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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第3章 転生 幼少期編
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第39話「カナスタでのこと」

 カナスタの町に到着してから俺はしばらく町の中を歩き回った。

 見渡す限りの遊戯施設に華やかな景観。美しくネオンの文字盤が辺りを照らしている。

 俺は御者から拝借した10万ラルトを手に一つの店の前に来ていた。


 「最高のひと時を あなたに」

 ゴクリッ・・・・・・


 その言葉を見て俺が何を想像したかなど言わずしても分かるだろう。

 つまり・・・・・・そういうことだ。


 齢5歳にして性に目覚める!


 これが強くてニューゲームの特権というものだ。その権利を使うことをだれが止められようか、いや止められない。

 俺は意気揚々とその店のドアを開け中に入っていった。




中に入るとそこは薄暗く、艶かしいシアンの色が充満していた。


「ごくり... ...」

俺はおもわず唾を飲み込む。



「あら、いらっしゃい」

奥の方から現れたのはなんとも形容しがたい干からびた老婆だった。



「なん.. ...だと...」

これ絶対老婆に搾取されるパターンだとすぐさま理解したと同時に俺は回れ右をする。


「これこれ」

そう老婆が呟くと老婆の姿が一瞬ブレた。


そして俺は気を失った。







目を覚ますとあたりは薄暗かった。

どのくらい眠っただろう。

どうやら俺は密室にいるらしい。

部屋にある灯といえば蝋燭でほんの僅かに見えるだけであった。


そこに通じるものは鉄製のドア一枚であり、壁は何か硬い物質でできていた。


 窓のようなものはなく、今どのくらいの刻限なのかは知る由もなかった。

「どうしたものか」

魔法を使う......?


いや、あたりが崩れてしまう可能性があるからダメだ。


そこで俺は閃いた。奴等のスキを突こうと。

俺が生きているということは奴等はなんらかに俺を利用しようとしているに違いない。

もし、その価値がないのならあの一瞬で俺を殺してしまった方が楽だからだ。


そして俺は考えた。


なぜ俺は生かされた?


まさか、娼婦にでもされるのか? この俺が?

そりゃナイスバディのお姉さん相手なら俺も全然ウェルカムなんだけど、あのババア相手だとすると今すぐ舌を噛みちぎって死にたいね。



そんなことを考えながら。俺はその時が来るまで待った。

まだ続きます

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