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44時限目 姫たち、緊急会議を開く その3

話はルルたちがエルトに告白する2日前の夜に遡る


姫たちは、エディールの部屋に集まっていた

バルムス姉妹が伝えたいことがあるということだった


「それで?あたしらに話があるって聞いたけど?」



エディールは一冊の本を差し出す


「前に、エルトの不思議な力とよく似た主人公の物語を読んだことがあるのは話したわね?」

3人はこくりと頷く


「この本の題名は『力なき者』。350年前に書かれた本よ」


今度はラディールにバトンタッチ


「この本の内容ですが、エルトの境遇と酷似しているんです」


3人は、姉妹が折り目を付けたページだけをめくり、黙読


この作品の主人公は15歳の少年

魔力が0で周囲から蔑まれて育ち、6歳の時に両親を不慮の事故で亡くし、たった一人で懸命に生きるところから物語が始まる

学校にも通っていたものの、毎日いじめに遭い、苦痛な日々を送り、3か月ほどで退学

それでも、少年は挫けずに生きる


ある日、少年は市場で悪党が人を殺すところを目撃

悪党は野次馬の中の少女を人質として攫い、逃げる

少年や少女の両親も必死に追いかけるが、悪党の逃げ足の速さには追いつけなかった

だが、少年は悪党の隠れ場を見つけ、少女を助けようと必死に戦い、悪党が放った魔法を見切り、さらには相手の魔法を自らの体で無効化するという不思議な力を使って、悪党を捕まえることに成功

驚くことに、少年が助けたのは公爵家の令嬢だったのだ


この事件をきっかけに、少年の評価は「魔力を持たない無力な少年」から「危険を顧みず勇敢に戦い、令嬢を救った英雄」と手のひら返しとなった


その後も、学校から戻ってきてほしいとの催促や令嬢から告白されるなどの内容が書かれていた


「確かに、内容は少し違っても似ている部分が多いな…」

「せやな、大まかにいえばエルトの人生を予言してるみたいやわ…」

「この本の作者は誰ですの?」


アデリーヌは作者の名前を探そうにも、どこにも載っていない


「作者不明の本ですか…」


と、フィルラーはあることに気付いた


「あんたら、途中までしか折り目つけとらんけど、この先は読んどらんのか?」

「ええ、この先の事はあなたたちと一緒に読んだ方がいいと思って…」

「さよか…」


フィルラーはそれ以上は詮索しなかった


「とにかく、全部とまでは言わないけど、私はこの本の内容に賭けてみようと思うの」

「私も同意見です」


3人も彼女たちの意見に頷いた


「ありがとう、みんな」

「あたしらは、友達だろ?黙って見過ごすわけにはいかねえって」


すると、話は突然変わり


「なあ、ジェミナー。あんた、エルトに()()()()()相談してみたらどうや?」

「あの子?って、おい…、まさかエルトの力で何とかなるとか思ってんのか?」

「そう思うてんねんけど、あかんか?」

「いや、ダメって訳じゃねえけど…」

「いろいろと手を尽くしてみたけど、どれも失敗に終わったんか…」

「ああ、情けない話だけどな…。あたしだって、あの子の事を何とかしてやりたいんだよ!」

「せやから、一か八かエルトに相談してみぃや!ウチも協力するさかい!な?」


他の姫たちも

「そうですわ!フィルラーの言う通り、ここはエルトに賭けるべきだと思いますわ!」

「右に同じね」

「私も同じ気持ちです」


協力する気持ちでいっぱいだ


「みんな、ありがとう…」

ジェミナーは少しウルっとした


「ですが、いつ相談すれば…?」

「そや、すっかり抜けてもうたな…」

「それなら、私に考えがありますわ」


珍しく、アデリーヌが提案する


「来月は、リベリア魔道学園の創立記念日で1週間お休みがあるでしょ?それを利用してはいかがです?」

「アデリーヌ、いい案を思いついたわね!」

「それも忘れてましたね…」

「ジェミナー、その1週間ワシュガ帝国に寄らせていただいてもよろしくて?」

「あたしとしてはありがたいけどよ――――」


その後も、話は続き


ジェミナーは校則を利用して一度帝国に戻り、彼女の親である皇帝・皇妃の了承を得てからエルトに相談する流れでどうだろうかと提案し、姫たちは快諾した


「ありがとな…」

「何言ってるの?私たちは友達でしょ?困ったときはお互いさまよ」


皆は不思議にスッキリとしており、珍しく熟睡でき

翌日の朝は、5人とも日が昇る前に起床したという

どうも、茂美坂 時治です

随時更新します

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