第九十一話 開戦
「皆んな。おはよう」
ある朝、海小冷奈は暗い部屋にいた。
その中で通信機に向け、こう呟く。
「要警戒すべきなのは児戯の勇者と明確の勇者、反物の勇者、執行の勇者。出来るだけ抹殺して欲しいのは、模倣の勇者と特攻の勇者。見かけたら報告して欲しいのは「怪物」と白い子供」
周りには、誰もいない。
一人で椅子に座っていた。
「役員が来たら、私が出る。皆んな作戦通り頑張ってね。じゃあ、進軍開始。「集団転移」」
——
あれから暫く、会議室で話し合ったりなんやかんやし。
朝になった。
今は寮の入り口に、一部の人だけが集まっていた。
【緊急。緊急。最警戒犯罪集団の侵入が確認されました。最警戒犯罪集団の侵入が確認されました。転移システムを作動します。転移システムが作動します】
突如、警告音とこのアナウンスが町中に鳴り響く。
次の瞬間、俺達と勇者連盟のビルにいる人達以外、全員が消えた。
「来ましたよ!皆さん!!士気も高まります!やりましょう!会長の前で!」
一人の少女が周りに向けて、そう叫ぶ。
周りの五人は嬉しそうな顔をしたり、嫌そうな顔をしたり、嫌そうな顔をしたり、それぞれ様々な反応をした。
「はい行きます!正義を執行!!火ごとく!」
「水、のような、海のような、広がり、変える強い心で、」
「激しく!爆裂的!!!風のごとく!!伝染する!!」
「あらー。無垢で育てる地のごとく」
「空のごとく、、はるか広がる、中で、、」
「齎す、、力は、、光の如し、、オレ恥ず、」
それぞれ、ポーズを取る。
最後、後ろの地面が爆発した。
「「「「勇者シスターズ!ここに参上!」」」」
一部、言っていない人もいたが。
何か良い感じに結束できた感じだ。
「では!皆さん!散で!「神速」!」
それぞれ、皆んな「神速」で所定の位置に消えていく。
俺はまだ待機し、一時解放されていくイリス以外の犯罪者達を見送る。
最後、俺も「神速」で街へ出た。
頑張ろう。
——
あるビルから見下ろす。
俺の目線の先には、二人の男性がいた。
「••••ひひ、まだ、殺す、殺したいんだよ、無罪放免、されんだよ、、」
多分反勇者同盟の幹部の人と、さっき解放された魔人族の死刑囚の人である。
死刑囚の人は幹部を殺せれば、無罪放免だと言われているっぽい。
それを利用し、勇者連盟は戦力を増強しているっぽい。
とはいえ、死刑囚は丁度幹部に倒され、地面に寝転がっていた。
完全に絶体絶命だ。
「聞こう!!何故!きさまは無罪放免をされたいのだ!!格上の神に挑んでまで!教えてくれ!!」
幹部の青年は死刑囚を見下ながら、大声で語りかける。
幹部の彼は片目につけた眼帯が特徴的だった。
「、、「大爆破」!!!テメェも弱者にしてぇからだよ!!格下の弱者に負けた!存在価値のない存在に!!!死ねぇぇ!!!」
死刑囚が立ち上がり、幹部の胴体に全力で触れる。
その手が当たった部分が、大爆発を起こした。
幹部の胴体に、風穴が空いた。
これを見、幹部は痛そうな顔になる。
反応はそれだけだった。
死刑囚は目を見開く。
「もう一度!きさまに聞こう!!何故きさまは、無罪放免されたいんだ!教えてくれい!!」
「••••••驚かせて、変える、んだよ、俺が、、格上、殺して、、全員、殺して、、弱者と見下した、魔王国の、故郷の奴らを、、、、だが、もう、、」
「理解した!!きさまは諦めたのだな!!」
「ぐ、ぐおおお、お、」
幹部は、棒立ちの死刑囚の両肩を掴む。
そして、左右へ引っ張り出した。
「人間!!諦めなければ願いは叶う!!!諦めたきさまの今世に!将来性など皆無!!来世に期待!!ぐちゃあああ!!」
「ぎゃぁぁ、、」
死刑囚は、真っ二つにされた。
大量の血が飛び散る。
幹部はこれを全身で浴びた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!カルロレディク三千くそ殺すぞぉぉぉぉ!!」
よし。
これで、何となく強さは分かった。
曖昧とは言え情報は教えられたが、自分の目でも一応確認をしておきたかったのだ。
「人参人参人参しりしり不味いぐぇぇぇ」
まあ、しれっと死刑囚の人は見捨てたが。
死刑囚の人だし、俺とは関係ないしセーフ。
何故か幹部は体を再生させながら、発狂しているが。
待て。
こういうのが駄目なのだ。
だが、見捨てないと俺が殺されるリスクが上がってしまう。
••••••。
まあ!とりあえず!!今は勇者連盟の手伝いをしよう!!
