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後 

「ちょっと、待て!話が違う!我らは和議に来たのだ!」

「な、何故じゃ!何故、ワシが処刑なのだ!」



 我と将軍たちが捕縛された・・・護衛騎士を任じたオットーたちが寝返った。



 アレクサンドラごときが我を叱責した。



「恥ずかしいと思わないのですか?ブルブル震えている幼女に責任を押しつけるなんて・・・」


 婚約者時代いつもはか細い声で我に意見をしていたのに・・・


「アレクサンドラ、馬鹿なのか?!こいつはお前らの軍を手こずらせた元凶だぞ。行き違いがあったが、和議を結びまた臣下に戻れば良いだろう。公国を作りたいのなら認めてやる!いや、婚約もまた結んでやる。正妃で良いぞ!」



「まあ、お可哀想、こんなに震えて」

「はにゃ?」


 アレクサンドラがメアリーを抱擁した。

 我の声は無視か?しかし、王太子だ。我を殺すなんてあり得ない。


 何故じゃ。敵じゃないのか?理解に苦しむ。


「お待ち下さい、私は役に立ちますぞ!メアリー姫様の献策を受けて城を改造したのはワシであります」


 将軍、裏切ったのか?


「将軍、無能か有能かを判断するのは私達でございますよ。お立場をお考え下さいませ」


「アレクサンドラ様の仰る通り。無能な味方よりも有能な敵を味方を欲すべき・・・と愚考します。将軍閣下」


「ケビン殿・・・、ワシは役に立つ。無能と言われるのは心外だ!」

「意味が分からぬ!将軍よ。裏切ったな!この場で一番有能なのは我だ!そうだ、アレクサンドラが女王で良い。我は王配に甘んじるぞ」


「民を救う王太子と将軍の志。感銘を受けました。お命を有難く頂戴しますわ」

「やめよーーーー!我は王太子だぞ」

「ヒイ、ワシは役にたつぞ」

「うわ。失禁したよ・・・」





 ☆☆☆メアリー視点。


 お義兄様と将軍の首が飛んだ。

 何だ。何が起きた。

 泣くか?幼女の特権を利用して泣けば事が治まるか?


「グスン、グスン」


「さすが、慈愛のメアリー姫、暴虐王太子と無能将軍にすら涙を流すとは」


 曲解だ。


「怖いからなの~」

「怖さを知る。それが将としての強さであると愚考します」


 また、曲解だ。もう嫌だ。


 ケビンだ。城に何回か使者としてきた奴だ。

 むこうの軍師だったか?狸め。いや、この世界に狸はいたか?


 輝く金髪のイケメン、マンフリートか?私の頭をなでながら。


「他の王族、王子達は何をしている。まるでメアリー姫が王太子のようだ」


 とほざいた。

 皆が賛同する。


「うむ。王家唯一の男子・・・として宣伝するべきだと愚考します」

「全くだ。この公爵がそう言ったとせよ。噂が広まるだろう。いや、これは案外真実なのかもな」

「了解です」



 それから何やかんやあって。

 私は担ぎ上げられた。


 既に城は開城だ。



 当然のごとく、城に残ったリリアは捕らえられていた。何の迷いもなく北の修道院行きだ。

 女だから死罪を免れたのか?お祈りをして過ごすのか?


「え、ゲオハルト殿下?殿下は?」

「貴女に説明する義務はありません。北の修道院に行って下さいな。そこで殿下の冥福を祈るべきと愚考します」

「ヒィ、あそこは、女の墓場!メイドも従者もつれていけないわ!」


 何だ。北の修道院は地獄か・・・・



「自分がオットーであります」

「おお、貴殿の野戦軍手強かったぞ」

「メアリー様が見いだして下さいました」


「私はホッケウルフ公爵だ。貴殿の城壁の修復見事であった」

「おう、ただの大工のガネルだぜ」

「是非、公爵領に来て頂きたい」

「フン、メアリー様次第だね」


「まあ、救護所は娼婦の方々か?」

「そうさ。メアリー様が見いだしてくれたのさ。何か文句あるのかい?公爵令嬢様」

「素晴らしいですわ。武家の子女もこうあるべきですわ」



 何やかんや、敵と味方が仲良く話している。

 これはケンカをしたらマブ達状態か?

 友と書いてライバルと読むのか?


