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第八十九話 一旦さようなら





 砂浜の周囲にあった、屋台のところに来た。

 これら屋台は何十個もあり、その全てに多くの人が並んでいる。

 その人の量は、黒田が臨時でアルバイトしていた時の闘技場以上だ。


 「ど、どれも美味しそうね!大空が食べたいの!ある!?」


 「俺はイリカの好きで良いよ。あんまり特にこれってのはないし」


 「、、なにが好きだったかしら、、大空」


 イリカは頭に手を当て、悩み出す。

 俺は本当にいいのに。

 ありがたいけど。

 

 じゃあ、自分で選ぶか。

 これで手間をかけさせるのもあれだ。


 「あれ。何か空いてない?あそこだけ」


 「わ、分からないわ、、思い出して、」


 そう探していると、俺は一箇所だけやけに人がいない所を見つけた。

 この屋台にだけ人が全く並んでいない。

 何かまた、懐かしかった。


 「おーい。イリカ。そんなに悩まなくて良いよ。だったら、あそこに行きたいかな。空いてるし」


 「え、、あれね、、わ、分かったわ!美味しい匂いするわね!」


 あそこに少し行ってみることにした。

 黒田と会えたりしないかな。


  

 二人で屋台へ近づいていく。

 そこでは、コック帽を被った青年が一人でやっていた。

 

 「へい!そこの若者のお客さん達!!ワシ特製!!!ミミズ土丼!!!食べて行かないか!美味しいよ!!」


 青年は近づいてきた俺達を見て、器を差し出す。

 二人で、器を覗き込む。


 中には、米の上に焼かれたミミズと土が敷き詰められていた。


 「、これ、あれね、、キモいわ」


 「キモい、かのう、、最近の若者は、、今時、流行らないかの、、どこでも作れて、美味しいのに、、」


 「このミミズ土丼って何円ですかね?出来るなら食べてみたくて」


 見た目は確かに相当良くないが。

 ミミズ土丼からはかなり良い匂いがして来ている。


 美味しそうではあるかも。

 丁度いいし、食べてみよう。


 「お前は気になるかのう!勿論!無料だ!材料費はゼロ!老若男女!友達も誘って食べてくれい!」


 「だったらありがたく貰いま、」


 「え!?」


 「貰い、貰い、、、ありがたく、」


 俺は器を受け取ろうとした。


 が、イリカが衝撃を受けた顔で、見て来る。

 引いた感じでもある。

 そんな反応が来てしまった。


 「や、やっぱり、辞めておきます。今はそこまでお腹が減っていなくて。今度よければ貰いにきます」


 「、、み、見た目はキモいわ、、」


 「少年。また来て欲しいのう、、だが、もう片方もいつか食べてみての。餓死しかけの時、困らないぞ」


 「あ、あんまりそういう機会はないと思うわ、、」


 


—-



 結局、あの青年から見えない場所にある屋台に並び、焼いた貝?をそれぞれ一種類ずつ買った。

 そして、近くの飲食ゾーンに行き、貝を座って食べようとする。


 「いただきます、あえ、あえ、あらいわ、」


 「いただきます。あれ?こっちも辛い」


 イリカが多分カキを噛み、飲み込む。

 と思ったら、すぐに舌を出す。

 かなり、イリカのも辛そうだ。


 「あらいわ、、口にあわらい、、」


 「だったら交換する?こっちの方が辛くないかも知れないし」


 俺は残りの二つのホタテ?を差し出す。


 すると、イリカは目を見開いた。

 だが、すぐ首を横に振る。

 

 「あ、ありはとう、ほほそら、でも、へいはくかへるきはなくて、、でも、それが大空の口にも合わなかったら!いふでも言って!」


 「、了解。いただきます、辛」


 「わはひも、いただきます、やっはり、あらいわ、、大空も、そう思うよね、、」


 真っ先に、イリカはまたカキを食べる。

 だが、すぐに舌を出した。

 かなり辛そうである。


 一方、俺の推定ホタテも辛かった。

 

