるものはいない。

周囲の死霊は粗方、どちらかに使役されているのだから。

ただの苦し紛れ。

死霊使いの魔物はそう判断し、ニヤリと笑って短剣を振り下ろす。

振り下ろされた短剣は床に突き刺さり血しぶきが上がった。

頭に短剣を刺された死霊使いは生気を失い、床に倒れ込んだ。

死霊使いの魔物が。

その死霊使いの方はというと、振り下ろされた短剣は、

首をよじってギリギリのところでかわしていた。

では死霊使いの魔物を射抜いた短剣はどこからきたのかだろう?

その答えは頭上にあった。

頭上高くにぶら下がっている大きな照明、

そこには盗賊か何かの骸骨が引っかかっていた。それを使ったのだった。

その死霊使いほどの腕でも、人の死霊を使役するのは難しい。

しかし完全に不可能ではない。

ほんの僅か、例えば握っていた短剣を離すくらいのことならできる。

その短剣が自分の頭上に落ちてくる危険、あるいは可能性にかけた。

その結果だった。

使役する主を失って、周囲の死霊たちは抜け殻となって散っていった。

「・・・いかんな。これでは死霊使いではなく、賭博師だ。

 いずれにせよ、お前たちのお陰で命拾いをした。感謝する。

 あの世へ行きたいものは行けるとよいのだが。

 死霊たちよ、我の使役の戒めを解く。さらばだ。」

すると残っていた死霊たちも、

あるものは解けて消え、あるものは辺りに散っていった。

その死霊使いは立ち上がると、汚れた法衣を払い、

大きくて豪華な扉の中に入っていった。


 大きくて豪華な扉の中には、金銀財宝が詰め込まれていた。

床から天井まで、輝く宝石や豪華な衣装、金貨などが積まれている。

その死霊使いは青白い顔色のままで財宝を眺めていた。

「ふん、ここは宝物庫か。

 どうせならば墓場であればよかったものを。」

その死霊使いは魔王を討伐するために、この魔王の城にきた。

そうでなくとも、金銀財宝の類に興味はない。

所狭しと並べられた財宝の間を、邪魔そうにすり抜けていく。

すると、ある台座に飾られた冠を見て、足を止めた。

「・・・なんと、あれは死霊の冠ではないか。」

死霊の冠。

それは、死霊の姿を目で見て、声を耳で聞けるようになる、魔法の冠。

死霊使いには元々その才も探知魔法もあるものだが、それを大幅に増強する。

死霊の冠を被れば、ただの人でも死霊が見えるようになる。

死霊の冠を被れば、死霊使いには死霊の声も聞こえるようになる。

死霊の声が聞けるようになれば、死霊と複雑な意思疎通もできるようになり、

死霊をより使役しやすくなる。

使役する死霊に複雑な言葉で指示を出し、集団として編成することもできる。

それこそ交渉次第では、人間の死霊も使役できるかもしれない。

そんな死霊使いにとっての至宝、それが死霊の冠だった。

もちろん、その死霊使いにも憧れの品。

先程、人間の死霊を一部なりとも使役できたが、

もしもこの死霊の冠があれば、そもそも頭上にいることが先にわかっただろう。

そうであれば、話は最初から違っていた。

その死霊使いは、青白い顔を若干高揚させて、死霊の冠を手に取った。

頭に被せてみる。

すると途端に、宝物庫の宙を飛び回る、

今までは見えなかった微かな死霊たちの姿が見えるようになった。

死霊たちは、あるものは楽しそうに、あるものは恨めしそうに声を上げていた。

「なんと、こんな宝物庫にも、これだけの死霊たちがいたとは。

 まだ死霊探知の魔法も使っていないのに。

 この死霊の冠がなければ、私にも気が付かなかった。

 死霊の冠とは、ここまでに強力なものだったのか。

 これは是非とも、魔王の討伐に役立てよう。」

そうしてその死霊使いは、宝物庫を抜けようとして、ギクリと足を止めた。

奥に誰かいる。一人ではない。何人もの人間がいる。

どうして今まで気が付かなかったのだろう?

そうだ、死霊の冠だ。

そうしてその死霊使いは、奥にいるのが人間の死霊たちだと気がついた。

それは、宝物庫を埋め尽くすほどの数の人間の死霊たち。

老いも若きも男も女も、様々な人間の死霊たちが、こちらを向いている。

誰もが恐ろしい形相を浮かべて、こう言っている。

「こっちにくるな・・・!」

「この先に進んではならない・・・!」

「ここから先に行けば、お前は不幸になる。」

「不幸になるのはお前だけではない。とにかく引き返せ・・・!」

たくさんの人間の死霊たちは、

その死霊使いがこの先に進むことを拒んでいる。

この宝物庫の先には何があるのだろう?

魔王の玉座があって、戦いに散った生霊たちだろうか。

「それにしてはおかしい。

 ただの女子供が魔王の城にたどり着けるわけがない。

 ではこの人間の死霊たちはどこからきたんだ?」

考えて答えが出ることではない。

どうせ死霊の言葉、無視することもできる。

死霊の冠を外してしまえば、見ることも聞くこともなくなるだろう。

そうすれば気にもならなくなる。

しかしその死霊使いにはそれができない。

なぜなら、他ならぬ死霊使いだから。

死霊使いにとって、死霊は生霊にも等しい。

生き物も魔物も死んで終わりではない。死んだ後がある。

死霊使いとは、死霊と助け助けられするものだから。

そのことを十分に知っているから。

だから、死霊を粗末にはできない。

死んでもなお意志として残り続けるには、相当な執着が必要になる。

だから死霊の言葉は絶対。

その死霊使いは唇を噛み締めた。

魔王の討伐か、死霊の言葉か。

どちらを取るべきか。

・・・選べない。

だから、その死霊使いは、どちらも選ぶことにした。

「・・・お前たちに何があったんだ?私に話してみるがいい。」

そうしてその死霊使いは、人間の死霊たちと話をすることにした。


 それから、その死霊使いの魔王の城へ通う日々が始まった。

死霊の冠を使い、魔王の城の宝物庫で、人間の死霊たちと話をする。

この世への執着を聞く。主張を聞く。願望を聞く。

魔王の城の宝物庫で出会った人間の死霊、一人一人全員と。

そうして必要になれば、帰還魔法で王都へ帰る。

準備ができれば、王都からまた魔王の城へ行く。

そんな日々は長く長く続き、

やがて魔王の討伐という目的も忘れ去られていった。



 それからしばらくの後。

その死霊使いの魔王の城へ通う日々はまだ続いている。

人間の死霊、残留思念たちの話を聞く生活。

そうしてわかったのは、思いもよらないことだった。

安易に人には言えない話。

ただ一つ言えるのは、死霊たちの警告は正しいかもしれない。

魔王の城の宝物庫、その先に進んではならない。

不幸になるのは自分だけではない。

それを詳細に話すのは控えよう。今はその時期ではない。

そうしてその死霊使いの役目は、死霊の使役から供養へと変わった。

今はただ、死霊を使役していたせめてものお礼に、その死霊使いは、

魔王の城にいる死霊たちの供養をする日々を続けるのだった。



終わり。


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