「ニャア!」

「ニケちゃん!」


 ニケちゃんがお膝に乗ってきてくれた。

 なでながらあたしゃ、ここ1年の事を思い出した。








 ☆☆☆回想


 私は転生者だ。どうやら姫として転生したらしい。


 メイドと老執事がついた。部屋はもちろんある。


「メアリー様、お食事ですよ」

「ありがとうなの~」


 上げ膳据え膳だ。

 これは楽だ。一人暮らしのOLだった時、仕事の後の家事は苦労した。

 買った方が安い食事問題にも直面した。

 スーパーで弁当が半額になる時間に行くのも疲れる。


 早く結婚してぇと思ったが主婦になるのか?


 父とは1年に一回、正月で合うくらいだ。他の兄弟姉妹たちとも廊下ですれ違うぐらいだ。

 私の成長記録は老執事がとる。




「メアリー様、言葉の成長が少し遅いですね」

「お友達、お願いなの~」

 同年代の友人がいない。話していないのだ。


「グスン、中々ご学友は難しいですね・・・」


 私のご学友を希望する家門はいないようだ。

 力のない王女、臣下に嫁に行ったら格式の問題がありお金がかかる。

 ご学友になるにもお金がかかる。

 旨みもないからか。


 母は王宮のメイドだった。

 身分が低い母を持つ姫で末っ子。母は出産とともに亡くなった。


 どうせ政略で外国に嫁がされる運命だと私でも分かったよ。

 最低限の教育を受けさせて後は放置だ。



 そんな中、宮中で騒動が起きた。メイドに聞いた。


「メアリー様には関係のないことですわ」

「はいなの~」


 冷たく言い放たれたが耳に入ってくる。


 何でも公爵家のアレクサンドラ様が、ゲオハルト義兄様との婚約を破棄された。

 または、真実の愛の相手、リリア様を正妃に、アレクサンドラ様が側妃で政務担当。とか言われたらしい。


「どうでも良いの~、王家は公爵領を接収するつもりなの」

「はあ?メアリー様、これは真実の愛なのですわ」


 メイドがうっとりしている。身分差のある恋はやはり人気があるのか?

 リリアはどこかの伯爵家の庶子らしい。



 さて、それから宮中に騎士や兵士があふれるようになった。


「城の銀食器を売るぞ!」

「ばか、当の昔にすり替えられているよ」


 お金が足りていないようだ。

 うっすらと分かった。「風と共に去りぬ」の映画を見たが、敗戦する時ってこんな感じだ。


 日本のお婆ちゃんが見たとき。これは大日本帝国が負けたときとそっくりだわ。と感想をもらした逸話がある。


 情報が錯綜するな。と思ったらお義兄様に呼び出された。



「アメリ、レーベの街に慰問に行け」

「メアリーなの~」



 何でも士気の低下が著しく。ゲオハルト殿下を前線に呼ぶ要望が出たらしい。

 お義兄様は当然のごとくいかないわな。



 城に着いたら、ダイル将軍に出むかえられた。

 馬車から降りたら、「チィ」と舌打ちがしそうな雰囲気になった。失望されたのだ。



「ゲオハルト殿下は来られないのですか?メアリー姫は先触れとか」

「絶対に来ないの確定なの~」


 ああ、お義兄様を呼んで接待をしてコネを作ろうとしたか?


 王太子殿下と真実の愛の相手リリア様ようこそ!と書かれた歓迎の垂れ幕があり。動員された花を持った婦人達も不機嫌な顔をしていた。

 何で呼び出すの?と不満が顔に出ている。


 視察をして帰るか。とお気楽に考えていた私がいた。



 救護所を見て驚愕したよ。


 血だらけの兵隊さんが床に寝かされている。


「グスン、グスン・・・」


 汚物が貯まっている。ネズミがいる。


「「「チュー!」」」


 ここは泣くか?泣いてダダをこねるか?



「トイレ、汚いの!」

「井戸を掘るの!」

「猫を飼うの!」

「洗濯物を城壁で干さないの!」




「街を視察するの~」


 街を回る。高級幹部の区域と下級騎士平民の居住区は、まるで天国と地獄のような格差がある。



「あの、お姫様!」


 赤毛の女性に声をかけられた。


「あたいは娼婦のサーラー・・・あたいらにも救護所に入らせてくれるようにビア樽将軍に頼んでくれない」

「ハニャ?」


 事情を聞くと、


 娼婦は下賤だから入れない。将軍に止められている。

 しかし、娼婦達は。


「いたたまれないよ。兵からさ。どうせ死ぬから、金は全部やるよとか言われて・・・グスン」

「泣きながら死ぬ前に童貞を卒業させてくれて有難うと感謝されたよ」


「賤業だから汚いのは平気さ!男の汚物は慣れているのさ」


 兵に思い入れがあるようだ。街が共同体になっているのか?