 「これって要は食べ物選び方をミスったって事か。俺達」


 「あえ、そうね。からいわ、ミスっちゃったわね」


 舌を出したまま、イリカはそう言う。

 何故か口角が上がり、笑ってもいた。


 「それならあっちも食べてみる?プロテクト市にあったやつに似ているし」


 多分小籠包が売っている屋台を指さす。


 イリカは笑顔で頷く

 俺も少し、口角が上がっていた。


 「そうえ!いひましょうれこれ、あべおわった、ら!」


 「そうだね。だったら最後の一つ食べるわ。辛」


 俺は最後のホタテを口に入れる。

 辛かった。



—-




 最後に、二人で展望台に来た。

 他にも屋台を巡ったり、夕食を取っていたりしていた為、もう夜になっている。


 だから、ここからは綺麗な夜景が見えた。

 真っ暗な地平線の上に、ビルや星などの光が浮かび上がる。

 

 「綺麗、あれも、どれも、この世界、こんな景色もあるのね、」


 「本当にね。こんなに発展しているとは。お。あの光っているのは、飛行機じゃない?」


 「飛行機、初めて見た、流星じゃないのね、、、いや、流星より遅いから、」


 二人で柵に寄りかかり、夜景をみる。

 今日は平日だったが、周りにも観光客の人がまあまあいた。

 彼らは大体、家族かカップルっぽかった。


 「、今日、大空と、見れてよかった、、全部、」


 「そっか。だったら良かったぜ」


 「、また見に来たいわ、、全部」


 「全然良いよ。また来よう」


 こう言うと、イリカは目を閉じた。

 けれど、暫くし開ける。

 

 「、大空、、」


 「?。どうかした?」


 「••••もし、全部、終わって、、義理もはたして、、私が生きてたら••••」


 覚悟を決めた感じで、イリカは聞いてくる。

 深刻そうだった。


 「••••ホワイトとの旅に、、私も、、ついて行って、いいかしら••••なんでもするから、」


 もしや、イリカの復讐も終わりそうなのだろうか。

 そう言えば、対象の勇者はこの市にいるともイリカが聞いていたし。

 そうか。

 

 「••••何でもはしなくて良いよ。ホワイト次第だけど、イリカも来てくれたら、俺も嬉しいというか、、嬉しいよ、だから、何というか、気を付けて、というか、何というか、あれというか、」


 「う、嬉しいのね、ありがとう、、私も、嬉しい、、大空といれると、、あれよ、、私、」


 頬をかなり赤くしながら、目から少し涙を流して俺を見るイリカ。

 片方は何処かで見たことのある反応だった。


 「な、直して貰った、、ネックレスもずっと大事にしてるから、、これからも、、、、大空の事、あれで、、他に礼もしたいわ、、全部、」

 

 ••••もしかして、イリカは俺の事が恋愛的に好きなのだろうか。

 反応的に多分そんな気がした。


 「、、友達としてというか。俺もイリカの事は好きだから、礼は要らないというか、、」


 「大空、、、嬉しい、私もとっても、、好きよ、、、大空のこと、」


 イリカは嬉しそうに頷く。


 あれ?

 もしかして、違うのか?

 それなら、良かった?


 「だ、だったら、ちょっと別れに抱き合ってみない?良い気分になりそうだし、」


 イリカは割とこう言うのが好きそうだし。

 やろう。


 「お、大空、、嬉しい、したいわ、、ぎゅって、」


 「りょ、了解。はい」


 俺は手を広げた。

 イリカも手を広げる。


 「大空、、ありがとう、、」


 二人で、抱き合う。

 柔らかい物も俺の胸に当たる。

 割と温かくもあった。


 「好きよ、、いつも、ありがとう、、」


 「俺も好きというか、こっちこそ、プロテクト市とかカルミナ市とかでも、色々手伝ってくれてありがとうというか、」


 「大空、、私も、、大空の事、、好きよ、、ありがとう、、」

 

 「こちらこそ、?好きというか、」


 「好きよ、、大空、、」


 暫く、無限ループをする。

 何か永遠に続きそうでもあった。


 というか、これから三十分ぐらいやった。





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