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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第3章 転生 幼少期編
34/41

第33話「おしっかーフラン」

 


 枕を思いっきり濡らしながら俺はいつの間にか眠りに就いてしまったらしい。




 翌朝





「坊っちゃま! 起きてください。 坊っちゃま!」




 俺は眠い目を(こす)りながら掛け布団を頭まで掛かる。



 やっぱ眠い朝は二度寝に限るぜ。

 メイドが起こしに来てくれるなんて夢のようだと思うだろうが、そんなのは自分のカーチャンに起こされるのとそんなに変わらないのだ。

 優しくキッスで起こしてくれるようなメイドさんなんて絶滅してるんだよ。と、いうよりそれもう空想上の存在だからね。ユニコーンレベルだからそれ。



 だから、朝はこの(ぬく)い布団に(くる)まって二度寝と勤しむのがパラディン家ご子息の伝統...




 ん?








 んん!?





 布団がなんか冷たいぞ....





「坊っちゃま... ...残念ですが... ...」




「まて、それ以上言わないでくれフラン」

 そうだ、俺はまだ5歳......こういうことを想定しておくはずだった。








 ーーーーー







 俺とフランは俺の部屋にある丸机を挟んで向かい合っていた。



「漏らしてません」

 俺は去勢を張りながら、フランを見つめる。



「しかし、坊っちゃま... ...」



「あ、あれは涙です!」



「それにしても、股間の部分だけしか濡れていないようでしたけど?」




「あ、あっ!! アレです!僕は大人のかいだn...」

 と、言いかけて俺は躊躇った。

 なにか俺の中の良からぬモノが異常に反応していたけど、気にしないことにしよう。そうしよう。




「坊っちゃま... ...奥様にはナイショにしときますから...ねっ?」

 そう言ってフランは人差し指を口元に当てながらウインクをする。



「ま、まて、フラン! まだ話の決着はついてないぞ!」




「しかし、坊っちゃま... ...坊っちゃまには前科がございますし... ...」



「はぁ!? 前科!? 僕が !? 」



「はい... ...」

 フランは僕から目を()らす。



 嘘だろ... ...嘘だと言ってよバーニィイイ!!



 と、思った所で俺には心当たりがあった...。



「その、なんというか...ごめん」



「いえ、いいんです。 坊っちゃまのモノですから...」




 ............................................



 気まずい雰囲気が流れる。



「フ、フラン!」



「は、はぃい!?」



「いや、そんなに身構えなくても...」



「....はい」




「お互いにこの事は覚えていても不幸です。忘れましょう」

 そう言うと俺は寝室を後にし、朝食を取るために食堂へ向かう。







 フラン視点ーー



 ーあわ、あわわわわわわっ.......!



 ー私は坊っちゃまになんということを言ってしまったのでしょう......。



 ーこれでは私が坊っちゃまを誘惑しているみたいではないですか...!



 フランはアルトゥスが部屋を出て食堂に向かったのを確認するとベッドの側まで来てこう言った。



「行きました... ...よね」

 大の大人が3人は寝られようかと言ったいかにも高価そうなベッドの真ん中あたりに地図が出来上がっている。



「これが坊っちゃまの... ...」

 なぜかそれを見つめると切なくなる。

 ゴクリッと唾を飲み込んでその地図へ顔を近づける。




 ーーあぁっ...



 ーーこの臭いです。 出生と共にぶっかけられた私はこと臭いの(とりこ)なのです。



 ーーあぁっ... 坊っちゃま、坊っちゃま!




「フランはいけないメイドです」



 フランはそう言って自らの火照った身体を慰めた。






 アルトゥス視点

 ーーーーーーーーー




 自室を出て、俺は食堂へと向かう。

 そこへ着いてみると、父親と母親が食事を取っていた。

「おはようございます。父様、母様」



「おはよう。アルトゥス」



「おはよう。アル」

 ルシオとセレスナは笑顔で挨拶を返してくる。



 今日の朝食はパンを程良い硬さに焼いて底側がカリカリになったものに、領地で採れた蜂蜜と王国特性の生クリームをかけたものと、フランの実家から送られて来たミルクだった。



「いただきます」

 俺はまず、パンに蜂蜜をたっぷりと塗りたくる。そして、一口。噛んだ瞬間にパンの空洞の部分から蜂蜜が染み出してきてなんとも満足感を与える。そして、そこに生クリームを塗り、さらに一口。この生クリームは王国の特産品であり、製造方法などは秘密裏にされている。しかし、その美味しさは天下一品。舐めたその下を麻痺させ、コクの深い甘さと、懐かしさを感じさせる甘さを持っていた。




「犯罪的だァ.... ...」




「ん?なにか言ったかい?アルトゥス」



「いえ、何も。 そういえば父様」



「なんだい、アルトゥス」



「学校... ...というものに行って見たいです」



「ほう。いいよ。アルも5歳だからね。僕も5歳の時に学校に通い始めたからね」



「ありがとうございます」



「うん。よく学んで、見聞を広めて来なさい」




 父親の二つ返事での快諾もあり、俺は学校へ通うことになったのだった。


モチベの続く限り...頑張りますƪ(˘⌣˘)ʃ

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