「メアリーが命じるの。救護所で看護をお願いしますの」

「大丈夫かい?将軍だよ」

「メアリーが上なの~」


 娼婦達は頑張った。だけど、それだけでは足りない。

 将軍にダダをこねて汚物を流す溝を作らせたりした。


 消毒にワインか。

 兵に酒は必要だ。余分なワインはないかな。


 と思ったら城にワインセラーがあった。


「このワインを使うの~」

「姫様、これは将軍と高級騎士のワインでございます」

「いいの~、メアリーが上なの~」


 病人を見る。前世の知識はある。お野菜が極度に足りていない。壊血病か?


 文官に詰め寄った。


「補給品にレモンが欲しいの。欲しいの!欲しいの!」

「しかし、予算が・・・」

「ワインがあるの。これを削るの。高すぎるの!」



 また、増えすぎたネズミ問題は近隣からお猫様を譲ってもらった。


「「「ニャアー!」」」

「お願いするの~」


 スカートの裾に飛びついてあがってくる子がいた。

「ニャン!」

「し、仕方ないの~、メアリーの友にするの~」


 女の子で毛はオレンジと白の二色、ニケちゃんと名付けた。


 さて、城内を回る。


「オラ、危ねえぞ!高所から下りる時、油断するなよ!」

「ヘイ、親方!」


 あ、大工さんだ。石工というのか、城壁を補強している。

 珍しい。ジィとみていた。


「何だ。お嬢ちゃん。遊びではないんだぜ!下がっていろ」

「分かったの。ここまで下がればいいでしゅか?」

「ちょいと、ガネル、この子は王女様だよ!」

「ヒィ、死刑か?それは勘弁だぜ!」


「いいの~、お仕事ご苦労様でしゅ」


 また、遺体置き場も視察した。

 火葬か・・・遺体の右手を切っている作業員がいた。


「何をしているのでしゅか?」

「ヒイ、これは・・」


 右手首を取って報奨金をもらう。味方の兵士の遺体を金のために損壊する?


 これは将軍に命じてやめさせた。

 気分が悪い。悪趣味だ。



 そんなこんなしていたら、将軍は逃げ去った。


「王女殿下もお逃げ下さい」

「いいの~、どうせ補給が途切れると分かっていたの~」


 将軍に命じて作らせた畑、また、鉢植えでお野菜を作らせた。




「指揮を執る者がおりません」

「なら、騎士を集めるの~」


 城の守備兵は総勢2000名か。


 軍学校を出た者を集めて適当に希望者を募った。


「「「私に指揮をお任せ下さい」」」


「では、どんな上官が理想なの?」


 質問をした。


「はい、指揮官たる者、公平で兵を1人1人思いやって、寝る間も惜しんで励む者です」


「なら、君は夜寝ないで頑張れるの~」

「い、いえ・・・」


 理想の上司像、それは未来のお前の姿だ。

 と言いたい。



「私を信頼して下さい!」

「いえ、私を!」

「「「はい、はい、はい」」」


 と手が上がったが1人だけ手を挙げない者がいた。


「手をあげない子、君は自分を信じて欲しくないの~」


「はい、とても自信がありません」

「名前は?」

「オットーであります。平民出身、親は宿屋を経営しております」


「採用なの~」


 私の前世では、俺を信じてくれと言った奴に限って見事にほったらかしだった。

 理由は分からない。そんな奴がOL時代3人いた。あ、恋愛じゃない。仕事での話だ。


「無理です・・・」

「無理だったら代えるから大丈夫なの~」



 これが当たりだった。

 無理をせずに、城の投石機と連携をする戦術を編み出した。


「騎兵が足りませんからないものとして歩兵に交ぜます。謂わば騎兵の戦闘力の歩兵がいる計算になります」

「はい、採用なの~」


「メアリー姫、火矢に備えて水を用意しましょう」

「採用なの~」


「姫様、畑でイモがとれました!」

「良かったの~」


 城を回るといろいろな人が献策をしてくれた。


「王族なのに気さくだ」

「少しも威張らない・・・」

「まるで聖女様のようだ」

「聞いたか?味方の遺体を斬る事を禁止にしたそうだぜ」


 やがて、城に敵軍がやってきた。


「メアリー様、出征する兵士にお言葉を」


 訓示か。苦手なのだよな。


「みなしゃま!帰って来るまでが作戦なの~、生きて帰ってきてくだしゃい」


 一瞬静まった。やらかしたか?もっと勇ましい事を言えば良かったか?



