第九十二話 裏話1
「••••、ついに、始まったわね、、どこよ、、」
(ハハハ!!ようやく!!復讐の機会が訪れたな!!最初で最後かもしんねぇ!全部壊してやれよ!ヒヒヒ!)
イリカは一人でワープして来る。
そこは、誰もいない高層ビル街だった。
「••••••なのに、師匠、、月下もいる、、、、」
(ヒヒヒ!もし会ったら!ついでに殴って裏切りの代償払わせてやろうぜ!ハハハ!)
イリカは、リーダーから目立つよう指示されている。
そしてこの際に勇者と遭遇したら、戦って欲しいとも言われたのだ。
だから、とりあえず道路脇の棒を蹴ってみる。
折れた鉄の棒は、道を転がっていった。
「••••意外とさっぱりするわね、、」
突如、銃声が響く。
イリカは見てから首を少し曲げ、弾を避けた。
「、執行の勇者ね、要注意の、」
真正面の道路に、少女が現れていた。
両手に銃を持った、16歳ぐらいの少女だ。
(マジか!いきなり来たな!!ハハハ!要注意らしいぜ!?おい!!復讐を前に死ぬなよ!?)
少女は二頭拳銃をクルクルと回す。
銃の扱いで手慣れた様子だった。
「オルキデ•イリカ。16歳。勇者が関係しなければ、性格も正義感が強く、至って善良。復讐を目指すに足る理由あり。一方、会長とも仲がよく、最近は好きと言い合うまでの仲となる」
ブツブツと少女は呟く。
二頭拳銃はずっとクルクルと回されていた。
「けれど、反勇者同盟に加担し、犯罪行為を行う。許しがたい重罪。その罪の合計値、これから行う善行と比べるまでも無く」
少女はイリカの目を見る。
すぐ、片方の銃口をイリカへ向けた。
もう一つの銃は近くのビルを狙っている。
「死刑確定。計算通り、殺害します」
二つの銃声と共に、イリカの方へ弾が飛んでくる。
それを首を傾け避けるイリカ。
「••••そっちが、その気なら!行くわよ!勇者!」
覚悟を決め、イリカは地面を踏み込む。
しかし、ドンピシャのタイミングで、足元に弾が落ちていた。
急ブレーキを体幹で無理矢理かけ、止まる。
「、、危ないわね、これ、」
「私の能力は「過去」。眼を通じて対象の過去を見通し、万物の過程を知る。予算の計測から刑の執行にまで使える便利な力。武術の真髄は封じる」
少女はもう片方の銃で、ビルを乱射する
これらの弾がビルに当たり、そのまま横からイリカの頭へ向かった。
一方、片方の銃は直接イリカの急所を狙う。
こちらも乱射され始めた。
「だったら!これで、!」
近くの一帯に、銃弾が降り注ぐ。
イリカは体を反転させ、片手で立った。
そうして、銃弾を避ける。
この間に、ポケットから鎖を出した。
「ボコってやるわ!!勇者!!」
イリカは片手で飛び上がり、また反転した。
同時に回した鎖で、邪魔な弾はどこかへやった。
「は!!」
立ち上がったイリカは少女に一気に近づく。
その間に、高速で吹っ飛んで来た大量の人たちがいた。
「来るのが遅い。けれど、タイミングは完璧。他も早くして。ゾンビ達」
それは、茶色い目になった死刑囚の人達だ。
全ての頭には、先ほど何かで撲殺されたかのような血痕がついていた。
彼らは数人でイリカの前進を、全身で受ける。
全員、彼方へ吹き飛んでいった。
(ハハハ!おい!この能力!大当たりじゃねぇか!?茶色い目になって!この冷たさの!死体!)
「、、「過去」の能力、ではないわね。何よ、」
イリカはつい、止まってしまう。
相当昔に、見覚えがある能力だった。
嫌な記憶でもある。
「能力の持ち主たる彼は臆病。他者を盾にすることを好む。故に、隠れ縄を望んだ。私を倒せば、居場所は教える」
また少女は、イリカへ銃口を向ける。
すると、近くのビルの上から、突如水のブレスが飛んでくる。
「、、分かったわ。絶対に聞き出す、、は」
(ヒヒヒ!不意打ちか!容赦ねぇなこいつ!!)
