第八十八話 イリカと観光
少年と別れ、墓場の中心部へ進んでいく。
進めば進むほど、お墓に書かれている文字は掠れていった。
人通りも徐々に減っていく。
「あれ、なんて書いてあるのかしら。読みづらいわ、、」
「確かにね。何て書いてあるんだろ」
イリカとお墓をガン見し、文字を読もうとする。
だが掠れていて、かなり難しい。
全力で見る。
【始?の魔人?ここに散る】と書かれてある気がした。
亡くなった年数は彫られていないっぽい。
「読めないわ、、大空は読めた?」
「こっちも無理。何か魔人の人がここで亡くなったらしいってだけしか」
「私もそれぐらい、、これ、凄いわね、、何年前の墓なの」
イリカはまたマジマジとお墓を見始める。
かなりの至近距離で、見ていた。
俺はそれを奥から見る。
すると、丁度このお墓の裏から人間の足がチラッと見えた。
チラッ、チラッと繰り返し、足が出てくる。
何だこれ。
「本当、凄いわ。ここまでお墓が残せたら、家族も、大空も喜ぶかしら、?」
「た、多分喜ぶと思う。きっとね。後、少し関係ないけど、何か裏からチラチラ見えない?」
「そんなのあるの?え、あ。あった、」
またチラッと人間の足が見えた。
だが、すぐお墓の後ろに戻っていく。
「な、なに?何かしら、不審者?幽霊?」
イリカは体をぶるっとさせる。
かなり怖がってそうな顔になっていた。
「本当に何だろう。見てみるか」
一歩進み、お墓の後ろを覗く。
イリカもゆっくり付いてきた。
「誰か、助けて、助けろ」
そこでは、女の子が頭から地面に突き刺さっていた。
女の子は、足をジタバタさせている。
何これ。
「あ、はい。分かりました」
「え?触って平気?あれな幽霊だったりするかも知れないわよ、?」
俺は女の子の胴体も持ち、引っこ抜く。
これをイリカが俺の背後から覗く。
普通に、地面から取れた。
八歳ぐらいの女の子だ。
全身を真っ黒な服で包んでいる。
「命の危機を救われた。お兄ちゃんとお姉ちゃんの二人。礼を言わなくはない」
女の子は平然とこう言う。
顔の土も払っていた。
「こ、子供?何してたの、?」
「、ふん。わたしは興味を持ち、裏を見ていたんだ。こいつと友達になれる妄想をするためにな。そして、わたしは躓いた。ダイナミックズッコケだ。結果、ああなった」
イリカは目を見開く。
やばいなこいつ、と言いたがな顔である。
「そっか。じゃあ大丈夫ですかね?窒息とかしているとやばいというか」
「問題などあるはずない。お兄さん。心配感謝しよう」
少しだけ女の子は口角を上げる。
だが、急に手を振りだす。
「けどさようならだ。お兄ちゃん達。またさようならだ」
「ま、待って。あんまり良くないわ、道から逸れて、裏を見るのは、、墓って大事な物だと思うから、」
「、、妄想は、出来ないか、、裏も見れないと、」
「、妄想しても、、可能性はないわ、、死んじゃったら、、全部、」
女の子はしょんぼりした顔になる。
何故かイリカも悲しそうになった。
だったら、ここで言おう。
色々都合もいい。
良い気分にもなれるかも。
「だったら。新しく俺と友達になろうよ。一応生きてるし、問題もないからさ」
「、、本当か?新しく、お姉ちゃんも、?」
「わ、私もいいわよ。友達ね、」
「お姉ちゃんもか、、嬉しくなくはない、、ダイナミック上げ下げ、、」
笑顔の女の子は強い力で俺の手とイリカの手を掴む。
そうして、何故か手をブンブンと振った。
まあ、友達にはなれた感じである。
いえい。
「•••••」
突如、女の子は真顔になる。
しかし、またすぐ笑顔に戻った。
何か不気味だ。
「だが、わたしはまだここに用事があるんだ。すぐにお別れだな。申し訳ない。お兄ちゃん。お姉ちゃん。またね!」
「分かった。じゃあ、今度会えたら遊ばない?折角友達になれたんだし」
「••••••あ、ええ、え、あ、え、遊びたい••••」
今度は、女の子はしどろもどろになる。
少し今までの反応の傾向と違う気がした。
まあいっか。
「、おねーちゃんも!またね!」
「ま、またね、、」
イリカもしどろもどろに言う。
これは割と見るイリカの反応だった?
「さ、最後に、あの、光原って人、知ってる?」
「、知らん。誰だ。友達になれそうか?」
「な、なれないわ、、じゃあね」
「、またね!おねーちゃん!」
—-
お墓巡りは終わった。
今はこの市で一番有名な砂浜に来ている。
キラキラと光る白い砂浜に、青い海。
これらが特徴的だ。
そして、水着の人も割といる。
俺達は着てないけど。
「なにが始まるのかしら!楽しみね!大空!」
その一部では人だかりが出来ていた。
砂浜の部分に、半円形の柵が置かれており、その周りを観光客が取り囲む。
この柵の中には十人ぐらいの人がいた。
「来るぞ!!ワカメドラゴンが!!!皆さん!!ご注目ください!!「位置交換」!!」
遠くから大声を出す、船に乗った人。
そのまま、彼は船ごと柵の中に突っ込む。
直後、船が石ころと入れ替わった。
すぐ、海からワカメの塊も突っ込んでくる。
細部がウネウネと動き、かなりのスピードで浜に出て来た。
この塊はまるでドラゴンのような見た目だった。
「来たわよ!大空!!ドラゴン!?なにかしら!あれ!」
「居合、、」
周りが一斉に盛り上がる。
柵の中の人達も、一斉にワカメへ攻撃しようとしていた。
中でも一人。
最も早く懐に構えて。
手刀でワカメの胴体へ攻撃する、少年がいた。
「ぐおおおおお、、」
一瞬で、ドラゴンはドラゴンは真っ二つになった。
そのまま、地面に倒れ伏す。
青い粒子が吹き出し、ワカメだけが残った。
何か手刀で切ったっぽい。
「キターー!!初めて切った感触!!ゲットだぜ!!ははははは!!無敵!救済!最強!!!あ!付け忘れてた!初めて切った感触でござる!ゲットだぜでごさる!!ははははでござる!無敵でごさる!救済でござる!最強でござる!!」
「よく頑張ったっピ!ナイスっピ!」
「非常に、成長してるな、推薦した甲斐があった、、、変な口調をするようになったが、、私まで、嬉しくなってしまう、、歳は取りたくないものだ、」
その少年の周りに、数人が集まる。
一人は鳥の着ぐるみを来た、ゴルフクラブを持つ男性。
もう一人は、プロテクト市で見たことのある人だった。
「あ、あれ、?あの人、勇者連盟の役員じゃない、?」
普通に、師匠の上司がいた。
夏柳白水さんだ。
何か普通にいた。
「ま、まあ、これで終わりっぽいし、行かない?あっちだと、お祭りみたいなのやってるから」
イリカはあの人も嫌そうだし。
だから、砂浜の周りにある店を回ろうと提案してみる。
あの三人は従業員っぽい人と話し始めたし。
「そ、そうね!ここまで盛んなの見るの!私あれよ!始めてよ!楽しみ!大空と来れてよかった!」
「こっちも久しぶりかも。どんなの売ってるんだろうね。人はかなり多いけど」




