第六十五話 ブチ切れ模擬試合
「はぁ!???なんだよお前!!何が達人流!???死ね!低脳野郎!言う方が超低脳!!!死ね!!」
ユアが小学生みたいな怒り方をし始めた。
これ見て蹴られていた方の少女は、目を見開く。
「あれ。違うのが釣れた。ま、いいな!そんなにキレんなら二対ニしようぜ!使って良いのは武術だけ!能力と魔法は禁止な!テメェもそれで良いだろ!?」
「••••いいわ」
「死ね!低脳!!死ね!!大空も男としてやるしか無いよね!?力の差教えてやる!!」
「俺もやりたいかも。模擬戦としては丁度いいし」
「ありがとう!武人流の力!思い知らせてやる!あの死ね共に!!」
「縮地」の試運転をしてみたかったし、達人流がどんな武術なのかも気になる。
割と丁度良かった。
これでより強くなれたらラッキー
「だったら今すぐスタート!!テメェら!」
少女が一気に走り出す。
かなり前傾姿勢だった。
「血は何色だ!見せてみろ!変人流奥義!「竜の爪」!」
「は?え?は!!?」
少女は手の先を竜の爪っぽく曲げながら、突っ込んでくる。
そして、斜めに手を振りあげた。
まとめて引っかく気だ。
俺もユアもそれぞれ左右に行き、避ける。
すると変人流の少女は、ユアに殴りかかっていく。
「••••達人流奥義「緩急」」
いつのまにか近くにいた少女は、俺へ蹴りを放つ。
蹴りからはビュッという音がした。
思ったより早い。
「狂人流奥義「捻挫」」
地面に足をついたダイビングで、足をガクンとさせる。
こうしてわざと体勢を崩す事で、避けられた。
最後に、いつものだ。
「「花、」ぐお、」
「これぞ!!武人流奥義!!「縮地」!!簡単だな!!変人流のがムズい!だからこそ強い!!!」
ユアが吹き飛ばされて来た。
俺もぶつかり、まあまあ後ろに下がる。
「お前が使いこなせてないだけ!!!死ね!!!」
「負け惜しみ!!またオツだぜ!!変人流奥義!「勇者の神速」!」
少女は足に魔力を溜め始める。
直後、ギリギリ見えるスピードで突っ込んできた。
ユアをキャッチしている俺では避けられない。
「変人流奥義「竜の爪」」
なので来る場所に竜の爪の形にした手を振り下してみる。
これであっているだろうか。
成功したらラッキー。
「達人流奥義「緩急」」
割り込んできた蹴りが、突っ込んできた少女の脇腹に入る。
その少女は横に吹き飛んだ。
「テメェ!!ざっついな!何すんだ!カス!」
「あのままだとあなたこそ血ブシャーよ。感謝するべきね」
達人流の方の少女が、蹴り飛ばしていた。
そのまま、二人は睨み合いを始める。
「そんな事分かってるよ!こんなのノラでいんのかよ!!使えるって話じゃなかっただろ!?さっきから「縮地」ガン見してた私はバカってか!?」
「恐らくリーダーと同種。仕方ないわ」
「は?可笑しいだろ!何だそれ!二人でツブすぞ!」
「そういう意味ではないし、そこまでやる必要もないわ」
「は!?意味わかんねぇ!だったらそもそも自分てわ行けよ!」
「あなたが気になっていそうだったから。付き合ってあげてるわ」
「この!ゴミ!カス!ぐおお!!!!」
少女達は何故か普通に口喧嘩を始める。
この隙に、俺達は体勢を立て直していた。
「••••••ごめん••••僕が足引っ張って•••••役立てる事はあるかな••••」
「い、いや、まあそんなですよ。気にしないで」
やるなら勝ちたいが、別に負けても良いな程度の勝負だ。
俺としてはそこまで執着があるわけではない。
まあとりあえず、ユアは勝ちたいっぽいし、協力して頑張るか。
色々良い感じに行けそうなこの作戦で行ってみよう。
「••••分かった。大空の作戦やってみる••••また足引っ張ったらすまん••••うおおお!!気合いだ!!死ね!!ブンブンブン!!「縮地」!!」
ユアは「縮地」で突っ込んでいく。
謎の掛け声は、謎だった。
「「空砲」「勇者の神速」」
その後ろから、変人流を使う方の少女の方へ「空砲」を放つ。
すぐに、「勇者の神速」で激突しに行く。
少女が「空砲」を避けている隙に、ふき飛ばす算段だ。
普通の「神速」とは違い、「勇者の神速」は加速している最中に激突しても大丈夫そうだし。
「テメェ!!煽ってんのか!!?私だって常人流程度!!一回見たらデキらぁぁ!!ぐあああ!!」
「なにをやってるのよ。「緩急」」
予想外に、「空砲」を目にもろに食らった少女。
その少女へ俺は突っ込んでいく。
ユアは抜いて。
すると少女と俺の間に、もう一人の少女が割り込んでくる。
ここで俺へ蹴りを放つ。
「ぐわ」
腕でガードをしたが、蹴りを受け吹き飛ぶ俺。
ここまで順調だ。
「おら!喰らえ!「透骨」!」
「ぐは、、」
この隙に蹴りを喰らわせた少女の腹を、ただユアが殴る。
その少女は倒れ込んだ。
「前見えねぇぇぇ!イキリ過ぎたぁぁ!!魔力感知苦手だってのにぃぃ!」
「また!!喰らえ!!「透骨」!!」
今度は変人流を使う少女のお腹をパンチする。
少女は倒れ込んだ。
勝った。
二人は地面でもがく。
「あ、は、はっはー!!勝利!!僕超強い!!武人流最高!!最強!!無敵!!一番は努力の年数!!暫く苦しんでろ!おら!」
「ぐおおお!!!イテぇぇし動けねぇぇ!!負けじゃねぇかああ!テメェのせいだぞ!!そいつにだけ意識向けやがって!!!」
