第六十四話 武術協会へgo
更に翌日の翌日。
電車で三十分かけ、武術協会の道場の入り口にやって来た。
今日はユアと遊ぶと約束した日である。
「おはよう。今日は招待してくれてありがとうございます」
「••••おはよう••••」
それに何故かホワイトも付いて来ている。
見たい物があるらしい。
「おはよう、、ほ、本当に二人で来たんだ、、よ、良く来たな。この武術連合の道場に案内してやろう、、こっちに来い」
ユアは入り口である大きい鉄の門から、中へ入っていく。
俺達もそれについて行った。
「ぶ、武術協会について、お、大空たちは知っているか?教えてやるぞ」
「常人流とか達人流とか超人流を教えてくれる所だったような?」
これとついでに、武術協会の会員になる方法を師匠から教えて貰った。
その方法とは会員の人と仲良くなって、紹介して貰うというもの。
お金も時間もかかるので、まあいっかと俺はそれ以上武術協会について調べていなかった。
だったのは一昨日までの話。
昨日の内に色々調べておいた。
武術協会の会員には階級があり、その階級は五級から十段まである。
その内三段以上が師範代、八段以上が師範だ。
師範以上は「剣聖」とか「銃聖」とか「火炎放射器聖」とか、使用武器に応じた異名が付くらしい。
何か凄そう。
「そ、その通り。だ、だが、それらは会員になるだけで教えて貰える範囲の物だ、、変人流や狂人流、武人流等などは特定の師範に弟子入りしなければ学ぶ事は出来んのだ、、」
ユアはコンクリートで出来た道を歩きながら、そう言う。
このまま少し歩き、ある大きな建物の前に着いた。
「つ、着いたぞ。ここでなら自由に動ける」
その建物の大きな扉を、ユアが開けた。
中を、俺とホワイトの二人で覗く。
床は木製ながら、天井の光を反射しキラキラと輝く。
天井には多くの鉄骨と、灯りが均等に付いていた。
壁の上部の窓からは、太陽の光が差し込む。
つまり、ただの体育館だった。
小学校にある物を非常に大きくした感じである。
「••••では、大空の誘い通り、、武術を教え合うぞ」
俺は最初、冒険者ギルドの闘技場でこれをしよう提案した。
だが、ユアが前のお礼にと、ここに招待してくれたのだ。
割とありがたい。
一応、これで紹介された事にもなっているし。
「ちはる。わたしはその辺うろうろしてる。気にしないで」
「分かった。じゃあ、十四時ぐらいに体育館前で集合で」
「りょうかい」
手を振りながら、ホワイトは何処かへ行った。
直ぐに見えなくなる。
「••••まず、僕の武人流について教えよう。達人流が源流となったこの武術は、相手をより確実に殺す事を目的に作られた••••」
直後、ユアは語り始める。
武人流の成り立ちは、かなり殺意の高い感じだった。
「奥義は三つある。「超深呼吸」「縮地」「透骨」だ。••••残りの「縮地」なら教えてやれる。「超深呼吸」を僕は使えんからな••••」
「本当に?ありがたいです」
「••••「縮地」はこうやるのだ。特に足を見ていろ」
ユアはつま先に少しだけ重心をかけ、前傾姿勢になる。
そして、急発進した。
すぐユアは止まり、俺の方に振り向いて来た。
「、、これが「縮地」だ。魔力感知でも行くタイミングが読みづらかいのが特徴なんだ、、常人流の「瞬動」とも似ているが、、事前に動いている魔力を止める必要がない点で優っている、、」
そう話しかけてくる。
確かに、あの急発進はかなり分かりづらかった。
そんな感じなのか。
「••••「超深呼吸」で集中力を超上げて、「縮地」で相手の不意を打ち、反撃は気合いで避けて、「透骨」を当てて殺す。これが本当の武人流だ」
