第七十六話 決着
イリスから凄まじい勢いで、火やマグマや煙が噴き出す。
その火は多くの人ごと、彼女の正面を埋め尽くす。
『は』
ホワイトは剣で一閃した。
噴火が真っ二つに切られる。
それにより、側面にいた人達に火が襲い掛かる。
避けられなかった全員が、最低でも大火傷を負って行く。
『え、は!??ひっど!!最低!ホワイト最低!そんな奴だったか!?庇ってやれよ!!』
『お前が言えた事ではない』
このままイリスと同時に、ホワイトは剣を振るう。
イリスの腕が飛んで行く。
その腕は強奪剣を持っていた。
『私は巻き込まれて可哀想にーって思ってるわ!それ以下!冷徹!最低!ひっど!正にゴミ!カス!アホ!マヌケ!』
『••••人間など幾らでも変えが効く。重視すべき事柄ではないというのみ』
イリスの左肩からも黒い粒子が吹き出す。
一方、ホワイトは両腕のないイリスに追撃を仕掛ける。
さっと近づいていく。
『ちっ!『一物も飛ばす空の風』!ついでに戻ってこい腕!!』
イリスを中心に竜巻が起こり始める。
ホワイトはその風に少し妨害された。
この隙に、イリスの両腕は本人の元に戻って来ている。
『隙など与えん。消えろ』
ホワイトは竜巻を切る。
イリスの目に、剣を構えたホワイトが写った。
切られた顔の一部だけは、もう治されている。
『あ。可哀想に。あれにかけた『停滞』も解いちゃったよ。ひっどいねー。『革命前夜の火』』
出した火花を切られて、直後イリスは胴体も切られる。
その目線の先には『停滞』が解かれ死にゆく千晴が映っていた。
帰って来た聖女が、真っ先に近づいて行く。
『••••千晴は復活に必要な補完要素だ。それでしかない』
『そんなんだから、あの方を裏切るんだろ』
次の瞬間、世界が白く染まる。
時間が止まった。
この中でホワイトはイリスの首に剣を添える。
時間が動き出す。
イリスの首が飛んだ。
その傷口からはかなりの量の黒い粒子が吹き出す。
『図星!?ガブ!』
これに怯まず、粒子の勢いでイリスは頭だけで首に噛み付く。
ホワイトはこれをノーガードで受けた。
『『溢れ出る光線』。粒子を出し過ぎだ。お前に勝つ未来はない』
光る太いレーザーにより、イリスの体はまるごと消し飛んだ。
さらにイリスの頭を掴み、投げ捨てた。
『最後だ。消えろ』
『それはお互い様だろ!?時間を止めたのは悪手!!貰った魔力が無くなるぞ!「緩急」!』
頭から突如体が生え、その体の足で地面に着地する。
脱力状態から急激に加速し、振るわれる剣を避けた。
『それらは対人間用だ。粒子を削ってまで内臓の無い私に使ってどうする』
『少なくとも意表はつけるだろ!?もういっちょ!「勇者の神速」!ほい!』
イリスは離れた箇所から、走り出す。
そこから、さらに加速する。
これで突っ込み、頭突きで攻撃を仕掛けた。
ホワイトはこれに対し、脳天に剣を振り下ろす。
スピードのお陰で、今までと違い拮抗する。
イリスの頭から黒い粒子が、ホワイトの剣からは白い粒子が吹き出す。
『ぎぎぎ!で、これはどうする!!『新生を促す火』!もう能力を使えば使うほど終わりは近くなるぞ!』
『•••••••』
イリスは小さな火の粉を放つ。
火の粉が、ホワイトの上半身に飛んで行く。
ホワイトは真顔で火の粉を見る。
『は?なんで?』
突如、ホワイトが縮む。
自ら、魔力を放出した。
地面には、外見年齢八歳のホワイトが倒れ込んでいた。
火の粉は何にも当たらず、消えた。
『訳分からん。ホワイト。貰った魔力まだ残ってただろ?』
イリスは空を飛び、体勢を整えながらそう言う。
顔には困惑と怒りが浮かんでいる。
急にイリスは千晴の方を向く。
と言うよりも、エゼルワイスが先程懐から出した国宝の方を見る。
彼女はここで妙な魔力を感じた。
「••••ワタシが意思を与えた••••」
国宝が変形し、スーツを着た身長の高い女性の姿になった。
この国宝の目に意思が宿る。
「つーか。役員共は何してんだよマジで。ワタシは全てで忙しいんだっつーの。もう。忙しい中したい事あるってのに」
女性は立ち上がり、イリスを睨み付ける。
イリスは目を見開く。
「おっわ!あいつじゃん!ゴミ!不味い!逃げろ!」