「は?調子に乗って、目を潰されたあなたが敗因よね。なに言ってるのよ」
二人の少女は倒れ込みながら、口論を始める。
それらを無視し、ユアが近付いて来た。
「ふふふ!大空!ありがとう!健闘を讃えたい!努力の成果だ!なんとかなったぞ!わはは!!」
楽しそうに、ユアは話しかける。
勝てたし、ユアの調子もまたすぐに戻せた。
やったね。
全て成功した秘訣は、冒険者ギルドでユアが力を重要視していることを聞けたからだと思う。
よくよく思い出せば、ユアは自分の力が通用するか否かでテンションが変わっていた。
他人の傾向を把握し、一番されたそうな事を探るのは、友達を作る事において相当有りかもしれない。
シンプルに黒田のアドバイスと、ホワイトの言動の応用だが。
かなり活かせるかも。
「はっはー!!それと!意外に一杯いるんだな!大空にレベルのやつ!びっくり!!」
「ま、まあ、割と居るというか、、俺の友達にも俺が絶対使えない武術を使う人が居るし」
何か割といた。
自分は才能ある方かなーとは思っていたが。
かなりいっぱい居た。
「あ、すまん••••言い方悪かった••••大空はトップというか、、僕は集中すると色々見えなくなって、、これじゃああのカス女と一緒だ」
「べ、別に全然大丈夫ですよ。事実だから」
「すまん、、大空••••」
ユアは少女達に言われた事を相当気にしているっぽい。
何か微妙な空気になってしまった。
話を逸そう。
俺には少し気になる事があった。
「所で、この人達は医務室に連れて行かなくても平気な感じですかね?さっきから全く立てなそうだけど」
二人の少女は言い合いながら、まだ倒れ込んでいた。
顔からは冷や汗も流し始めている。
「平気だ!「透骨」で神経に直接攻撃しただけだからな!僕達が股間蹴られた時みたいになっているだけだぞ!ざまあないな!」
「そ、そっか。だったら大丈夫か。大丈夫そう」
まあ、少女達は今も大声で口論をしていた。
こんな事を叫んでいる。
「本当に煩いわね。いつもそうよ。あなたはグチグチ愚痴ばかり。うるさいわ」
「は!??少なくとも今回はテメェのせいだろ!?テメェが我儘が言うから私がついて来させられたんじゃねぇか!!!なにが私の為だ!カス!ゴミ!!」
「あなたも楽しんでいたわよね。なにが武術協会ひっろーいワクワクする!よ。責任の所在を押し付けないで」
まあ、大丈夫そう?
手間かからなくて良かった。
と思っていると、チラッとこっちを見た達人流を使う方の少女と目が合う。
すぐ目を逸らされた。
何だろうか。
まあいっか。
「そう言えば、「透骨」ってどう言う仕組みなの?何となく使っていたけど、色んな使い方が出来て。少し気になるというか」
「大空!気になるか!?そうだな!武術協会の始まりから話さざるを得ないな!!勇者達の故郷の事柄も関係してくるし!」
「そうなんだ。じゃあお願い」
今思ったが、もしかしてユアは武術関係の事柄が好きなのだろうか。
武人流アピールも凄いし。
話を合わせてみよう。
「まず、武術協会の始まりはな!現勇者連盟戦闘部門長で役員の夏凪白水が猿人族に武術を教えた事!それをまとめ、今の形にしたのが勇者連盟の現社長だ!」
早口でユアは話し始める。
これでもっと仲良くなれたら良いな。
「自分も聞いた事ある。だから武術協会で教えられている武術の殆どには、違う世界の武術の影響が見られるって」
「分かるの!?そうそうそう!最近生み出された武人流もその例外じゃなくて!「透骨」も発勁?だったかを魔力で全体的に強化したものらしいぞ!」
「そうなのか。確か常人流の「死指」もそうじゃ無かったっけ。魔力感知のせいで目潰しの意味も薄くなったし、だからついでに脳も狙って即死させようって」
「そうそうそうそう!その辺も異世界の技術が使われていて!でもそのせいで新しい技術を生み出すのも難しくなっているんだ!体系化される前の情報が無いからな!特に第七使徒が使う!いや、違うぞ!彼が独学で学んでた奴の!、、あ」
ペラペラと喋っていたユアは、急に止まる。
どうしたんだろう。
成功したと思ったのだが!
「これはダメだった!この事は黙っておいてくれ!僕たちの国は!勇者連盟と仲が悪くて!武術協会と関係を持つのは御法度なのだ!僕はお父さんがゴリ押してくれたから誤魔化せているだけで!」
「へー。そうなのか。だったら忘れておく」
「ありがとう!大空!!」
神聖共和国は勇者連盟と仲が悪いのか。
その割には推定聖女の人が、勇者連盟傘下の冒険者ギルドに入ってしまっているけれど。
まあ何かあるのかな。
「••••したいこと、おわった。だからちかくのべんちで本よんでる」
周りの人混みを抜け、ホワイトが近づいて来る。
話に入ってきた。
「あ、あ、じゃ、じゃあ!大空もホワイトさんもここの食堂で食事を取らないか!?時間も完璧で!特にここのラーメンは絶品だぞ!皆さん、多分気にいるはず!」
「••••わかった。ちはるはどう?」
「全然。ここの食堂で大丈夫。行こう」
「倒れたまま放置されて、どっか行かれそうだぜ••••••悔しい。テメェもそう思うだろ。修行して見返してやらね」
「••••••そうね••••悪くないわ」