「そうなのか。教えてくれてありがとうございます」
「••••••こう思うなら、やってみろ」
やはり、ユアはまだ元に戻っていない。
だが作戦は順調でもある。
とりあえず普通にやろう。
重心を移動させて、急に発進する感じだ。
見たままやれば良さそう。
「••••完璧だ」
ボソッとユアは呟く。
一応、いえい。
「ありがとうございます。じゃあ、次は俺から常人流辺りを教えても?」
「••••お願いしよう」
「了解です。まず常人流の「空砲」から。俺はこんな感じで使っているかな」
まずは例を見せよう。
拳を繰り出す事で、空気を飛ばす。
これを飛ばすタイミングで、その空気を魔力で強化する。
そうして、強い拳圧を飛ばせるのだ。
これらで、完璧だ。
「コツを言うならば、魔力を加工せずに魔法を使う、という感じ、ですかね?こう」
何回か壁に向けて、やって見る。
「空砲」が壁にぶつかっては、即消える。
殺傷力はあんまし無いので、問題ない。
「••••こうか?あれ?」
ユアはゆっくりと拳を振る。
結果、青白い剣が現れ、壁に突き刺さった。
もう一回、ゆっくりパンチを繰り出す。
また壁に青白い剣が突き刺さった。
「恐らく、自分以外の物に魔力を流すという行為になれていないだけなような。少し魔力を流しても大丈夫ですか?俺も同じ魔力にするので」
「••••え••••分かった••••頼む」
俺はユアの腕を掴む。
そして、ユアの物に変えた俺の魔力をユア本人に流し始める。
最後にユアの手を動かし、良いタイミングで「空砲」を放つ。
これでなんとなく魔力を放つ感覚が分かるはずだ。
「どうですか?感触掴めた?」
「••••••掴めた。だから、あの、話してくれ」
少し顔を青くしながら、ユアはそう言う。
何か体調が悪そう?
同じ魔力にしているのに。
摩訶不思議だ。
だが、言われた通り、俺は手を離す。
「••••は、喰らえ、、」
直後、ユアは空気を殴った。
壁に空気の塊が当たる。
剣は出なかった。
「••••え、お。え、おお!!おおおー!!」
ユアは笑顔になる。
全身で喜びを表していた。
「はっはー!!出来た!出来たぞ!はっはー!!ありがとう!次は動かしながら!「空砲」!おおーー!!出来た!また出来るぞ!」
ゆっくりと拳を繰り出し、また「空砲」を繰り出す。
更にユアは笑顔になった。
「わはははは!出来た!感謝が絶えない!耐えないぞ!ありがとう!」
「良かったです。じゃあ、次は「死指」をやってみませんか?多分同じやり方で出来るし。少し気持ち悪くなるかもしれませんが」
「おおー!!ありがとう!是非やってくれ!」
高らかに笑いながら、ユアは言った。
嬉しそうである。
良かった。
シンプルに相手を強くする作戦が、成功した。
ついでに俺も強くなれたし、やったね。
「おい!そこの才能も知性もねぇゴミ共!武人流とか常人流が使えるようになった程度で騒ぐんじゃねぇ!私の達人流で!テメェらの人生がゴミって事思い知らせてやんぞ!」
急に、誰かが俺達に向けて、大声で叫ぶ。
ユアが誰かの方を見た。
「ってよ!こいつが言ってたぜ!!悔しかったら決闘しようぜ!見せてみろよ!今からって、痛!テメェ蹴んな!無言で蹴んな!」
「••••約束破った罰よ」
ユアの視線の先には、十七歳ぐらいの双子の姉妹がいた。
その姉妹は俺達を見ている。
??。
急に。
何で俺達を煽ったんだ?
「はぁ!???なんだよお前!!何が達人流!???死ね!低脳野郎!言う方が超低脳!!!死ね!!」
顔を真っ赤にしながら、ユアが叫ぶ。
こっちも大丈夫か。