イリカはスライディングで、水のブレスを避けた。
直後に、狙って撃たれた銃の弾も避けようとする。
「テッテテー!!「位置交換」!実はワタシでした!アナタには死んで貰います!」
「え、え!?」
銃の弾が、先ほどはるかへ飛ばした人間と入れ替わる。
彼女はイリカと衝突しながら、ナイフも振り下ろす。
上からは水のビームも飛んできていた。
この前に、空から来た青白い剣が人間とビームを消し飛ばす。
後から、茶色い目のワカメドラゴンもビルから地上に落ちてきた。
「、間に合った。ニ対一とは。好まんぞ。勇者共」
「00」も着地する。
イリカの横に立った。
「あ、ありがとう、助けてくれて、」
「、、気にする必要はない、、しかし、執行の勇者と、児戯の勇者、か、」
「00」は青白い剣を構えたまま、少女を見る。
少女はまた銃をクルクルと回し始めた。
「反勇者同盟幹部。コードネーム「00」。本名は、サンジュ•マッター。反勇者同盟において、幹部とにて悪行を行う。同情を考慮すべき事柄あり、」
「、、お前は、生かして置けなくなった。は、」
少女に向けて、すぐさま青白い剣を放つ。
周りの建物を巻き込みながら剣は伸び、少女に迫る。
「けれど、これのみで減刑の余地あらず。計算通り、執行します」
魔力で強化した銃弾を、少女は地面に放つ。
この反動で、少女は自ら空中に吹き飛ぶ。
そんな少女の真下を、青白い剣が通過していく。
「彼女の守っても、決して貴女の気は晴れない。決潔く執行されろ」
少女が空中で放つ弾は、「00」の頭を狙う。
無抵抗で、「00」は受けた。
頭が破裂する。
しかし、即座に頭は元に戻る。
「••••行くぞ。我々の代わりに、貴様らの命をもらう」
「00」はまた、青白い剣を振るう。
剣は一気に巨大化し、空中の少女を直接狙う。
一方で少女は地面と剣を同時に撃ち、この反動により、空中で斜めに移動する。
これで、剣を避ける。
「、、ならば、こうだ。串刺しになれ」
そんな青白い剣の一部が変形し、棘になる。
この棘が下から少女に迫った。
少女は下部にある剣に向けて、銃を放つ。
また一拍、浮かび上がった。
「いやっふー!!ぎょえー!!!」
「やる。ナイス。だけど、早くしろ。なにを手間取っているの」
その間に、謎の男性が降ってきていた。
茶色い目をしたこの男性は棘に刺された。
浮かび上がった少女は、男性に着地する。
「喰らいなさい!!勇者!!」
イリカは飛び蹴りを少女に行う。
強烈な勢いで、少女と男性を狙った。
直後、青白い剣が消える。
また現れ、イリカの足を掴んで引っ張る。
「え、?」
こう落ちたイリカの前を、銃弾が通過していく。
剣からの跳弾だった。
イリカは地面に着地する。
「••••彼女は認識した攻撃に対する完全な再生を行う神魔法を使っている。そして、もう片方の彼女は近接戦において基本無敵。話したのが必要だから、早く貴方が連れて来て」
「いやっふー!!解放されたぜー!!殺して逃げてやるぜー!!それはそれとして了解だぜー!!後壊されたやつまた直さないとだぜー!追加でやりたいぜー!」
「キモ。気色悪い遊びしてないで、早くして。ずっと言ってるでしょ」
「、、いやっふー!!」
話している勇者たちを見ながら、イリカは目を見開く。
完全に自分が死に掛けていた。
(ハハハ!なるほどな!!あいつはそこまで詳細に過去が分かるのか!!お前の癖が読まれてんな!!)
「ご、ごめんなさい、先走って、」
「、違う。気にするな。癖を見て、誘導されている。更に、こちらに決定打は無かった」
「00」は諭すようにイリカへ言う。
だが、二人の勇者からは目を離していない。
「だからこそ、ゆっくり削っていこう。私もだが、冷静に。『不快帝王』の時と同じだ」
「、分かってるわ、は!」
すぐイリカは自分の頬を叩き、気合を入れる。
このチャンスを逃すつもりはなかった。
「••••前衛は頼む。邪魔なのは私が片付けておく」
「あちょー!!殺してやるぜー!!これで無罪放免だぜー!!」
穴だらけの男性が、突っ込んでくる。
なのに、穴から血はほとんど出ていなかった。
「分かった!!行くわよ!!」
「00」から作戦を聞いたイリカも走り出し、まず男性を殴る。
遥か彼方へ吹き飛ばした。
「、倒して!!教えてもらうわよ!!児戯の勇者の居場所!!!」
走るイリカの両脇に、変形した青白い壁となった剣が降りてくる。
それは、執行の勇者にまで繋がる一直線の道になった。
さらにビルからの跳弾も防ぐ。
「、早く。死刑執行が遅れる」
「この程度の銃弾!!効かないわよ!!」
真正面の少女から、撃たれる銃弾。
青白い壁から来る跳弾。
全てを避け、鎖で弾きながら迫る。
「一発で決める!!は!!」
イリカは少女に拳を振るう。
直前、剣が壊れる。
外には、何十人もの人が集まってきていた。
全員茶色い目をしている。
「早く。足止めして、威力も軽減して。私にも飛びかかっていいから」
一斉に彼らは少女に飛びかかる。
イリカと少女の間にも、何人もの人が入る。
「この程度!!分かっていれば行けるわ!!」
丸ごと、イリカは止まらず殴った。
纏めてもみくちゃになり、少女達は転がっていく。
この間に「00」はまた青白い剣を出現させていた。
「隙だ、、死んで貰う。勇者、、貴様らの暴虐を聞くのも、これまでだ」
そんな少女たちへ、「00」が超巨大にした剣を振り下ろす。
少女の入った塊に、一気に落ちていった。