反勇者同盟に姉ちゃんやホワイトが害されるリスクを減らす!!
そのために、頑張ろう。
ビルの上から、飛び降りる。
地面に着地した。
「こんにちは。あなたは反勇者同盟の幹部の方で合ってますかね?」
歩いて行き、自ら話しかける。
間違っていたら、相当やばいし。
すぐ、幹部の人は頷いた。
「神の名は!!現勇者同盟幹部!!現呼び名は「ユートピア」!人間諦めなければ何でも出来る教の教祖にして神!何用か!!!きさまは!!最近話題の!!」
「「身代わりの術」「花火」」
自己紹介をしてもらえたので、不意を打つ。
俺は「透明」と「神速」で一気に近づき。
顎に特殊なアッパーを喰らわした。
幹部の人の頭は、空中へ飛んでいく。
すぐ、爆散した。
「よし。一応全部消しておこう。『壊笏』」
これで普通なら即死だろう。
一応残りの胴体と、持っていた通信機を黒い棒で消す。
再生能力があるとは情報で聞いていたし、さっき何か再生もしていた。
「神は!!人間諦めなければ何でも出来る教!神にして教祖!!諦めず!!勇者は殺す!!味方する奴も決して諦めずに殺す!!そして指し示すのだ!!全員んん!!」
虚無から、魔力と肉が溢れ出す。
すぐに人間の形を成していく。
あっという間に、復活した。
「「身代わりの術」「花火」」
「「人間諦めなければ強い」!!」
その前にまた「花火」を打つ。
幹部の顎に、アッパーを喰らわせた。
なのに、今度は耐えられる。
普通に顎で止められた。
「ぐぎぎぎ!!神は!!強靭な顎を手に入れた!!もう効かんぞ!!ぐおおお!!」
幹部の人は叫ぶ。
すぐ、パンチが飛んできた。
何とか手でガードする。
「ぐ、『凄い火』」
ガードごとパンチを受け飛ばされながら、大きい炎を放つ。
時間稼ぎだ。
けれど、幹部の人はその炎の中も躊躇なく突き進む。
肉の焼ける音も聞こえるのに。
「神は既に火に耐性がある!!勇者よ!!この世の教徒たちを前に!!悔いて死ね!!」
幹部の人はそのまま拳を振りかぶる。
殴られる直前で俺は着地し、魔力を変えた。
『融合』を解き、刀も出す。
少し遅れたが、拳に合わせ俺は刀を振るう。
刀の真ん中の場所に、拳が当たる計算だ。
この刀は抵抗なく拳を真っ二つに切り、ついでに幹部の首も飛ばす。
そうして、彼の胴体だけ俺に当たり、最後には倒れ込む。
遅れて、頭が地面に落ちていく。
「滅べぇぇぇ!!勇者!!!神の怒りのパンチでぇぇ!!」
「!?、!?」
頭から肉が溢れ、胴体が再生する。
直後、無傷の幹部が着地した。
彼はまた拳で殴りかかってくる。
俺はそれに、刀を合わせた。
拳がまた切れていく。
だが、その切れていく速度はさっきよりも圧倒的に遅かった。
「滅べ!!!!滅べ!!勇者共が!!!」
「「勇気」、ぐ、」
もう片方の手で、腹を殴られる。
「勇気」でガードしても、相当響いた。
強すぎて、また俺は普通に転がっていく。
「何の能力なのかな、」
幹部の人は、明らかに最初より強くなっていた。
身体能力も元々四天王の人ぐらいだったが、復活するたび更に上がってもいる。
追加で謎の耐性の付与。
データベースには「超再生?」としか書かれていなかったのに。
「聞きたいか!!恐れ慄け!!勇者よ!!神が神より得られし魔法は!!人間諦めなければ何でもできる魔法!!覚悟を決め!!死なぬ限り!!意思の力で無限に強くなる!!」
幹部の人は答えてくれる。
しかし、謎の再生の説明にはなっていなかった。
「そして!!!神の能力は「不屈」!!諦めぬ限り!!死なぬ!!!そう!!勇者を滅ぼすまでは!!!この世の信者達に指し示すのだ!!」
幹部の人は突撃してくる。
また魔法で炎を出しても、今度は止まらない。
けれど、この人と戦うのが俺でよかった。
彼が言っている事が本当なら、多分他の人だとやばかっただろう。
だからこそ、色々試して。
倒そう。