憐れみの光 散る
「───ハァ……ハァ……ハァ……
決着……せめて、貴……様……だけは……ッ!
貴様だけはッ……殺し……て、や……る!!」
心臓を貫かれても尚、神父は立ち上がる
しかし、どのみちこの男は死んでいくだろう
「……もう無駄なんだよ、お前のやることは何もかも……」
「黙れ……お前は……殺……殺さねば……なら……ぬ!」
過度の負担によって吸血鬼化が解け、もうこの神父は人間に戻っているはずだった
しかし、まだ彼は倒れない
ただひたすら、純粋なる殺意を実行するためだけに立っている
「人は……貴様のせいだ……貴様が邪魔をしなければ……
神と人は……契約で……繋がれていたのだ……!」
「あの時……アタシに殺意を抱かせた時点で……てめーの計画は終わってたんだよウスノロ
そして……てめーはアタシを殺すことなんて出来ねえ」
「……愚かな……選択だっ……た……」
神父は朽ち果ててゆく
長き時を生きてきた肉体が崩れ
醜き悪魔の魂もろとも消し去ろうとする
「永……遠を、生きたッ、その末路が……これ、か……ッ!」
惨めな最期───
信仰に背き、人の命を喰らい、最後は灰となって消える
もはや吸血鬼ですらない彼だが、人間としても死ねない
それこそがこの神父の運命なのだ
「……まだやるつもりみてーだな……
既に吸血鬼でもないてめーを殺すのは……楽なことだぜ
根性見せてみろ……全力で……殺してやるからよォ……」
キャシィはナイフを構える
たくさんの人間の血を吸ってきたナイフ
神父も例外ではなく、有象無象の死者の中に埋もれていくのだ
ホラー映画のゾンビのように呻きながら這いずる神父
「てめーがどれだけ神に執着してようが関係ねえ
一切の躊躇もなくてめーを叩き斬ってやる
神だろうと……何だろうと……アタシは必ず殺してやる
アタシの分まで……神に贖罪でもしておくんだな、クソ野郎 」
立ち上がる力もない神父の、その頭を突き刺す
「ガッ……ブゴガァァァ───ッ」
刺さったナイフを更に脚で踏み、貫通させる
そして、殺人鬼にとっては慣れた感触と共に神父は完全なる『死』を迎えた
灰となって風に消える神父
光の当たらぬ教会で歪んだ信仰を捧げてきた彼の『死』は、とても無様なものであった




