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第八十七話 友達探し中にこんにちは





 「ふんふーん。良いねー。この世界ー」


 一人で寮から出た。

 そして、俺は今電車に乗っている。

 窓際に立ち、観光パンフレットも読んでいた。


 これで、良い感じの観光地を探す。

 新しい友達も見つけられそうな場所があるかもだし。


 一方、さっきまで一緒にいたホワイトはイリスの所に行っている。

 色々、自分の手で聞き出したいっぽい。


 「おー。綺麗!」


 近くのドアのガラスから、外の景色が見える。

  

 そこからは、キラキラ光る綺麗な新しいビル達と、陽で輝く川と海があった。

 ここは湾になっており、その周りに大量の高層ビルがある感じだ。


 「何かやっているのかな。凄い」


 所で、海に川が流れ込んでいる部分では、謎の魚の群れが水面を飛んでいる。

 この魚は頭が猪だった。

 不思議生命体だ。


 「おー。凄いやってる!」


 川で犬かきをしながら、そんな魚を切り刻む一人の人がいた。

 周りにも魚と戦っている人がいたが、全てその人に取られている。


 ついでに、近くの湾岸には多くの観客っぽい人もいて、それぞれ歓声を挙げていた。

 何か楽しそう

 後で行ってみよう。

 

 「ふんふーん、どれも凄そうー。共同墓地も」


 とりあえず俺がこれから行くのは、共同墓地という場所だ。

 そこはこの市で亡くなった人が、全員埋葬される所っぽい。

 物凄い昔からある上、観光地としても有名らしい。


 ここでホワイトの過去探しも出来たら良いな。


 「共同墓地前、共同墓地前になります」


 アナウンスが流れる。

 そろそろだ。


 「友達も出来たら良いなー。ふんふーん、不謹慎だけど」




—-




 駅の改札口に来た。

 かなり人が多いく、みな素早く改札に切符を入れる。

 流れが出来ていた。

 俺もその流れに乗ろうとする。


 「ん?あれは」


 改札口の横にイリカがいた。

 イリカは片手に切符を持ち、挙動不審に切符と流れをちらちらと見ていた。


 「ど、どうするの、これ、、」


 「おーい!イリカ!また偶然!!一ヶ月振り!」


 イリカとは本当に縁がある。

 こんなにすぐ友達と再会出来るなんて。

 いえい。


 「お、大空!!久しぶりね!、、でも、今は、あの、あれね、、お手本見せて欲しいわ、、これ、、列に入れなくて、、」


 「良いよ!着いて来て」


 俺が先に、列に入る。

 イリカも、抜き足差し足で背後から着いて来た。


 「ノリで、にゅっやるだけだよ。にゅって」


 「にゅ、ね。にゅ、、、」


 俺が切符を入れる。

 後ろのイリカも同じく改札に入れた。


 無事、改札から脱出できる。


 「行けた、!いつもありがとう!大空!」


 「こちらこそ!いつもありがとう!」


 笑顔になったイリカとハイタッチをする。

 イリカとするのは、意外に初めてだった。

 Vピース。


 「そう言えば、イリカはここに何か用事ある感じ?共同墓地に行く予定だったり?」


 「わ、私は、そのつもりよ、大空も、?」


 「俺もそうかな。だったら一緒に行かない?良ければで良いけど」


 「、私は、少し用事あって、、でも、大空が迷惑じゃなかったら、行きたいわ、、」


 「全然大丈夫!行くか!」


—-




 イリカと共同墓地に入る。

 とりあえず、俺たちは今一番の大通りを通っている。

 周囲には、観光客の人もかなりいた。


 ここは進めば進むほど、お墓が古くなる場所だ。

 さらに細い横道も相当あり、色々ありそう。


 「イリカの用事ってどういうのなの?今なら暇だし、出来るなら手伝うよ」


 「わ、私は、、あの、大空には、、無理で、、ちょっと、、やって欲しくないわ、」


 聞いてみると、イリカはゆっくりそう言う。

 

 何か、重要な用事があるっぽい。

 だったら、この話は辞めよう。


 「じゃあ、話を変えて。やっぱり人が多いね。この辺。プロテクト市と比べても特に観光客が多い」


 「わ、私、ここまで人が多いのは初めてで!大空がいて助かったわ!着いていかないと厳しかったわ!」


 無理やり笑顔になったイリカは言う。

 

