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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第一章「記憶をなくした少年とロリ魔法使い」
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第9話「あぁ、いるよねぇ・・・・・・こういうヤツ」

 

 なんだかんだでアリスにギルドまで連れられギルド登録を果たした俺。



 冒険者にはクエスト同様にランクがあるらしい。クエストのランクはそのクエストの難易度で決まり、その難易度は冒険者のランクの適正ランクを示しているとされる。



 ちなみに俺のランクはG。駆け出し冒険者だ。



 駆け出し冒険者がギルドに初顔見せとなれば、そりゃあ、他の冒険者に絡まれる。新入りに対する洗礼――というより牽制の意味合いが強い。


 要するに、ここは俺たちの縄張りだから荒らしてくれんなよ、ということだ。



 そして――――ことは起こった。



 ガッシャーーーン!!!




 酒場のような様相を(てい)しているギルド内に、耳をつんざくようなガラス音が響き渡った。



「アンタ!! いい加減にしなさいよっ!!!」

 勢いよく、テーブルを叩き立ち上がったアリスの足元には、今しがた落ちて割れてしまったジョッキの破片が散らばっている。




「おいおい、そうカッカするなよ。嬢ちゃん。ちょいと手が滑っちまっただけじゃねぇか」

 ゲッヘッヘと下卑た笑いを浮かべるスキンヘッドの冒険者。




「なにが手が滑っただけよ! 私の所有物が壊れちゃったじゃないの!! 早く新しいの買ってきなさいよっ!」



 そう言い、アリスが指差したのは、壊れかけの癖に、なにも聞こえない、なにも聞かせてはくれないRadioや、最近の企業公式Twitterなどではなく、なにを隠そう。俺である。俺のほうを指差しているのである。



 そんな俺はというと、はっはーん、こいつ、もしかしなくても、物に少しでも傷がついたらすぐに棄てるタイプだな。全く、物を大切に扱うということを知らないのかね?





 と、血ダルマで、無様に床に転がっていた。

 ダルマなのに起き上がれないとはこれいかに。


 というか、なんでこんな状況になった?

 頭を軽く打ったせいか、ことが起きる前後の記憶が、少し飛んでいる。

 思い出してみるか。

 んー、たしか、ギルド登録を果たしたあと、スキンヘッドのオッサンが俺たちに突っかかってきたんだっけか。





 ----




「おい!!! 新入りがこのゲハノコ様に挨拶がねぇたぁ、どういう了見だ? お?」



 ギルド登録を終え、宿をとりに行くか?、ダッシュでとりに行きなさいよヤマダ(奴隷)、という話をしながら扉に手をかけようとした。その時、ドスの効いた怒声が後ろから飛んできた。



 後ろを振り向いてみるといかにも人相の悪いスキンヘッドが、ジョッキ片手にどっかりと椅子に座っていた。


 スキンヘッドの背後には取り巻きと思われる奴らが数人、ニヤニヤと同じような表場を浮かべて立っている。




「あのぅ、すいません。今日は疲れているので挨拶は明日ってことになりませんかね?」



 記憶が無いまま、さまよい、そして、ゼペルに襲われる。チラ、とギルドの中にある時計をみると短針と長針が重なり、丁度1日が終わったところである。

 今なら立ったまま寝ろと言われれば寝れるかもしれない。それほど、疲れているのだ。



「ならねぇに決まってんだろうが!!!」

 机を叩き威嚇するスキンヘッド。



 ……デスよねー。

 まあ、挨拶といってもそんな時間かからないだろう。

「分かりましたよ。で? 挨拶って『お願いします』でいいんですか?」

「言いわけねぇだろ!!! とりあえずそこに座れや」

 アゴで自分の前の席に座るように促すスキンヘッド。

 大人しく着席する俺とアリス。




 アリス……案外大人しいな。こういう場面になったら真っ先にキレそうなイメージなのに。

 ガタイのいい大男にビビってるのか? 案外可愛いところあるじゃねぇか。


 この後、そう勝手に納得し、アリスの様子を伺わなかったことをただただ後悔することになったのであった。


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