「相手は『傲慢』かよ。何が嬉しくてあんな頭パッパラパーティーな奴と。もっと楽しい相手にして欲しかったぜ。『強欲』とか。不毛なんだよ。「倍増」」
国宝は「勇気」の応用で、丸い魔力のボールを出す。
そのボールを上に投げ、本人もジャンプをする。
「炎の••••流星!!!ストライク!!!」
国宝は空中で体を捻る。
そして、球を蹴った。
蹴った足は能力で強化され、光っている。
球はイリスの方へ向かって行く。
スピードはイリスが逃げるより相当速かった。
「ちょ!酷くね!!こんなんリンチ!!ノーカンだろ!ノーカン!やり直しを請求!あっやべ逃しとこ、ぐわぁぁぁぁ!!」
イリスの胴体に大きな風穴が開く。
羽を無くした彼女は、墜落して行った。
「しゃあ!!真本乱選手決めたー!!流石勇者!このパワー!対あり!!異次元サッカー!!YES!!楽しかったからヨシ!!」
私が作った物取りに来ただけなのにーと言い残し、イリスは地面へ頭からスライディングをする。
穴からは物凄い勢いで黒い粒子が吹き出す。
これで、気絶した。
「で、おーい、お前ら。被害状況を教えてくれ。今回は勇者連盟社長のワタシが直に協力してやるぜ」
—-
意識が覚醒する。
非常に爽やかな気持ちで、目が覚めた。
これほど良い目覚めは久しぶりである。
何かしたい事は出来たのかな?
「うーん。良い気分ー」
体を起こし、伸びをする。
これをすると、目覚めが良くなるのだ。
割と日々のルーティンである。
と思ったら、手が伸ばせない。
何かに持たれていた為、上げられなかった。
「••••ちはる」
視界に涙目のホワイトが映る。
そのホワイトに、手を握りしめられていた。
「?。ホワイト?あれ?外で寝てる?何で?」
良く周りを見ると、ここは外だった。
少し崩れた城である。
その城の中には、治療中の人が沢山いた。
彼らは皆俺の方を見てくる。
「起きたのじゃー!!やるぞわしのコネ用員!再生能力に優れるのじゃー!!」
「やったー!!大空が治った!ナイスエゼルワイス様!」
ユアと皇女?の少女がハイタッチする。
??。
「大丈夫ですかね?ちゃんと下半身動きますか?くっつけたばかりで」
「?。ちゃんと動きます」
近くで立っていたエゼルさんに言われた通り、足を動かしてみる。
いつも通りに上げられた。
?。
「ちぃっす。良い友情?愛情?だったぜ。ついでに良かったな。ハジメ的にも。噂はそっから聞いているぜ」
「??。ありがとうございます?」
次に、どこかで見た事あるような謎の女性が話しかけて来た。
大体21歳ぐらいの女性だった。
彼女は、姉ちゃんの事を話題に挙げているっぽい?
「おっと。ワタシの事知らないか。じゃあ自己紹介だ。名刺いるか?」
「一応••••」
女性は片手で名刺を渡してくる。
もう片方の手で、彼女はイリス?を引きずっていた。
あ。
そう言えば、俺はイリスに色々ぐちゃぐちゃにされたんだった。
だから、エゼルさんが下半身をくっつけたとか言っていたのか。
完全に寝ぼけていた。
「ワタシは勇者連盟代表取締役役兼社長。真本乱だ。最強の勇者とかって呼ばれて、この世界で色々楽しんでるわ。前は月下?を襲わせてすまなかったな。ワタシとしては穏健に済ませるつもりだった」
「俺としては全然。結局死人は出ませんでしたし」
というより、フレジアの事が気になった。
俺が気絶させてしまったが、この分だと大丈夫だろうか。
少なくとも城の中には居ない。
「まーまあ。その雑さには感謝だが、許さなくていいぞ。詫びと言っちゃなんだけどよ。ハジメと会う気は無いか?今あいつも忙しいんだけどよ。都合は合わさせる事は出来る」
「姉ちゃんと!?是非!会いたいです!」
「okー。調整しとくわ。ちょっと戦闘する可能性もあっから、そこは留意しといてくれよ」
最期の朝、姉ちゃんも含めた家族に行ってきまーすと言って家を出た。
懐かしい。
これが遥か昔のように感じる。
そんな姉ちゃんとまた会えるなんて。
いえい!
「白いのも誘拐仕掛けてすまんな。あれはこっちの伝達ミスだ。もうするつもりはないぞ。けど、お前にワタシが出来る事はないし、こいつの願いを叶えたってので許容してくれー」
「••••そう」




