第8話「あれ?初見の敵に対応できなくね?」
「ヤマダ。あんたは私の盾よ! そして、一生私に仕えるのよ!もとより記憶のないアンタなんか奴隷なのよ! 奴隷! 私について来なさいよ!」
そんな威勢のいいことを言っているアリスの顔は言葉とは裏腹に不安に満ち溢れていた。
なんだかほっとけないな......。
そんな、どこか保護欲をかきたてるような不安定さに俺の心は動かされていた。
「アリス。俺はお前の盾じゃねえよ」
「な、なによ!ヤマダのくせに!」
「おま、そのヤマダのくせにってのやめろ!なんか腹立つから!」
「うるさい!うるさい!うるさーい!」
「アリス。もう一度言うぞ? 話は最後まで聞けって」
「なんなのよ!ヤマダまで私をひよっこ魔法使いだってバカにするのね!?」
「アリス!俺はお前の盾じゃねえ。ましてや、お前をひよっこ魔法使いだともバカにしてねえよ。バカにはしねえよ」
「じ、じゃあなんなのよ!」
「俺にとってのお前は、命の恩人だ。あのジジイから救ってくれて感謝してる。もしお前がいなかったら死んでたかもしれないしな。それに...」
--仲間だろ。
決まった。最高にクールだ。
「アンタもしかしてナルシスト?」
アリスは「うわ、ナルシストとかマジ無理なんですけど。きんもー」とでも言いたげな顔で俺を見てくる。つらたん。
「ふん。まあいいわ。ヤマダを私の仲間にしてあげる」
結果的にアリスの仲間になることに成功した俺だったがあるとこに気付いた。
寂しがりのロリ魔法使い アリス
年齢 15歳
スキル 光の加護(初級)
杖撃術(初級)
って、アレ?ステータスが変化してる?
「なあ、アリス……お前のステータスバグってるんだけど」
「はぁ!?何言ってんのよ。バグってんのはアンタの名前と顔面だけよ!」
「ってっめぇえええ!?顔面はいい!!!だけど名前はやめろ!!!!お前が付けたんだろうが!!!」
俺の沸点人肌並み。
「まぁ、あんたがまだスキルを使いきれていないだけでしょう。まさかヤマダごときが最初からスキルの性能をフルで使えると思っていたの?」
つまり俺のスキルは欠陥品?
「どうすれば使いこなせるようになるんだよ」
「簡単よ。熟練度を上げればいいのよ」
俺のスキルが見ることしかできなのもなかなか驚きだが、さらにそのスキルさえ十分に扱えていないとは...
俺って実は雑魚?--
そんなことを思いながら自分にスキルを発動
ヤマダ
年齢ゴミ
スキル ゴミ
ゴミ
ゴミ
ゴミ
スキルがゴミだらけなんだけどぉおおお!?!?!!?
ってか、ヤマダはちゃんと表示されるのな。ふざけんな。
いままでの傾向から俺は自身のスキル観察眼(初級?)を分析して見ることにした。
俺のスキルは未完成であり、自分が得た情報によりステータスの内容が変化すること。そこに俺の主観が大きく関わること。
思ったんだけど、初見の敵に対応できなくね?