第7話「あれ?こいつ実は強くね?」
「ねぇ、ヤマダ」
碧眼をキラキラさせながらアリスは笑う。
ヤマダとは俺の名前だ。アリスに付けてもらったはいいが、なんだか腑に落ちない。
いや、別にいいんだよ? ヤマダ。かっこいいじゃん。どこにでもいそうじゃん。
いつか俺がやられても第二第三のヤマダが貴様を……って俺が悪役になりかねないな……。
「アリス、そういえばどこに向かっているんだ?」
アリスに命を救われた俺は行く当てもないのでとりあえずこのロリ魔法使いの後をついて来たのだが行先をしらない。
「アンテロの街よ。かけだし冒険者の町、アンテロ。とりあえず、ヤマダは私の仲間になったんだからねギルドに報告しに行くのよ」
「え、なんのために?」
「なんのって、そりゃあ魔物をボッコボコにして強くなるためよ!」
「なるほど、俺とアリスがいれば魔物なんて、っておい!! 俺のスキルは商人向きスキルなんじゃないの!?」
「見てわからないの? 私は後衛! 魔法職よ? 盾……じゃなくて前衛がいたほうが楽に魔物をたおせるにきまってるじゃない!」
当然じゃない……! って顔で、絶壁とも呼べる胸を張ってるけど俺聞こえてるよ?ヤマダさん聞いちゃったよ? コイツ……俺を盾にするつもりだ!
「てか、アリス。お前かけだし冒険者の町って言われるアンテロのクエストを受けてるなんて、お前冒険者になりたてかよ」
ニヤニヤしながら俺はアリスをからかった。
アリスは眼尻を少し潤わせながら大声で言った。
「そうよ! 悪い? 私はまだまだひよっこ冒険者なの! ええそうよ初めてこの街に来てギルドに登録して冒険者になったけど実績がないからって理由でどこのパーティにも入れなかった余りものよ!!! 悪い!?」
うわ……地雷ふんじゃったかな。それで魔法使いという後衛職なのに単独でクエストモンスターを討伐しに来ていたというわけか。って待てよ?クエストって普通パーティを組んで行うものだよな。それを一人でこなしてしまうアリスって実は相当の実力者なのかも?
伝説の魔法使い アリス
年齢15歳
スキル 光の加護(初級)
杖撃術(初級)
ぬんなにぃ!?!?!? ステータスが伝説の魔法使いになってるぅうううう!?
その文字を見て俺はあくまで冷静に言い放った
「あぁ、悪いな。こんなに可愛くて優秀な魔法使いを放っておくなんて、他のパーティは見る目がないな。とんだ道化だ。だからよ、アリス。優秀な魔法使いには優秀な前衛が付かないとダメだろ?」
ふっ……決まった。決まったぞ。最高にかっこよく決めてやったぜ。
一方アリスはあたりをキョロキョロ見回して
「優秀な前衛? どこ?」
「って俺だぁあああああ!!!! 今の話の流れ的に完全に俺のことだろ! 俺の!」
どうやらコイツ俺のことを見下す姿勢らしい。