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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第3章 転生 幼少期編
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第35話「出発」

最近お休みさせていただいておりました。

また徐々に書けたらなと思います。

 

 出発の日はそれはそれは快晴だった。


 なんちゃら日和なんて言葉は今日の為にあるのかもしれないな。なんてお気楽なことを思いながら俺は父親が用意した馬車に乗り込む。




 新品の服の匂いがなんとも気分を高揚させる。

 腰に下げた細心の剣がとても重く感じる。




「どうも、しばらくの間よろしくお願いします」

 俺は馬の行者に挨拶をする。

 すると相手は目を大きく開いて驚いたような顔をした。

「お、おねげぇしますだ... ...」



 このおっさんはガキ相手になにたじろいでいるんだろうか。そう、不思議に思っているとルシオが言葉を発した。



「さすが、僕の子だ。アル、最近は身分の格差を理由に礼儀を蔑ろにする貴族が多い。もちろん僕はそんなことはしないけどね。どんな相手にだって礼儀を持って接する必要がある。いいね?」



「はい、父様。当然のことでございます」



 と、父親とそんな会話を交わしていると、

「坊っちゃまぁぁぁああ〜!!!フランも連れて行ってくださいましぃぃいいい!」





「じゃあ、父様、フランのことはお願いしますね」



「うむ。任せたまえ」



「では、馬車を出してください」



 馬車はゆっくりと稼働し始めた。

 フランを見やるとルシオに後ろから腕を組まれ身動きが取れない状況になっている。

「たとえ! 例え国王直属の近衛兵団長でも! 坊っちゃまへの愛を装備した私は止められませんよぉおおおお!!!」

 と、大声を出しているがルシオは涼しげな顔を返す。



「こらこら、フラン。アルはまだ5歳だよ。あと十年待ってみてくれないか? 熟した果実は美味しいぞ?」



「こっ、これは! ルシオ様公認ということですか!?」



「いや、そんなつもりはないんだが... ...」



「わかりました。フランは成長します。坊っちゃまは天才です。天才の隣に立つに相応しい実力を備えることがフランには必要です」

 フランはその日から絶え間なく努力を始めたという...

 これはまた別のお話し。





 ところでアルトゥスはと申しますと...




「おっゔぇっ... ...げっえっっぷっ」

 乗り物酔いをしていました。

「大丈夫ですかい? お坊ちゃん」



「僕のことは気にしないでくだっ...ゔぇっお゛っ」



「いや、もう見るからに死にそうですぜ」



「......大丈夫です...ゔぉえ...」



「いや、今ゔぉえって...」



「大丈夫です」

 俺は敢えて強く言い切る。パラディン家の男は強がりなのである。




 俺が通うマジリカ魔法学園は王都からだと馬車で1か月かかる場所にある。

 そのため適度に宿を取って休憩する必要がある。

 初めての旅で不慣れなことを心配されて、あらかじめルシオから多すぎるほどの路銀を貰っていたので何か必要なものがあっても困らないといった算段だ。




 馬車に揺られること8時間俺たちは最初の休息地点のロズリィの町に訪れた。

 ロズリィは生花の産地として有名であり、町中のいたるところに色とりどりの花が見えて、カラフルで活気のある印象を受ける町だ。




 もう日も暮れて宿に泊まることくらいしかやることがないのだが、俺は生まれ育った以外の町を見たことがなく、その物珍しさに惹かれてか、宿を取ると散歩をすることにした。

 夜の風はどこか涼しげに感じられ、風に乗ってきた花の香りが鼻腔をくすぐる。




 しばらく散歩をしていると、一人の少年が辺りを窺いながら歩いていた。見格好は薄汚く、体は痩せていて健康だとは言えないような見た目をしていた。少年はロズリィの町の入口まで来るとそのまま町から出て行ってしまった。

 俺はその様子が何だか気になって、そのあとをバレないように尾行した。



 夜の森は闇が深く月の灯りは一切入ってくることもなく、手探り状態で尾行していた俺はいつの間にか少年の姿を見失い、さらには森の中で今自分がどこにいるのかさえ、分からなくなってしまった。




「嘘だろ……」




 まさか、迷子になるだなんて思ってもみなかったので特に何も持ってきてはいない。荷物は宿に預けてしまったし、武器の類もない。あるのは夕食用にと思って持ってきた50ラルトと飴玉1つだけである。



 どこかの兄弟みたいにパンの欠片を通ってきた道に置いて来るなんてこともしなかったので、俺は文字通り途方に暮れた


モチベの限り頑張ります。

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