8. 解
夜久昴から音信不通の原因と今後の動向についてメッセージを受け取った柊たちは、ひとまず胸をなでおろした。同時に未だ余談を許さない状況におかれていることを危惧した。
この間、凪は昼埜藍とのコンタクトを試み、昼埜星の誕生日を確認することに成功した。柊の予想通り、彼女は6月11日生まれであることが判明した。
夏の終わりに戦略会議は『暗号解読会議』と名を変え、仮説の構築に注力した。
キリスト教のメタファーに拘泥すると出口は遠のき、数字的な遊びに興じれば概念としての意味を失う。あと少しで手が届く、希望の光が差したかと思えばプツリと途切れ、そして暗闇に放り出される。そんな無限ループの日々を過ごしていた柊たちであったが、遂にそれを脱するひとつの仮説が、大空光の解読によって誕生した。それはわずかな点を丹念に結びつけ、収束させた末に姿を現した儚く脆い線ではあったが、紛れもなく1本に繋がっていた。
10月28日、光はヤドメクラウドにその仮説をアップロードした。
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皆さん、ごきげんよう。大空光です。
本日は真面目モードで書きます。
まず始めに、私がこの仮説に辿り着くことができたのは、暗号解読会議において皆さんと研鑽を積んできた結果です。感謝です。
私が解読できたと思えるのは木佐貫さんの数字遊びに関する部分だけです。彼の思想、哲学的な意図は分かりませんが、数字に対する諧謔心はとてもアイロニカルに感じました。キリスト教のメタファーを散りばめていますが、彼の心は日本にあると感じます。
それでは私が導き出した解について説明します。
まず、7人とは誰かですが、柊くんの想定通り11日が誕生日の私たちです。柊くん、凪さん、夜久さん、春さん、一波さん、私、そして霧靄さんです。
そして12使徒ですが、この7人に木佐貫さん、昼埜さん、朝来野さんを追加します。これで10人です。しかし、霧靄さんは実体としてもうひとりいます。ここではそれもカウントすると考えると合計11人になります。
11という数字はこの命題にとって、とても重要な意味を持つと考えます。
この数字自体にキリスト教のメタファーはありませんが、11人で12使徒を暗示させる、という意味では非常に重要です。
順を追って説明します。ここからは完全に数字遊びです。
まず誕生月の計算をします。なお、ここでの霧靄さんは独りと考えます。先の10人の誕生月の和は『56(1+2+3+3+4+5+6+9+11+12)』となります。7月、8月、10月の誕生日の方はいませんが、その和は『25(7+8+10)』です。皆さんの誕生月の和から存在しない月の和を引いてみると『31(56-25)』となります。
数学が好きな方は『素数』の神秘性に惹かれます。
11も31も素数です。そしてこの31は11番目の素数です。凄い相関関係です。
そして運命の日でもある今年、シンギュラリティ宣言が出される予定の2101年、この2101という数字を素因数分解すると11x191です。もう鳥肌モノです。
すみません、所々感情的になってしまいます。(*′•ω•`*;)
さて、この191という数字はなんでしょうか。素数であるのはもちろんですが並べ変えれば911で木佐貫さんの誕生日です。さらに数字遊びを進めると、9+1+1は11です。そして9-1-1は7となります。
何という符合の連続でしょうか。美しすぎます。(´ºωº`)
さて、それでは選ばれし11人がどうしたら12使徒を意味することになるのか、といいますと恐らくはイスカリオテのユダを除外した数字であると考えます。裏切者を排除した11人です。
数字遊びでいえば11の約数の和は12、といったところでしょうか。
以上が私の仮説です。
この7人ないし8人で霊峰へ向かえば、そこに木佐貫さんとお友達ふたりがいるはずですので『7人で11人の12使徒』が完成します。
この仮説は皆さんがこの3年間で集めた情報を私が整理し、証明したに過ぎません。一つひとつの情報は真実であり、それらを結び付けただけです。
この証明が正解なのかは分かりませんが、いい線いっていると思います!
ではでは堅苦しくなってしまいましたが、これも大空光の一面だと思っていただければ幸いです。(*•ω•*)
2101.10.28
大空光
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