 よし。

 とりあえず、師匠の話題は今は辞めておくか。

 イリカは師匠に相当怒っていたし。


 「お。見てくれ。人が集まってるあの墓。徳峰太郎で、1552年死去だって。割と有名そうな人だけど、結構古いね」


 「そこまで古い墓、、初めて見たわ、、この世界にはこんなのもあるのね!」


 イリカは目を凝らして、墓を見始める。

 少し笑顔でもあった。

 あっさり機嫌が良くなって、よかった。


 「ガン飛ばしただろ。お前。どう落とし前つけんだよ。ド低脳。殺すぞ」


 「ひ、ひぃぃ」


 と思ったら、近くの横道から少しそんな声が聞こえた。

 俺たちがいるのは大通りにも関わらず。


 「え、カツアゲ、かしら?」


 俺が反応した事に気付いたイリカ。

 そうして、近づいてくる。


 イリカは俺より早く、路地裏を覗いた。

 俺も着いていき、覗いてみる。


 「なんか言えよ。殺すぞ。頭も低脳、服も貧相。救いようねぇよ。お前」


 路地裏では白衣を来た13歳ぐらいの少年が、観光客っぽい男性の首を片手で持ち上げていた。

 何これ。


 「ほんと汚ぇわ。金やるわ。これで服買え。勉強しろ」


 「何やってるの!あれよ!よくないわよ!そう言うの!え、?」


 少年は懐から出した札束を、地面に叩きつける。


 男性と、路地裏に乱入していったイリカは目を見開いた。


 「、、あ、はい。頂きます。では、さようなら、」


 スタコラサッサと、金を拾った男性は走って投げ出す。

 すぐに見えなくなった。


 「あ、あれ?カツアゲじゃないの、?」


 「お、おぉぉん。用か?お前ら。キッッッショ。正義ヅラか?殺すぞ」


 少年が手を伸ばす。

 そうして、イリカの胸ぐらを掴もうとする。

 

 だが、イリカがその手を弾く。


 「そういうの、、良くないわよ、特に子供がやるのは、」


 「あの、そう言うのは良くないと思います」


 「彼氏連れ故の上から目線かよ。調子乗んなよお前。おい。金やるよ。これで成功体験身につけて、また正義感を発揮しろよ」


 「?。??」


 「え?な、なにこれ、」


 俺がイリカとの間に入る。


 その直後に、少年によってお金がまた地面に投げ捨てられた。

 イリカは目を見開く。


 「え、え?な、何の為に、、?」


 「は?言うの二度目だが。これで成功体験身につけて次も正義感発揮しろっつってんだよ。知能の低い凡人が」


 「い、いいわ、要らないわ、こういうの、、悪いわ、、」


 イリカは横に首を振り、お金を断る。

 すると、少年は顔を歪めた。

 

 「彼氏のお前は。これで、成功体験身につけさせたくないのか?ツレによ」


 「俺も大丈夫です、お金には困ってないというか、後、彼女じゃないです」


 俺がこう言うと、少年は露骨に青筋を浮かべる。

 明らかにイラついていた。

 

 「おい。だったら、やられて嬉しい事はねぇのか。勇者案件じゃねぇが、叶えてやるぞ。お前らの願い」


 「え、え?え?」


 「、そうしたら、俺は連絡先を交換して欲しいというか。友達が欲しくて」


 もう素直に、この人にはしたい事を行った方がいいだろう。

 これで多分いけるはず。

 少年の撃退も出来るし友達も出来て、一石二鳥だ。


 「ささいな願いじゃねぇか。やるよ。俺の連絡先。お前に証明してやるからな。良いチンピラがいる事を。いつでも通信してこい」


 「ありがとうございます、いや、ありがとう?ありがとう」


 少年から小さい紙を、俺は受け取る。

 そこには鉛筆っぽい物で書かれた電話番号があった。


 そう言えば、この少年はさっきまで何も持っていなかった。

 更にポケットも弄っていない。

 なのに、電話番号が書かれた小さい紙が出て来た。


 多分、そういう能力なのだろうか。


 「お前は。ねぇのかよ。ド低脳」


 「え、え?え、、?知ってる?児戯の勇者の事、、何処にいるか、、」

 

 「お前の願いはそれかよ。あいつはこの市にはいる。とだけは教えてやるよ。他は知らん」


 「や、やっぱり、そうなのね、」


 イリカはぼそっと呟く。

 その声は、何か覚悟を決めたような感じな気がした。

 

 「そこのド低脳。あいつに恨みでもあんなら、さっさと探して殺せよ。あいつは恨みを買う。いつ狙われて、いつのまに殺されても違和感ないぞ」


 「え、え、そ、そうなのね、、でも、いいの?、?言っちゃって、」


 「あいつがどうなろうと俺の知ったことじゃねぇ。お前の勝手しろ。俺には関係ない」


 「あ、ありがとう、、」


 イリカは俺の方をチラチラと見る。

 一方、ちょっとだけイリカは少年に向け頭を下げた。


 「、これにて証明終了だ。じゃあな」


 するとすぐ少年は手を上げ、去っていく。

 あっという間に、見えなくなった。










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