「「「「オオオオオオオーーーーー」」」

「グスン、グスン・・・」

「メアリー様・・・」


「「「ウラー!ウラー!ウラー!」」」



 皆、頑張ってくれているが、この戦いは王国の敗北だ。

 落とし所を考えていた。


「飛び石作戦をやってもらえないかな」


 と思っていたら、王都からお義兄様達がきてしまったのだっけ?




 ・・・・・・・・・・・・・・・



「メアリー様・・」

「まあ、お眠ね・・寝かしてあげましょう」



 それから城は武装は許されたまま正義諸候同盟軍は立ち入り禁止になった。その代わり追撃はしない。

 つまり占領は免れたのだ。その条件はメアリーちゃんが公爵軍に参加することだ。

 可愛いからマスコットにするのか?いや、ゆるキャラか?

 とのんきに構えていた。


 だが、皆は私が女王になると捕らぬ狸の皮算用をしている。




「メアリー姫様、女王になったらこの街に来て下さいね。歓迎しますわ」

「サーラーしゃん。わかったの~、平日に行くの~、みなしゃまの忙しい時は邪魔しないの」

「メアリー姫様らしいわ・・・グスン」


「メアリー姫様、わしが作った積み木です。お納めを」

「わーい、ガネルさん。有難うなの~」


 皆に見送られながらニケちゃんを抱っこして城を出たら。

 何か、騎兵達がいた。数百だろうか?

 オットーだ。


「姫様、有志で親衛隊を作りました。我らは敗軍でないことを諸候に示すべきです」

「はにゃ、みなしゃま、近衛騎士みたいな装いなの~」

「ええ、城の皆が制服、馬具代を募金で出してくれました」

「メアリー様は、このポニーに乗って下さい」

「可愛いの~」

「ヒン!」

「ニャア!」


 数百の騎兵を伴い正義諸候同盟軍の陣営に行ったら。


「ホッケウルフ公爵であります。どうか、メアリー様の王国復興の軍にお加え下さい。愚息マンフリートを将軍に。お世話係に我が娘アレクサンドラをお側において下さい」


 平伏して壮年の偉丈夫な公爵が恭しく言う。

 隣にマンフリート様が膝礼、アレクサンドラ様はカーテシーだ・・・・


 ここは・・・


「許可するの~!」


「「「「ハハハハハハ~!」」」


「民に迷惑をかけたらいけないの~」


 何か威張って言う私がいた。


「王国の腐敗を正す!その旗印は王国唯一の男子、メアリー姫だ!」


 と気がついたらとんでもない事になっていた。

 あたしゃ、公爵軍の神輿になった。軽い神輿だな。


 後にケビンに問い詰めた。


「ケビンしゃん。謀りましたの?」

「フウ、メアリー様、これが一番損害を出さずに王都を占領出来る策ですよ。王族を担いで王国を立て直す。王国唯一の男子、メアリー姫が最適と愚考します」

「ヒドいの~。メアリーは可愛いだけの無能王女なの!」

「私とホッケウルフ家がついておりますが、何故容姿以外は自己評価は低いのですか?と愚考いたします」



 王族唯一の男子?何だ。勇ましい幼女ということか?あたしゃプルプル震えていただけなのに。

 もう、この流れは止められない。


 巨大なドラゴンに乗って空を飛んでいるようだ。

 降りられないぜ。可愛いだけで渡っていけるだろうか?




 年代記では


 この後戦いも起こらずに王都に凱旋。王は退位、その他の王子王女も臣籍降下。歴史にメアリー女王が登場する。齢7歳で即位、辺境伯令息マンフリートと婚姻したアレクサンドラは女公爵になり公爵家の後ろ盾を得て宰相ケビンの体制になった。メアリー女王は王国中興の祖と讃えられる。


 特筆することは、この時代から戦いにも人道ありとの言葉が将官たちの間で広がった。


 甘いと評する者もいるが、擁護する者は必ずメアリー姫のレーベの包囲戦の故事を持ち出したという。

 人道的行いでかえって士気が上がった故事として伝えられている。



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幼女なのに唯一の男子…男の娘?
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